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おすすめ本|『温暖化で日本の海に何が起こるのか 水面下で変わりゆく海の生態系』山本智之著(ブルーバックス)

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おすすめ本の紹介
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『温暖化で日本の海に何が起こるのか』のあらすじと概要

Russell_YanによるPixabayからの画像

既に沖縄の珊瑚の白色化も広範囲に始まり、壊滅状態と聞きショックを受けました。美しい珊瑚の海は無くなってしまうのか?もっと北上して千葉県沖あたりがサンゴ礁の海に変貌するのか、まだ良く分かりません。地球規模の天変地異は日本列島近海の中でもすでに始まっています。

たった1℃の水温上昇が、海中を“別世界”に変えてしまう──。
猛暑や豪雨だけにとどまらない、温暖化の「おそるべき影響」とは?

地球温暖化の影響は、海面上昇や異常気象など「目に見える」形で現れつつある。
その一方で、人の目につきにくい「水面下」でも、異変が進行中だ。
世界平均を上回るペースで「海の温暖化」が進む日本近海とその生態系に、どんな変化が起きているのか。
その結果、日本の海から姿を消すと危惧される生物とは?
「未来の海」を先取りする島で目撃された、驚きの光景とは?
私たちの大好きなあの海産物が、もう食べられなくなるかもしれない──。(本文より)

著者略歴:

山本/智之氏
1966年、東京都生まれ。科学ジャーナリスト。東京学芸大学大学院修士課程修了。朝日新聞記者として約20年間、科学報道に従事環境省担当、宇宙、ロボット工学、医療などの取材分野を経験。水産庁の漁業調査船「開洋丸」に乗船して南極海で潜水取材を実施。南米ガラパゴス諸島のルポをおこなうなど、「海洋」をテーマに取材を続けている。科学調査への同行を含め、国内外での潜水経験は500回以上。朝日新聞大阪本社科学医療部次長などを経て、2020年から朝日学生新聞社編集委員。海の生物や環境をテーマに講演活動にも取り組んでいる。

Russell_YanによるPixabayからの画像

『温暖化で日本の海に何が起こるのか』で指摘されているトピックス

VIVIANE MONCONDUITによるPixabayからの画像

沖縄で進行している珊瑚の白化は海の下で一般の人にはいる事が出来ませんが、かなり深刻な状況の様です。サンゴ礁の海は永遠に残したいと思いますが…

珊瑚の白化現象が起こる環境条件は珊瑚の種類や海域によって異なるが、沖縄石西礁湖の場合は、水温30度を超すと白化のリスクが高まるーーー透明できれいな海、そして、低過ぎず高すぎない水温ー微妙なバランスが成り立ってはじめて、珊瑚は健全に暮す事ができる。温暖化が進むと、珊瑚の卵や幼生が旅をする期間が短くなり、珊瑚の分布を広げにくくなり、ダメージを受けた珊瑚の森を維持・回復する機能が低下してしまう恐れがあります。

珊瑚の減少の要因は温暖化による白化だけではなく、オニヒトデの大量発生により食べ尽くされるという問題も発生しています。オニヒトデの大量発生には人間の日常生活が深く関わっている様です。これもショッキングな出来事だと思います。

また、珊瑚の天敵であるオニヒトデの大量発生にも人間が関わっています。沿岸海域に生活排水などが流れ込むと、窒素やリンなどが増えて植物プランクトンが増加し、オニヒトデの幼生が生き残り易くなり、これが大量発生の引き金になっているらしい。

新たな種類生物の住みつきは少し喜ぶべき事の様に思えますが、従来の生態系の破壊にもつながりかねず、固定種生物にとっては大変迷惑な事かも知れません。

シオマネキは、本来西日本の温かい海を中心に分布する北方系の蟹。ところが近年、これまで生息していなかった東京湾沿岸に、複数の個体が住み着い ている事が判明しました。➡ これは、シオマネキは幼生として浮遊する期間が約一か月あり、うまく黒潮に乗れば、四国から東京湾に辿りつくことは可能。嘗ては幼生が東京湾に漂着したとしても、寒い冬を超えて生き続ける事は難しかったが、温暖化により東京湾で越冬を繰り返せるようななった可能性が高いと。

「海の酸性化」問題は実際海の中を観察することも少なく、その影響は実感していませんでしたが、温暖化以上に深刻な悪影響がありそうです。やはり、大量の二酸化炭素排出については削減には人類の英知を終結して解決するべき問題だと感じます。

温暖化問題以外に、大気中の二酸化炭素が増えると海に大量に溶け込んで行き、海の酸性化が進むことが問題です。これは海水中に含まれる炭酸イオンが減ってしまい、貝類や珊瑚等の殻や骨格を構成する炭酸カルシウムの材料が減少してしまいます。炭酸カルシウムが減ると、これらの生物は成長しにくくなったり、死滅してしまう可能性が高まります。

私たち人類が大気中に二酸化炭素を排出することで、『温暖化』と『海の酸性化』は同時に進行していきます。

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世間一般的な意見にはどんなものがあるのか?

Chaos07によるPixabayからの画像

まだ出版されたばかりで、それ程多くの読者が書評を投稿していません。2,3その中の意見を引用させて頂きます。

研究者ではなく、新聞記者、ジャーナリストの著者による著作。なので文体も研究者のそれではなく、ジャーナリスティックな俯瞰したものに感じる。読みやすい反面、研究者のような迫真に迫る緊張感には欠けるかも。海の温暖化の影響を水温上昇と酸性化の2つの面から捉えており、当然どちらも問題なのだが、酸性化はより重大な問題のように感じた。海の中が「貧しい海」になってしまうのはあまりにも悲しい。

海水温上昇により冬を越せなかった死滅回遊魚の一部が越冬できるようになってきている。熱帯性の有毒プランクトンが日本国内に定着し始めている。海の中での「すみ分け」がうまくいかなくなり交雑が起こりやすくなる。海水温上昇は南から海洋酸性化は北から影響が広がる。海水中の窒素を減らすことで酸性化を遅らせたり歯止めをかけられる。

最後に

skeezeによるPixabayからの画像

ホタテガイも高い水温が苦手な北方系の二枚貝で、成貝は23度、稚貝は20度である為、もはや北海道がいつまでホタテガイの生息の適地として守れるか分からない状況だそうです。アワビ、昆布、伊勢エビ、海苔などもしかり、同じように温暖化によりピンチを迎える状況を本書で詳細説明がなされています。

明日から食べられなくなるというものではありませんが、少なく共現在の状況が改善が見られず推移していくと過程すれば100年後の日本近海で捕獲出来る魚介類の種類は一変してしまう可能性があります。

一昨日のTVでも今年のサンマの漁獲量は昨年よりも更に少ないと報道されていました。日本人の食生活を根本から変えててしまう様な変化が海の中では既に始まっている様です。

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