映画『ゼロ・ダーク・サーティ』のあらすじ・概要
2011年5月2日に実行された、911全米同時多発テロの首謀者で、テロ組織アルカイダの指導者オサマ・ビンラディン捕縛・暗殺作戦の裏側を、「ハート・ロッカー」で史上初の女性によるアカデミー監督賞をを受賞したキャスリン・ビグロー監督が映画化。
テロリストの追跡を専門とするCIAの女性分析官マヤを中心に、作戦に携わった人々の苦悩や使命感、執念を描き出していきます。9・11テロ後、CIAは巨額の予算をつぎ込みビンラディンを追いますが、何の手がかりも得られずにいました。そんな中、CIAのパキスタン支局に若く優秀な女性分析官のマヤが派遣されます。マヤはやがて、ビンラディンに繋がると思われるアブ・アフメドという男の存在をつかみます。
膨大な情報の解析から、アブ・アフメドの本名「Ibrahim Sayeed」が割り出され、アブ・アフメドに対して懐疑的だった上層部もついに折れ、情報の重要性を認識するようになります。アブ・アフメドの母親の電話番号を得るためにクウェートに飛び、CIAの多額の資金が使われることになります。しかしながら、捜査は一向に進展せず、世界各国で新たな血が次々と流されていく事態が続いていました。
電話の盗聴から、アブ・アフメドの居所がパキスタンであることが特定され、アブ・アフメドがアボッターバードという町の屋敷に住んでいることが判明します。マヤはアブ・アフメドこそが瓶・ラディンの情報連絡係りであり、この屋敷にビン・ラディン本人がいると確信を強めます。しかし、ビンラディンの捕捉作戦決行までに、CIAの最終決断まで相当の時間を要する事になります。やがて、隠密作戦用のヘリコプター2機による奇襲作戦が決行され、ビン・ラディンは射殺されることになります。
脚本は「ハート・ロッカー」のマーク・ボール。主人公マヤを演じるのは、「ヘルプ 心がつなぐストーリー」「ツリー・オブ・ライフ」のジェシカ・チャステイン。
2012年製作/158分/アメリカ
原題:Zero Dark Thirty(タイトルは米軍隊の俗語で「未明」を意味する)
映画『ゼロ・ダーク・サーティ』のスタッフとキャストについて
キャスリン・ビグロー監督:1982年、モンティ・モンゴメリーと共同で「ラブレス」を監督し、87年「ニア・ダーク 月夜の出来事」で単独監督に挑む。イラクで爆弾処理にあたる米兵士を描いた「ハート・ロッカー」(09)では、アカデミー賞で女性初の監督賞を受賞し、作品賞にも輝いた
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ジェシカ・チャスティン(分析官マヤ):高校生の時に能力を買われCIAにリクルートされた才媛、同僚を自爆テロで亡くした事で、狂気にも似た執念でビンラディンを追跡する主人公を熱演/70年代から80年代のアメリカで成功を収めたテレビ伝道師タミー・フェイを演じた「タミー・フェイの瞳」(21)では、第94回アカデミー主演女優賞に輝いた。
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ジェイソン・クラーク(ダニエル): CIA諜報専門家。後に本部に異動/最近の出演映画は、「マッドバウンド 哀しき友情」(17)、「ファースト・マン」(18)、「ペット・セメタリー」(19)など多数。
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ジョエル・エドガートン(パトリック):米国海軍DEVGRUチームリーダー/レオナルド・ディカプリオ主演作「華麗なるギャツビー」(13)といった話題作へ出演。
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映画『ゼロ・ダーク・サーティ』のネタバレ感想
(ネタバレ有り)一人の若いCIA女性分析官の執念が実り、ビンラディン追跡作戦が成功することになります。ドキュメント風に描出されています。前半てテロ事件に関わる逮捕者に対する情報聴取の為の拷問が過酷を極めており、びっくり仰天しました。世界各地で繰り返される爆破テロ事件の悲惨さも目を覆いたくなる惨状の連続でした。CIA捜査官らを標的にした事件も起こり、大きな犠牲者を出していました。
主人公のCIA分析官マヤ役のジェシカ・チャスティンは従来の出演作品と一味も二味も異なる、すこぶる執念深い強い女性を見事に演じており、上司(結局は無能だった)をも罵倒する大迫力の演技にはドン引きする位衝撃を受けました。
ビンラディン捕縛・暗殺作戦、映画とは言え、どこまでが本当の出来事で、どこがフィクションか不明瞭ながら、作戦中のヘリコプターが家畜小屋にまさかの墜落という事故も起こしており、これがリアルさを増している様にも思えました。しかしながら、ビンラディンのアジトを突き止め乍ら、120-130日も奇襲作戦は実行されませんでした。様々な難しい問題も米国政府・CIA内部にあろうとは思われます。しかし、個人的な意見ですが、余りに時間が掛かり過ぎの感は否めません。その間、万一ビンラディンが住居変えていたら、作戦は失敗していた可能性も十分あり得ます。勿論その間逐次人工衛星による監視は常時行われており、動きは無い事を確信の上での作戦実行だったと思います。
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