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誰も見たことが無いパリ13区を舞台に織りなす、迷いながらも何かを求め続ける大人たちの恋愛物語・映画『パリ13区』【感想】

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『パリ13区』のあらすじ・概要

「ディーパンの闘い」「預言者」などで知られるフランスの名監督ジャック・オーディアールが、「燃ゆる女の肖像」で一躍世界から注目される監督となったセリーヌ・シアマと、新進の監督・脚本家レア・ミシウスとともに共同脚本を手がけ、デジタル化された現代社会を生きるミレニアル世代の男女の孤独や不安、セックス、愛について描いたドラマ。

再開発による高層マンションやビルが並び、アジア系移民も多く暮らすなど、パリの中でも無機質の高層ビルが立ち並び、アジア系住民が多く現代を象徴する13区を舞台に、都市に生きる者たちの人間関係を、洗練された瑞々しいモノクロームの映像と大胆なセックスシーンとともに描き出していきます。

コールセンターでオペレーターとして働く台湾系フランス人のエミリーのもとに、ルームシェアを希望するアフリカ系フランス人の高校教師カミーユが訪れる。2人はすぐにセックスする仲になりますが、ルームメイト以上の関係になることはありません。

同じ頃、法律を学ぶため田舎の町からソルボンヌ大学に10年振りに復学したノラは、年下のクラスメイトたちに溶け込めずにいました。金髪ウィッグをかぶり、学生の企画するパーティに参加したことをきっかけに、元ポルノスターのカムガール(ウェブカメラを使ったセックスワーカー)の”アンバー・スウィート”本人だと勘違いされてしまったノラは、学内の冷やかしの対象となってしまいます。大学を追われてしまったノラは、教師を辞めて不動産会社に勤めていたカミーユの同僚となります……個性溢れ魅惑的な3人の女性と1人の男性の物語がつながっていきます。

北米のグラフィック・ノベル作家エイドリアン・トミネの短編集「キリング・アンド・ダイング」「サマーブロンド」に収録されている3編からストーリーの着想を得た。2021年・第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。

2021年製作/105分/フランス
原題:Les Olympiades

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『パリ13区』の監督とキャストについて

ジャック・オーディアール監督『預言者』(09)でカンヌ国際映画祭グランプリを受賞、マリオン・コティヤール主演『君と歩く世界』(12)ではゴールデン・グローブ賞外国語映画賞と主演女優賞にノミネートされた。カンヌ国際映画祭パルムドール受賞『ディーパンの闘い』をはじめ数々の名作で世を驚かせてきた、今年70歳を迎える鬼才ジャック・オディアール。

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ルーシー・チャン(エミール):2000年10月27日、フランス、パリ出身。2019年に大学に通いながらパリ16区にある芸術学校で演劇を学び、本作でスクリーンデビュー

マキタ・サンバ(カミーユ):1987年フランス、パリ出身。主な出演作に、『À moi seule』(12)、『Mon amie Victoria』(14)、リュック・ベッソン製作総指揮のドラマシリーズ「ノーリミット」(15)、フィリップ・ ガレル監督の『つかのまの愛人』(17)

ノエミ・メルラン(ノラ):『燃ゆる女の肖像』(19)ではリュミエール賞主演女優賞を受賞し、セザール賞主演女優賞、ヨーロッパ映画賞主演女優賞ノミネートほか。

ジェニー・ベス(アンバー・スウィート):1984年12月24日、フランス出身。ロンドン出身女性4人組ポスト・パンク・バンドSavages(サヴェージズ)のボーカルとして活躍。2013年のデビューアルバル「サイレンス・ユアセルフ」と2016年のセカンドアルバム「アドア・ライフ」で2作品連続で英国最高峰の音楽賞マーキュリー賞にノミネートされている。

『パリ13区』のネタバレ感想

ネタバレ有り。

まず、冒頭から大胆な男女官能的な絡みのシーンの印象が強く、目のやり場に困りました。大きな劇場で観たわけではなかったのですが、GW連休初日五月晴れの好天気にもかかわらず、映画館内は『満席』の大盛況。老若男女にこんなに人気がある映画とは知らずに見ましたが、大変興味深く観賞する事が出来る面白い映画でした。

エミール役のルーシー・チャンは台湾系フランス人2000年生まれで本編がデビュー作品とはとても思えないような大胆(若いのにかなり太々しい女性役)な演技にはびっくり仰天させられました。映画の中で中国系住民、仲間と会話するシーンは聞覚えのある中国語(北京語)が交わされていました。さらに、家族の故郷台湾を回想するシーンもあり、懐かしさを覚えました。さらに、アフリカ系の青年カミーユなどの出現、中華街での食事など、一瞬フランス・パリが舞台の映画である事を忘れてしいそうになる程の登場人物の多国籍ぶりでした。パリ13区の雰囲気が、普通の「パリ」ではないということを自分の頭の中で整理がつくまで、しばらく時間を要することになります。

歯切れのよい展開、雑念を取り払ったモノクロームのシンプルな画面、映像としっかり融合した音楽と画面に耳や目は釘付けになりました。3人の若い女性と一人の男性によって展開される3編のストーリーは自然な展開で織りなされていくところは見事。今日もパリの街の片隅で展開されるであろう人間ドラマのものすごく力強い描出、興味ある方には是非お勧めする作品です。

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