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おすすめ映画感想|『髪結いの亭主』(1990/仏パトリス・ルコント監督)官能的なラブストーリー。こんな魅力ある床屋に行ったことはない!

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『髪結いの亭主』のあらすじと概要

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少年時代に女性理髪師に淡い憧れを抱いて以来、理髪師との結婚を夢見てきたアントワーヌ。やがて中年を迎えた彼は、美しい理髪師マチルドに出会い、唐突なプロポーズにもかかわらず彼女を射止めることに成功する。それから10年間、マチルドとの愛に溢れた平穏な日々が過ぎていく。しかしながら、突然の大雨の日、ふたりの幸福な生活は思いもよらぬ結末を迎える事になります。

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『髪結いの亭主』のスタッフとキャストについて

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パトリス・ルコント監督:1947年生まれ、72才、フランス・パリ出身。IDHEC(フランスの高等映画学院)で映画監督になる勉強をしたが、卒業後にバンド・デシネの漫画家またイラストレーターとして漫画雑誌社で働く。1975年に初めての長編映画を製作した。以来、コメディ、ドラマ、ラブストーリー、アクションまで幅広いジャンルの映画を製作している。

アンナ・ガリエナ(マチルド):ローマ出身、4歳頃からモデルとして活躍。78年渡米してアクターズ・スタジオで学び、オフ・ブロードウェイの「ロメオとジュリエット」で主役を演じ、舞台デビューしている。以降8年間小劇場などで活躍後、84年イタリアに戻りTVや映画に出演。87年にフランスに渡り、90年の本作品「髪結いの亭主」で世界的に注目を浴びる。

ジャン・ロシュフォール(アントワーヌ):1950年代から映画俳優としての活動により、生涯に100本以上の作品に出演している。セザール賞を2度受賞している。

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『髪結いの亭主』のネタバレ感想

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アントワーヌは既に12歳で髪結いの亭主になりたいと心を決めるわけですが、このように決めた切っ掛けは、当時自宅近くにあった理髪店の、ふくよかな女性理髪師の元に通い詰め、そこはかとない幸福を感じてしまったところにあると思います。「将来理髪師と結婚したい」という思いを何十年と抱き続け、中年に差し掛かったところで、運よく理想の理髪師に巡り逢う事が出来ます。

常識的には初めて会った女性に、いきなり「結婚してください」とは絶対に言えませんが、これは映画なので何の迷いも無く言えます。女性(マチルド)も、唐突な申し入れを拒否するどころか、あっさりと受け入れてくれます。観客はここで「こんな事は現実ではあり得ないだろう」と少し反感を覚えるかもしれませんが、映画なので、アントワーヌの欲望は呆気なく成就されます。

しかも、10年間というとても長い期間を二人の甘美な生活が続くというのは羨ましい限りです。アントワーヌは自分では仕事らしい定職をもっていません。絵に描いたような『髪結いの亭主』(ひも)生活を全うします。しかしながら、マチルドはそれを嫌がっている素振りは一切ありません。二人とも旅も嫌いだし、出歩く事もそれ程好きではありません。勿論、子供も邪魔になるので生まれません。現実世界から完全に遊離した二人だけの世界に浸り続けています。たまに逢うことで、世間との繋がりを感じさせるのはマチルドの店の元オーナーくらいなもんでしょう。

パトリス・ルコンテ監督の本作品を何度見終えた後でも、これ程までに印象深く残る理由は、本編の内容が、男が本来持っている強い欲望を正直に表現して、あっさりと実現しているからかもしれません。それも決して猥褻な内容に流れてしまわず、「映画鑑賞」の枠内で美しい芸術シーンにまで高めている手腕には驚きを感じます。更にマチルド役の女優アンナ・ガリエナが放つ女性の「魔性」が映画をより魅力溢れるものにしている事に間違いありません。

最後にマチルドが衝動的か、或いは長く悩んだ末か、われわれが考え込み混む意味は無いのかもしれませんが、10年間のふたりの生活に、衝撃的な行動でピリオドを打ち映画は終わります。

こういう展開の映画に得体の知れない魅力を感じます。従来、パトリス・ルコンテ監督の作品は余り見て来なかったので、機会を見つけ是非一度作品を見直してみたいと思います。

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最後に

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どういう訳か小学生の頃、わたしもウール製の海水パンツを履いていた経験がありました。プールで水を吸うと、繊維が思いっきり膨れて、ごわごわと体に纏わりつき大変厄介な代物です。アントワーヌ少年も同じような思いだったのかもしれません。身体にぴったりフィットせず、だらりとぶら下がった水着だった様なシーンもほの見えていました。多分パトリス・ルコント監督の実体験に基づく話の様な気がします。

アントワーヌは突然アラブ調の音楽を掛け、へんてこな踊りを踊りますが、この踊りは自分は今幸せの絶頂にいる事を示しているに違いありません。二人でエジプトのピラミッドを見にいく夢を語っていたのに実現しないまま終わってしまいました…

謎の多い本作品ですが、解釈しようとせず、感じるままに鑑賞するべき作品だと思います。

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