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映画『ヴェロニカ・ゲリン』(2003/ジョエル・シュマッカー監督)感想/ケイト・ブランシェット主演の麻薬犯罪の実態を取材するジャーナリストの闘いを描く

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『ヴェロニカ・ゲリン』のあらすじと概要

Marion StreiffによるPixabayからの画像

実在したアイルランド最大の部数を誇る大手新聞社、サンデー・インディペンデント誌の記者の女性ジャーナリストの生きざまを「フォーン・ブース」のジョエル・シュマッカーが映画化。

1994年、アイルランドでは麻薬関連の犯罪が急増しており、常習者は青少年を含む1万5千人とも言われていた時代でした。

夫と子供たちと平穏な日々を送る新聞記者ヴェロニカ(ケイト・ブランシェット)。だが彼女は、街の子供たちが麻薬犯罪の犠牲になっていることに憤って取材をし、ある麻薬組織のボスに辿り着くが、彼女の報道を阻止しようと組織が脅迫してくる。しかし、家族の心配や脅しにも構わず、彼女は決して屈する事無く、執拗に麻薬組織の首謀者を追い続けた為、組織の凶弾に倒れてしまいます。享年37歳。

当時「ロード・オブ・ザ・リング」「ミッシング」に続き、「アヴィエイター」に出演していたケイト・ブランシェットが熱演し、本作でゴールデン・グローブ賞にノミネートされた。

『ヴェロニカ・ゲリン』のスタッフとキャストについて

Martin HochreiterによるPixabayからの画像

ジョエル・シュマッカー監督:1939年生まれ、米ニューヨーク出身。「縮みゆく女」(81)で映画監督デビューする。「セント・エルモス・ファイアー」(85)で人気を博し、「ロストボーイ」(87)、「フラットライナーズ」(90)といった映画の他、ロックバンド「INXS」のPVなども手がけた

ケイト・ブランシェット(ヴェロニカ):1969年生まれ、豪メルボルン出身。オーストラリア国立演劇学校在学中から演劇で高評価を得て、1994年に「Police Rescue(原題)」で映画デビューし、「オスカーとルシンダ」(97)でAFI(オーストラリア・フィルム・インスティテュート)主演女優賞を受賞する。

本作では、知的で正義感あふれるジャーナリストにふさわしい、颯爽とした雰囲気を好演した。

出演映画投稿記事:

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ジェラルド・マクソーリー(ジョン・ギリガン 麻薬組織の大ボス)

キアラン・ハインズ(ジョン・トレイナー):サム・メンデス監督作『ロード・トゥ・パーディション』(2002)、フィル・アルデン・ロビンソン監督作『トータル・フィアーズ』(2002)、ヘレン・ミレン、ジュリー・ウォルターズ共演作『カレンダー・ガールズ』(2003)、アンジェリーナ・ジョリー共演作『トゥームレイダー2』等に出演している。

『ヴェロニカ・ゲリン』のネタバレ感想

Per WaernborgによるPixabayからの画像

彼女の取材は最終的に組織の首謀者、ジョン・ギリガンに迫ります。彼の屋敷に単身で乗り込むシーンが凄いのですが、やはり、これは自信過剰で余りに無防備であったのではないかと思われます。

人より使命感が圧倒的に強い女性という事は、十分理解出来ます。しかしながら、本来警察に任せるべき領域にまでグイグイと顔を突っ込んで取材し、新聞に記事を書くという手法は、組織からすれば死活問題の為、反発も大きいことは彼女自身十分わかっていたはず…

妻として、母として、彼女がいかに普通の女性であったかを映画の中では強調されています。”「普通」だったからこそ、子供たちをも蝕む麻薬禍を見過ごすことができなかったのだ” そして、何度も脅迫を受けながらも、それでも取材を続けました。やむにやまれぬ強靭な正義感の源泉は一体何なのか、この点をもう少しヴェロニカの心情を、いま一歩深く掘り下げ表現して欲しかったと思います。

なお、彼女の死を契機に、アイルランド国内に麻薬犯罪撲滅の気運が高まり、憲法改正等も行われ麻薬犯罪は減少したという事実が最後に明らかになります。これが彼女の死は決して無駄ではなかったと強調しているようですが、やはり失ったひとりの人命はもっともっと尊いと思いました。

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