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映画『ザ・ライダー』(感想)ロデオライダーが主人公の現代西部劇、一人の青年の人生の最初の挫折から立ち直りまでを丁寧に描き出す

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『」ザ・ライダー』のあらすじと概要

Debora DelaneyによるPixabayからの画像

大怪我を負ったカウボーイが新たなアイデンティティや生きる意味を見いだすまでの物語を、モデルとなった人物が主演を務め映画化したヒューマンドラマ。

アメリカ中西部のサウスダコタ州。幼い頃から馬に親しんで育ってきた青年カウボーイのブレイディは、ロデオの事故で頭部に大怪我を負ってしまう。医師の反対を押し切って再び馬に乗るか、ロデオをあきらめるか悩みながらも、ロデオ復帰への捨てきれない思いと後遺症との間で葛藤しながら、自分の生きる意味を探し求める青年ブレイディの心の動きを繊細に描いていきます。

ブレイディ―は今までに全く演技経験のないジャンドロー本人が演じています。

主人公のみならず、彼を取り巻く登場人物にも本人たちを起用。中国出身の新鋭クロエ・ジャオが監督・脚本を手がけ、第53回全米映画批評家協会賞と第28回ゴッサム・インディペンデント映画賞でいずれも作品賞を受賞しました。

米エスクァイア誌が選んだ、2018年のベスト映画25本の見事ベスト4に選出されています。

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英国デボンの農場で飼われていた馬が、第1次世界大戦で軍に徴用され、激戦地を生き抜く数奇の運命を描く映画『戦火の馬』(感想)

 

『ザ・ライダー』のスタッフとキャストについて

tcdeveloperによるPixabayからの画像

クロエ・ジャオ監督・脚本:中国北京で生まれ、アメリカ合衆国で活動する映画監督、脚本家、映画プロデューサー。2015年に長編デビュー作『Songs My Brothers Taught Me』がサンダンス映画祭でプレミア上映される。第2作本作品『ザ・ライダー』(2017年)は批評家に高評価された。最近公開された『ノマドランド』は本年度アカデミー賞最右翼。

映画観賞|『ノマドランド』(2020/クロエ・ジャオ監督)車上生活者たちの生き様を描いたロードムービー

【キャストのほとんどが実際の本人たちによって演じられている映画】

ブレイディ・ブラックバーン(ブレイディ・ジャンドロー)
暴れ馬を乗りこなすロデオのカウボーイ。落馬により頭部に大怪我を負い、その後遺症に悩まされている。医者からは再度ロデオや乗馬で怪我をすると、命の保証はないと止められている。しかし、ロデオへの夢を完全に捨てきれず悩んでいる。

ティム・ブラックバーン(ティム・ジャンドロー)
ブレイディの父親。息子がロデオをやることに反対はしているものの、息子や娘のことを心から愛している。母親がいない為二人の子供は男で一つで育てている。


リリー・ブラックバーン(リリー・ジャンドロー)
ブレイディの妹。障害があり、他人と上手くコミュニケーションを取れないが、兄のことは慕っており、心を許している。


レイン・スコット
(レイン・スコット)
暴れ牛に乗るブルライダーであったが、暴れ牛から振り落とされ怪我をして、その後遺症により、体が上手く動かせず喋ることもできなくなった。体の自由が利かなくなっても、ロデオへの夢を失っていない。

『ザ・ライダー』のネタバレ感想

最近『ノマドランド』を見て、中国北京生まれのクロエ・ジャオ監督を初めて知りました。米国の国内状況を良く理解していないと、『ノマドランド』などの様な映画は絶対撮る事は出来ないと思いますが、車上生活者の実態を良く研究し、実態を赤裸々に描いており、監督に非常に興味が湧きました。

早速前作である本作『ザ・ライダー』は現代版カウボーイが出てくる西部劇です。なぜ、ロデオ競技に掛ける青年の映画を撮る事を決意したのか定かではありませんが、監督が北京生まれ・育ちである事を感じさせる部分は微塵も無いことが不思議んでした。

『ノマドランド』でも度々見る事が出来た『荒涼とした原野の大自然』の風景が、今回も度々スクリーンを飾っていました。この部分は北京市内から少し足を延ば見る事が出来る原野に似ていると言えば似ていますが、そこには農民・遊牧民は居ますが、カウボーイは居ません。

ロデオ・馬の調教師としてしか生きる術がない青年が、大けがにより乗馬を諦めるという決断に迫れます。足を骨折した馬を射殺せざるを得ないシーンもありましたが、役に立たないモノは生きる価値がないという厳しい現実を見せつけられ悩みます。

最後に命懸のロデオに再挑戦することを決意しますが、父親には無謀な挑戦は命取りだと引き止められ口論となります。親の反対を押し切りロデオ会場に行くと、反対ししていた父親と妹リリーの姿を見掛けた事で、素直な気持ちになり出場を辞退し家に帰るシーンで終わります。

やはり、最後の決断まで至る心の葛藤の様子が丹念に描かれていくので、非常に説得力を持つ映画となっています。一人の青年の人生の最初の挫折の経験ですが、そこからまた始まる力強い人生再生の出発点を感じさせる映画です。

 

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