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おすすめ映画|『シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢』(2018/ニルス・タベルニエ監督)誠実な郵便配達員が大仕事をやらかしてしまった!

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「シュヴァルの理想宮」のあらすじと概要

Arthur JaegerによるPixabayからの画像

フランス南東部ドローム県オートリ―ヴ村を舞台とし、一人の男が33年を掛てけ築きフランス政府指定の重要建造物となったシュヴァルの理想宮の誕生の背景を映画化した実話に基づく人間ドラマ。愛娘アリスのためにおとぎの国の宮殿を建てることを思いついた郵便配達員シュヴァルは、周囲から変人と噂されながらもひたすら石を積み上げる生活を続ける。

監督は「グレート デイズ!-夢に挑んだ父と子-」のニルス・タヴェルニエ。偏屈で、不器用ではあるが、誠実さのにじみ出る男シュヴァルを「レセ・パセ 自由への通行許可証」で第52回ベルリン国際映画祭銀熊賞(男優賞)を受賞したジャック・ガンブランが演じる。

「シュヴァルの理想宮」のネタバレ感想

ストーリーとテーマについて

物語の舞台であるフランス南東部ドローム県オートリーブ村の風景の美しさに目を見張ります。地図上ではリヨンの南側に位置しほど近い。主人公シュヴァル(ジャック・ガンブラン)はこの村で郵便配達員として暮らしていました。一日に32キロも歩いて広い村の家々に郵便物を毎日配達する仕事は大変過酷な重労働です。それを60歳で定年退職を迎えるまでやり通しています。29年間で22万2720㌔(地球5周に匹敵する歩程)退職時に表彰されていました。劇中では毎日10時間労働をしたと語っていましたが、恐るべき体力と健康さだと思います。足腰を鍛えたおかげで、88歳で天寿を全うしたそうだ。

彼の凄い所は、郵便配達員としての仕事を全うしただけではなく、自分の趣味で毎日帰宅後に山道で拾い集めたい色とりどりの石を利用して、『宮殿』を作り上げてしまったところです。この宮殿は彼が43歳の時に着工、完成したのは76歳というから33年も掛けて作った大規模な建築物です。

周囲の人からは変人扱いされ、家族からも初めの頃は止めて欲しいと頼み込まれていました。その後娘も生まれ、どうやら成長する娘アリスだけは宮殿が作られている事に期待を抱いていたようです。宮殿の完成を楽しみにしていた最愛のアリスは15歳の時は肺炎で失い、悲しみのどん底に陥ります。妻フィローヌ(レティシア・ガスタ)の支えもあり、シュヴァルは再起し、とうとう宮殿を無事完成させてしまいます。

シュヴァルは10時間も郵便配達で働き、帰宅後10時間も宮殿の建設に心血を注いだそうです。これを見れば周囲の人から変人扱いされるのもよく分かります。反対していた妻も徐々にシュヴァルの情熱に負けて、応援する様になっていきます。

宮殿を自分で作ってみようと考えたきっかけは、時折、配達物の中に見られる絵葉書から、外国に思いを馳せて着想を得たそうです。人一倍好奇心が旺盛なんだと思いますが、自分の家の庭に石とセメントで宮殿を作ってしまおうという着想はなかなか湧かないと思います。湧いたとしても33年間も執念を燃やし続けてやり遂げてしまうところが凄い。

人付き合いも悪いし、愛想も無い、初めの内は赤ん坊の扱いも全く分からず、泣きじゃくるわが子の取り扱いも右往左往していた程の不器用な男です。完成させた『宮殿』は世界中から注目を集め、1969年、当時のフランス文化相アンドレ・マルローの尽力により仏政府の重要建造物に指定を受け、現在では世界中から年間 17 万 5 千人が訪れる一大観光スポットとなっているそうです。

映画としては、シュヴァ―ルのひたむきな人生を優しく見守り寄り添う妻フィロメールの夫婦の姿が目に焼き付きます。また、フランス南東部のオートリ―ヴ村でほとんどのシーンが撮影されたということですが、息を飲む景観の美しさに圧倒されました。つつましい生活ながら、非常に逞しい精神力を持ち続けることの素晴らしさに感動を受けます。また、建築、芸術には全くの素人にも関わらず、ただ、絵葉書の写真を見て想像を働かせて宮殿の装飾として仕上げていく、徐々に「技術力」を高めていく成長にも驚きです。

機会があれば、フランスを訪れ実際に見て見たいと思いました。

キャラクターとキャストについて

ニルス・グラヴィエ監督:はじめは俳優として活躍していたが、パリ・オペラ座バレエ団の舞台裏を追った『エトワール』(01)は、日本でも大ヒットを記録する。長編劇映画は『オーロラ』(06)、 『グレート デイズ! 夢に挑んだ父と子』(14)に続き三作目となる。

ジャック・ガンブラン(シュヴァル役):1957年生まれ、ジャン・ベッケル監督『クリクリのいた夏』(99)、ダニス・タノヴィッチ監督『美しき運命の傷痕』(05)、クロード・シャブロル監督の遺作『刑事ベラミー』(09)など出演作多数。ニルス・タヴェルニエ監督とは『グレート デイズ! 夢に挑んだ父と子』(14)から二作連続でのタッグ。

レティシア・ガスタ(妻フィロメール役):15歳でスカウトされ、イヴ・サンローランやシャネルなど数々のトップブランドに起用されるスーパーモデルとして活躍。女優としても出演作を重ね、ラウル・ルイス監督『Les âmes fortes』(01)、パトリス・ルコント監督『歓楽通り』 (02)、蔡明亮監督『ヴィザージュ』 (09)などに出演。『ゲンスブールと女たち 』(10)ではブリジット・バルドー役を演じ セザール賞助演女優賞にノミネートされた。2016年、初監督作『En moi』が第69回カンヌ国際映画祭にてスペシャル・スクリーニングされる。パートナーでもあるルイ・ガレル監督・主演作『パリの恋人たち』(19)では主人公の元恋人役を好演している。本作品での夫を支える妻役で魅力いっぱいの演技は大注目!

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まとめ

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シュヴァルには最初の奥さんとの間に生まれた子供が成人しており、やがて、孫を連れて故郷に仕立屋として戻って来た。彼の娘(シュヴァルの孫娘)には自分の娘と同じアリスという名が付けられていた。シュヴァルは晩年は子や孫に囲まれ平和な日々を過ごす事になる。

郵便配達員として地球五周分もの距離を歩き、単独で33年も掛けて「理想宮」の建設作業に取り組むなど、簡単ではない「偉人」の人生にただただ感動するばかり映画であった。

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