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新刊書紹介|『逆ソクラテス』伊坂幸太郎著(集英社)2021年度本屋大賞ノミネート作品!

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『逆ソクラテス』の概略

Raimund FeherによるPixabayからの画像

5つの短編から構成されています。

逆転劇なるか!? カンニングから始まったその作戦は、クラスメイトを巻き込み、思いもよらぬ結末を迎える――「逆ソクラテス」・・・悪智慧の働く同級生は教師の偏見を打ち砕こうある術を考え着き、実行に移します。小学生で是ほどの”陰謀、策略”をめぐらす事が出来た事にびっくり仰天します。

足の速さだけが正義……ではない? 運動音痴の少年は、運動会のリレー選手にくじ引きで選ばれてしまうが――「スロウではない」・・・確かにいつの時代にもこのような問題は常にあるものかも知れません。但し、心の片隅に経験としてぼんやり残ってはいるものの、このような文章にされて読んでみると昔の思い出が鮮明に蘇ってきます。

最後のミニバス大会。五人は、あと一歩のところで、“敵”に負けてしまった。アンハッピー。でも、戦いはまだ続いているかも――「アンスポーツマンライク」…これもこんな出来事を良く覚えているなぁとい思います。最後の残り一秒の別名を「永遠」というそうです。初めて聞く言い方ですが、納得しました。

ほか、「非オプティマス」「逆ワシントン」――書き下ろしを含む、無上の短編全5編を収録。

『逆ソクラテス』のネタバレ感想

著者は1971年生まれなので、かれこれ40年以上前の思いでを頼りに本作を書いている物と思われます。自分の経験からしても1,2年の行動の記憶よりも小学校時代の記憶の方が鮮明によく覚えている事というのは多い事に驚きます。

「逆ソクラテス」には残念乍らソクラテスは全く出来てきません。それにしてもこの小説に出てくる小学生の悪知恵も大したもんだと思います。友達に問題の回答を試験中に教えて(カンニングさせて)、教師が想像している以上に好成績を獲らせ、教師の固定観念を見事に粉砕するというものです。

こんな悪戯は思いもつきませんでした。末恐ろしい子供だったと思います。そして、現在は立派な小説家になっている! 思わず納得のいく展開には少々驚きますが、、、

「スロウではない」運動会でのリレーの選手の問題ですが、実際は実力があるのに運動会で実力を出さない、或は選手を選考する記録会で、実力を出さないというのがわたし自身信じられない事のよう思われました。ゴルフスイングと同じで、上体の力を抜き、歯を食いしばらず、軽る目に走った方が良い記録が出るかもしれませんが、それも脚力が十分備わった一流選手の事で、小学生は兎に角思いっきり走ればいいのだと思います。

わたしの小学生1,2年の思いでは徒競走で裸足で走る人や布の足袋で走る人がいた事です。今から考えるとゴム底の運動靴の方が早く走れるのは間違いないと思いますが、多分、ゴム底で滑って転ぶことを警戒した為、裸足を選択する人もいたのかも知れません。

「アンスポーツマンライク」バスケットボールで転んでいるのに、相手に足を引っかけて進行を止めてしまうファウルのことらしいです。かなり卑怯な反則だと感じました。小学生でも勝ちたい為にこんな足が出てしまうのでしょうか!? 

やはり練習の集大成として目標としている大きな大会での勝ち負けは一生の思い出に残るのでどうしても力が入ります。

中学の体育の授業での思い出ですが、最後の終了間際ぎりぎりの時間帯で、わたしの敵チームのクラスメートは間に合わないと思い、センターラインから片手でリング目掛けて投げた結構重いバスケットボールは、見事ににゴールした記憶があります。彼は運動神経抜群でしたが、高校に行ってスポーツで活躍したのでしょうか?

思いでは確かに楽しいものばかりではありません。また、良い記憶ばかりが残るという事も無い様です。それぞれ悲喜こもごも良い事も悪い事もそれなりにしっかり記憶に残っているのだと思います。

『逆ソクラテス』の世間一般的な意見はどんなものがあるのか?

アマゾン書評から参考まで以下引用させて頂きます。ほとんが好意的な意見の様な気がします。読者も圧倒的な伊坂幸太郎ファンが多いような気がします。

「確かに、そんなこともよくあったよな」と
感慨深く思うものがあった。

過ちを犯し、悔い改めようとするものや、
それに対して許そうとするものなど、
あらゆる「勇気」が随所に垣間見えた。

伊坂幸太郎作品の特徴ともいえる
各作品でのちょっとしたリンクがまた、
読み進めている中で高揚感を与えてくれる。

「僕は、そうは、思わない」日常生活にはびこるありとあらゆる先入観や大人の悪しき習慣たちを軽快に飛び越えてゆく、テンポの良い作品で一気読みしました。

登場人物のユニークさ、ハッと目が止まるような台詞回しが心地よく読了後は爽やかな気分になりました。やはり伊坂作品は面白い!

なお、真田広之が伊坂幸太郎原作&ブラッド・ピット主演「Bullet Train」に出演するという話題にもなっていますが、ハリウッド映画の原作にもなっている話題の著者で、今後人気は急上昇だと思います。

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