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新刊書紹介|『戦後民主主義に僕から一票』内田樹著 (SB新書)

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本屋の店頭で本書を見掛け購入していました。内田樹氏の著作は読むのは今回初めてでした。予想外にとても面白く、読後以前もやもやしていた従来からの疑問に対する自分の気持ちがすっきりする気分を味わう事ができました。「そうだったのか!」と思わず納得させられる内容がほとんどで、日本の理解、憲法改正問題、戦後教育問題等々、今後日本が向かうべき方向について「羅針盤」となる考えを示されているのではないかと思いました。

さらに、何となくもやもやしていた憲法、(大学)教育、日本の主権の有無などを問題提起さればっさばっさと斬るまくる鋭さは素晴らしい。特に、第二次世界大戦に参戦された世代の方々の戦地における生の声を殆んど聞いた事が無かったので、何となく不思議に感じていました。しかしながら、氏のおっしゃるとおりで、戦地での細かい事など生還した元軍人の立場からは一言も語るべきものではないという気持ちがすっきりと分かった様な気がします。

『戦後民主主義に僕から一票』の概略

日本の国の根幹を支える「民意」の反映は、もう失われてしまったのか? 道徳的「インテグリティ」が欠如する政治,、日本社会が「株式会社化」する民主主義、沈黙の憲法制定過程問題、貧して鈍して劣化する教育、日本の未来を創るうえで最重要となる4大イシューを取り上げ、日本を代表する論客が日本のイディオクラシ―を批判するとともに、この国の未来を問う(amazon本紹介より)

内田 樹(たつる)ご紹介:
1950(昭和25)年東京都生まれ。東京大学文学部仏文科卒。現在、神戸女学院大学文学部総合文化学科教授。専門はフランス現代思想。ブログ「内田樹の研究室」を拠点に武道(合気道六段)、ユダヤ、教育、アメリカ、中国、メディアなど幅広いテーマを縦横無尽に論じて多くの読者を得ている。

 

『戦後民主主義に僕から一票』の目から鱗のトピックス

現代日本の問題点の多くは「ある現実」すなわち「日本はアメリカの属国であり主権国家ではない」という事実を認める事を拒否して来た為、本日の不具合がほとんど派生している。

この文章にぶち当たりびっくり仰天しました。「日本にはもともと主権は存在しない」と言われています。しかし、主権が存在しないということで腑に落ちる点が数多ある事に気が付きました。日本には未だに多くの広い米軍の基地が沖縄を中心に存在します。首都東京に横田基地が居座り続けています。一国の首都に外国の軍事基地が存在する事に、多くの日本人は慣れてしまい可笑しいとは全く思っていません。

これは、アメリカの国益を最優先する日本の政権は、国防、エネルギー、食糧などについて、基本的な政策については日本は自己決定権を持っていないと著者は喝破されます。

オリンピック、万博、カジノ、リニアなどついても「家財道具を一切質に入れて賭場に向かう」、、、絶対採用してはならない「起死回生の大ばくち」とまで言っています。まさに、現在もコロナ対策の一環として、給付金、助成金の大盤振る舞いの多くの財源が国債発行によって賄われていると聞きますが、これは将来の子孫に莫大な借金を残すものです。1000兆円を優に超える国債発行に関わる罪船問題の解決については殆んど打ち手が無い状況が続いているのが現実です。

立法府の選挙で多数を制した場合でも、そこで選ばれた行政府の執行官は「公人」として振る舞わらなければならない。公人というのは多数派を代表するものではない。反対者を含めて集団全体を代表するもの。

どれほど多くの支持者がいようが、どれほど巨大な政治組織を基盤としようが、自分を支持する人間しか代表しない人間は「私人」である。

わたし自身、氏の言われる「公人」の意味を今まで大きく誤解していました。こんな話は聞いた事がありませんでした。自民党の代表は当然主に自民党支持者の意見を尊重するのが当然と考えていましたが、どうやらそうではそうではなく「公人」として行動すべきという意見には大賛成です。国会議員は選挙区で投票してくれる人の為だけに働くのではなく、「国民全員」の為にもっと働くべきだと考えます。

日本国憲法の掲げたさまざな理想は単なる概念である。『絵に描いた餅』である。この空疎な概念を、日本国民は「受肉」させ、生命を吹き込んでいく、そういう働きかけをしていかなければならない。憲法は書かれたらそれでお仕舞ではなく、憲法を完成させるのは、国民の長期にわたる集団的努力である。

金科玉条の様に言われ、一言一句も疎かにすべきものではないという考えを持っていました。著者は日本国憲法は理想が掛かれており、生命を吹き込むのは我々国民の使命であると指摘されています。このような考えは初めて聞くものでしたが、同感できる内容でした。

『戦後民主主義に僕から一票』の世間の一般的な考え方はどんなものがあるのか?

内田節満開といったところです。特に日本はアメリカの属国であるという主張、改憲論への違和感、教育の衰退など、今の日本に抱く違和感の理由が一本の筋が通ったかのようにつながります。(Amazon カスタマーレビューより)

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