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映画|『アンモナイトの目覚め』(2020/フランシス・リー監督)感想‣1840年代のイギリスを舞台に、若く美しい化石収集家の妻に惹かれていく女性古生物学者の姿を静かに描出!

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『アンモナイトの目覚め』のあらすじと概要

Rob LeakeによるPixabayからの画像

ケイト・ウィンスレットとシアーシャ・ローナンという当代きっての演技派女優が初共演し、19世紀イギリスを舞台に、異なる境遇の2人の女性が化石を通じてひかれあう姿を描いたドラマ。

1840年代、イギリス南西部の海沿いの町ライム・レジス(約200年前にイクチオサウルスの全身化石を世界で初めて発見した、メアリー・アニングが暮らしていた町としても有名)。人間嫌いの古生物学者メアリー・アニング(ケイト・ウインスレット)は、世間とのつながりを絶ち、細々とありふれた化石の土産品を売りながら、老いた母親とこの町でふたりで暮らしています。劇中では徹底的に無口で無骨な女性に扮しているのが印象的でした。かつて彼女が13歳の時に発掘した化石が大発見として世間をにぎわせ、大英博物館に展示されましたが、労働者階級出身で女性であるメリーの名はすぐに世の中から忘れ去られようとしていました。

現在は土産物用のアンモナイトを発掘し、細々と生計を立てている彼女は、ひょんなことから裕福な化石収集家の若妻シャーロット(シアーシャ・ローナン)は、夫に連れられメアリーの元を訪れます。流産の痛手を負った彼女の転地療養の為、メアリーは数週間彼女を預かることになります。美しく可憐で、何もかもが自分とあまりにかけ離れた境遇・性格が正反対のシャーロットにいら立ち、冷たく突き放すメアリーでしたが、シャーロットが海浜で泳いだ為、高熱で倒れたことがきっかけに変化が訪れます。自分とあまりにかけ離れたシャーロットは、実はメアリーと同じく、孤独を抱えていることを知り、次第にひかれていきます。

監督は初長編作「ゴッズ・オウン・カントリー」で、ひかれあう2人の青年の姿を繊細に描いて注目されたフランシス・リー。2020年・第73回カンヌ国際映画祭(新型コロナウイルス感染拡大のため通常開催を見送り)のオフィシャルセレクション作品。

2020年製作/117分/イギリス
原題:Ammonite

『アンモナイトの目覚め』のスタッフとキャストについて

Johnnie ShannonによるPixabayからの画像

フランシス・リー監督・脚本:イングランド、ヨークシャーのペナイン・ヒルズにある農場で育つ。俳優としてキャリアを積んだものの映画学校に入学する余裕がなく、自力で資金を調達してみずから脚本・監督を手がけた短編映画『The Farmer’s Wife』等、3本とも国際映画祭で上映され、多くの賞を受賞している。

『ゴッズ・オウン・カントリー』(17)が、サンダンス映画祭、英国インディペンデント映画賞、ベルリン映画祭、英国アカデミー賞などで数々の賞に輝き、鮮烈なデビューを飾った同監督。長編2作目となるのが本作『アンモナイトの目覚め

ケイト・ウインスレット(メアリー・アニング):1994年、17歳のときに「乙女の祈り」で映画デビューを果たす。恋愛ドラマ「いつか晴れた日に」(95)でアカデミー助演女優賞にノミネート。世界的大ヒット作「タイタニック」(97)のヒロイン・ローズ役で人気を博す。

本作品では芯が強く、孤独に生きる女性役を見事に演じた。

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エターナル・サンシャイン 2004年 米国映画 レビュー

シアーシャ・ローナン(シャーロット):1994年生まれ、アメリカ合衆国のニューヨークに生まれる。両親は共にアイルランド人。09年公開のピーター・ジャクソン監督作品『ラブリーボーン』の主役に抜擢される。『ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語』に主演し、本作でキャリア 4度目となるアカデミー賞、5度目の英国アカデミー賞、4度目のゴールデングローブ賞等にノミネートされる。ジェニファー・ローレンスに続き史上2番目に若い4度アカデミー賞にノミネートされた女優となっている。アイルランドを代表する女優。

本作品では、最初は夫に完全に支配され抑圧されており、人形のような人物として登場します。それが最後には健康を取り戻し、自分という人間をしっかり持ち、自分の意志で物事を決められる女性にすっかり変わっていく役柄を演じています。

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『アンモナイトの目覚め』のネタバレ感想

Mark HemmingsによるPixabayからの画像

約200年前の実際に実在した人物の物語を、一部創造も加えて描いたドラマとなっています。イングランド南西部の小さな町が舞台となります。そこの海岸では恐竜、アンモナイトなどの完全な化石が良く発見される土地柄のようです。

メアリ―は、世間との交流を断ち切り孤独に生きる女性です。ひょんなことからシャーロットとの交流が始まります。生まれも育ちも全く異なる二人で、本来接点を持つ事すらあるべき筈も無いのですが、運命の悪戯で数週間同居することになります。メアリーは最初全く、相手にしませんが、少しのお金の為にいやいや面倒を見ている程度でしたが、海で泳いだことが原因で体調を崩したシャーロットを必死に看病して命を救ったことから、二人の間が急速に近づいて行く様子が描かれています。

それでも、メアリーの表情はいつまでも硬く決して緩める事がありません。やはり、労働者階級生まれの素朴な人間性は決して変わらないという事が、よく分かります。でも、表には出ない感情で、二人の女性の間に強く惹かれ合う気持ちがあったことが静かに描出されていきます。(女性同士の感情なので想像するしかありません…)一時、世間の雑事を忘れて、じっくりと味わいたい良い映画だと思いました。

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