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おすすめ本|『ウニはすごい バッタもすごい デザインの生物学』本川達雄著 (中公新書)

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おすすめ本の紹介
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『ウニはすごい バッタもすごい デザインの生物学』の概要

djedjによるPixabayからの画像

『ハチは、硬軟自在の「クチクラ」という素材をバネにして、一秒間に数百回も羽ばたくことができる。アサリは天敵から攻撃を受けると、通常の筋肉より25倍も強い力を何時間でも出し続けられる「キャッチ筋」を使って殻を閉ざす―。いきものの体のつくりは、かたちも大きさも千差万別。バッタの跳躍、クラゲの毒針、ウシの反芻など、進化の過程で姿を変え、武器を身につけたいきものたちの、巧みな生存戦略に迫る』以上本書「帯」の説明書きに面白さに魅かれて本書を購入読んでみました。

専門家向けではなく我々一般大衆素人読者向けに書かれた本だと思いますが、もの凄い専門的な内容を、誰でも理解出来るような言葉で、平易に分かり易く説明されています。また、誰もが興味を持つように、又、納得いくように、モノの核心部分をしっかり解明されているところが本当に素晴らしいと感じました。もし、高校時代の生物の授業で本書の内容を取り上げていたら、間違いなく理系に進学していたかもしれない程、魅力を感じました。

動物には体のつくりが似たもの同士をまとめて大まかなグループを分けると、34の門に分けられるそうです。貝の属しているのは軟体動物門、ヒトデの属しているのは棘皮動物門、我々人類の属しているのは、脊索動物門。著者は本書の中で、5つの門(刺胞動物門、節足動物門、軟体動物門、棘皮動物門、脊索動物門】を取り上げています。どの動物たちも他とは異なる体のつくりを持ち。他とは異なる生き方をしながら繁栄しているものたちであり、それを可能にしているのは彼ら独自の体のつくりにあることを個々に説明されています。

『ウニはすごい バッタもすごい デザインの生物学』のトピックス紹介

1.海で最も生物多様性の高い生態系がサンゴ礁。サンゴ礁が海洋に占める面積はたったの0.2%ですが、なんと海水魚の種の1/3が、そして全海洋生物の1/4がサンゴ礁にいるそうです。その生物多様性をささえているのが、光合成による有機物の生産であるという。サンゴ礁のまわりの外洋と比較して、生物生産性は100倍も高いと指摘されています。

サンゴがどのように群体を形成するか細かく説明されています。何とサンゴは最初の一匹のポリプから群体を形成して行くというから驚きです。サンゴは次々と無性生殖を繰り返し、自分そっくりのサンゴを増やし造体サンゴを形成して行きます。10万個以上のポリプが集まり、直径数メートルに達するものがあると言います。更に、重要なのは、サンゴの体の中に藻類を住まわせ、共生していることです。この藻類が海の中で光合成をおこなう事が重要。サンゴは自分の体の中に藻類を住まわせる一方、生きて行くための栄養源をこの藻類から提供を受けています。

2.動物の中で一番種の数が多いのが昆虫。何と全動物の7割以上が昆虫、生物全体でもみても昆虫が半数を占めているという程、地球上では大繁栄していると聞き、改めて驚きました。

昆虫成功のカギを握る特質はキチン質の堅固な外骨格が、身体を支えるだけではなく、身体の内部を保護する機能を果たしています。また、乾燥から体を守る重要な働きをしています。飛ぶ昆虫の登場は古生代の4億年前で、有機物であるクチクラにより大きな運動能力を手に入れる事が出来ました。

昆虫が飛ぶ場合、極めて激しい運動であり、短時間で大量のエネルギーを消費する為、そのエネルギー供給源はATPですが、これは細胞内のミトコンドリアにおいて、糖を酸素で「燃やして」作られます。糖は細胞内に蓄えが効きますが、酸素は常に外から供給される必要があります。昆虫においては、普通の動物は血管が酸素供給体系で重要な役目を果たしますが、昆虫には酸素専用の運搬システムが構築されており、これが『気管系』。体表から直接体内の各細胞まで入り込んでいる為、直接酸素を手渡す事が可能となっています。

『ウニはすごい バッタもすごい デザインの生物学』の世間一般的な意見はどんなものがあるのか?

Here and now, unfortunately, ends my journey on PixabayによるPixabayからの画像

アマゾンカスタマーレビューより以下抜粋します。わたしと同じく絶賛されている読者多数です。

ウニやなまこの形にそんな意味があったのか。デザインに隠されたその生物の生きる戦略と合理性に、知的興奮の連続でした。手放したくない数少ない本の一つです。本当におもしろいです。

無脊椎動物の主要な分類群の驚くべき能力について、最新の研究情報を盛り込んで解説する。さすが生理学者の著者で、理路整然としていて読みやすい。話も生物の能力に関する物理化学、進化に及び縦横無尽。

最後に

本書を読むまで、昆虫など余り興味はありませんでした。しかし、俄然興味が湧いてきました。『昆虫博物館』とかは子供が訪問する程度と考えていましたが、是非、近場の博物館を探して見学したいものです。水族館と言えば、きれいな熱帯魚ばかりに目が行ってしまいがちですが、イソギンチャク、なまこ、貝なども観察したいものです。実は、わたしはダイバーで、「Cカード」を保有しています。最近はまったく潜っていませんが、山登りばかりではなく、『サンゴの海』も再訪したくなりました。

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