『ファイト・クラブ』のあらすじと概要
主人公の“僕”は都会の自動車会社苦情処理部門に勤務する若いサラリーマン・ジャック(エドワード・ノートン)。雑誌やテレビで紹介されるようなライフスタイルに憧れて北欧製の家具を買い漁り、理想を追い求める生活に疲れて不眠症に悩まされていました。そんなある日、出張時の機内でタイラー・ダーデン(ブラッド・ピット)と名乗る男と出会い、意気投合してバーで酒に酔ったあげく、殴り合う。
そんな肉体の痛みに奇妙な爽快感を覚え、彼らを中心に同じようなモヤモヤを抱えた人々が集い、謎の秘密組織”ファイト・クラブ”という殴り合いのグループに発展していきます。そこは鍛え抜かれた男達が己の拳のみを武器に闘いを繰り広げる、壮絶でかなり危険な空間でした。
カリスマ性を帯びた指導者タイラーの元にはいつしか「自分の人生を変えたいと願う」多数の若者が集い、”スペース・モンキーズ”という不気味な反社会的集団へと変貌を遂げて行きます。
『ファイト・クラブ』のスタッフとキャストについて
デヴィット・フィンチャー監督:ナイキやコカコーラのCM、マドンナの『Vogue』やローリング・ストーンズの『Love is Strong』などのプロモビデオを演出した。『エイリアン3』(92)の監督に大抜擢されデビュー。ダークなタッチと独特の世界観が話題を呼んだ。しかしながら、シリーズ最大の失敗作というレッテルを貼られた作品でもある。その後、非メジャーのスタジオで創作の自由を得て完成させた傑作「セブン」(95)が世界的にヒット、一流監督の仲間入りを果たした。本作品『ファイト・クラブ』では映画製作会社から70億円もの製作費を拠出させている。
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ブラッド・ピット:1989年に映画デビューした。「テルマ&ルイーズ」(91)で脚光を浴び、「リバー・ランズ・スルー・イット」(92)などの作品で頭角を現し、「セブン」(95)、本作品「ファイト・クラブ」(99)で幅広い層のファンを獲得する。
本作品では得体の知れない不気味な人物として登場する。石鹸のセールスマン、夜は映画館での映写技師、『ファイト・クラブ』の主催者など様々な顔を持つが、カリスマ性を持ち、ファイト・クラブ参加者から圧倒的な指示を得ている。しかし、最後にはエスカレートした思想により金融会社オフィスビルの爆破という暴挙に出る
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エドワード・ノートン:1996年、リチャード・ギア主演の「真実の行方」で映画デビューすると、いきなりアカデミー助演男優賞にノミネートされ、ゴールデングローブ賞では映画部門の最優秀助演男優賞を受賞。近年では、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」(14)で、再びアカデミー助演男優賞にノミネートされた。
自動車メーカーの苦情処理係りとして世界中を飛び回り、かなり疲れ気味の人生を送っている。不眠症に悩まされ、医者にはもっと不幸な人々がいる世界を見る様に風変わりなアドバイスを受け、「睾丸癌の会」初め奇妙な会合に出席している。
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ヘレナ・ボナム・カーター:本作品「ファイト・クラブ」(99)でそれまでのイメージを一新、個性派女優としての地位を確立する。その後も「ハリー・ポッター」シリーズ、パートナーのティム・バートン監督作「PLANET OF THE APES 猿の惑星」(01)、「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」(07)、「アリス・イン・ワンダーランド」(10)などに出演。
本作品中に出演する紅一点ながら、強烈な個性で存在感を示す。
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『ファイト・クラブ』のネタバレ感想
ネタバラあり、注意!
20世紀の世紀末的の退廃的な雰囲気の漂う異様な印象の映画です。
かなり疲れ気味のサラリーマン・ジャックのストーリーが進行するうちは真面な映画でしたが、ブラッド・ピット演じるタイラーとの出会いの後、雰囲気・ストーリー展開も一変します。自宅ビルが火災で行き場を失ったジャックは飛行機の隣の席に座っただけの間柄のタイラーの住み家に転がり込みます。そこは、”ファイト・クラブ”という筋骨隆々とした男同士が素手で殴り合うという何とも、全く理解出来ない”同好会”でした。
なんとサラリーマン・ジャックもそのクラブで戦う事に生き甲斐を見出す様になった所も、どう考えても異常なのですが、どうにもならない現実社会の現状を打破する逃げ場としての、”ファイト・クラブ”の存在は全く否定出来ないものです。しかしながら、反社会的な金融街ビルの爆破テロなどの行動までエスカレートしていく様は現代社会への警鐘と言えます。19年の映画「ジョーカー」にも相通じるメッセージ性を感じる事が出来ました。この映画が不満分子の少しでも捌け口にでもなればいいのですが、「よし俺も」という行動の切っ掛けとなったらかなり恐ろしいことになります、、、
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