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新作映画『スペンサー ダイアナの決意』(2021/パブロ・ラライン監督)感想‣王妃の座を捨て、女性として、母として、一人の女性として生きる道を選ぶ決断をした運命の3日間…

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映画『スペンサー ダイアナの決意』のあらすじ概要

クリステン・スチュワートがダイアナ元皇太子妃を演じ、第94回アカデミー賞で主演女優賞に初ノミネートを果たした伝記ドラマ。ダイアナがその後の人生を変える決断をしたといわれる、1991年のクリスマス休暇を描いた作品。

1991年のクリスマス。ダイアナ妃とチャールズ皇太子の夫婦関係は冷え切り、世間では不倫や離婚の噂が飛び交っていました。しかしエリザベス女王の私邸サンドリンガム・ハウスに集まった王族たちは、(そこはどんなに寒くても暖房を入れない冷え冷えとした屋敷)クリスマス休暇のなかで描かれていきます。ダイアナ以外の誰もが平穏を装い、何事もなかったかのように過ごしています。息子たちと過ごす時間を除いて、ダイアナが自分らしくいられる時間はどこにもなく、ディナー時も礼拝時も常に誰かに見られ、彼女の精神は追い詰められ限界に達していました。

追い詰められたダイアナは故郷サンドリンガムで、その後の人生を変えるとても重大な、前代未聞の勇気ある決断をすることになります。彼女がどんな思いであの決断に至ったのかとても丁寧に描出されていきます。更に背景としては、夫の裏切りに傷ついたダイアナ、執拗なパパラッチや慣れない王室の作法から来るストレスにも苦しめられ、摂食障害を患ってしまう様子も描かれています。本作は、この最も悩んでいた頃の3日間を彼女を描いています。

監督は「ジャッキー ファーストレディ 最後の使命」のパブロ・ラライン。

 

2021年製作/117分/ドイツ・イギリス合作
原題:Spencer

Jessica CrawfordによるPixabayからの画像

映画『スペンサー ダイアナの決意』のスタッフとキャストについて

パブロ・ラライン監督:チリを代表する映画監督・プロデューサーのひとり。首都サンティアゴに拠点を置く映像制作会社Fabulaの創立メンバー。ナタリー・ポートマン主演作「ジャッキー ファーストレディ 最後の使命」(16)で初めて英語作品のメガホンを取る/チリ人監督が彼の視点から英国社会を捉えて映画化するという試みが新鮮。

ヘアメイク担当は日本人 吉原若菜:ヘアスタイルはダイアナそっくりの髪型には拘らず、クリステンの中にあるダイアナを引き出すヘアメイクを心掛けたという!何とこの作品ではダイアナ妃のウィックを被っていた事を話していました。バレない様に苦労したそうです…『ナイル殺人事件(22)』なども担当されています。

クリステン・スチュワート(ダイアナ妃):デビッド・フィンチャー監督「パニック・ルーム」(02)でジョディ・フォスター演じる主人公の娘役を務め、注目を集める/ダイアナの特徴ある発声法まで学びスクリーンで見事に披露しています。

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ティモシー・スポール(アリステア・グレゴリー少佐):「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」(07)や「英国王のスピーチ」(10)など話題作でバイプレイヤーとして存在感を発揮/ロイヤルファミリー全員の所作を鋭く観察し、逐一報告を受けている人物。ダイアナの部屋に「アン・ブーリン」の書物をおいて置く。

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サリー・ホーキンス(マギー):ダイアナの衣装係の付き人、ダイアナが唯一心を通わせることが出来る人物を演じる。

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映画『スペンサー ダイアナの決意』のネタバレ感想/見どころ

【ネタバレ有り】

チャールズ英国皇太子(当時、現国王)と20歳で結婚し、全世界の人々に愛され、ダイアナフィーバーを巻き起こしました(当時うちの父親は”ダイアナちゃん”と呼んでいました)。しかし、36歳の若さで交通事故で亡くなっています。彼女の運命を決めた、エリザベス前女王の私邸サンドリンガム・ハウスで過ごしたロイヤルファミリーとの3日間の様子が描かれています。

自由奔放な性格とは真逆な窮屈な決まりごとに縛られた王室の生活に馴染めず息詰まっていくダイアナの日々が描かれています。致命的なのはチャールズ皇太子(当時)の心がダイアナからは完全に離れて行ってしまった影響が大きかったのではないかと思います。不倫相手と同じ大きな真珠のネックレスがダイアナにも贈られている事を知り、大変なショックを受けていることが強調されていました。

パパラッチから撮影されない様に部屋のカーテンは昼間でも真っ暗に締め切られてしまいます。また、滞在中に着るドレスは自分の好みと関係は無く、全て指定されていました。12月のクリスマスシーズンに、女王の私邸には暖房が無く、二人の息子たちは震え上がっているとことろも信じ難いものがありました。

冒頭、颯爽とポルシェのオープンカーを運転する勇ましい姿とはまったく対照的に、私邸到着以降は、憂いを秘めた表情になります。一挙に落ち込んでいく痛々しいまでのクリステン・スチュワートの演技の見事さに驚きました。ダイアナの内面の葛藤をカメラを通して、観客自身も追体験する事になります・・・

一方、対照的な何があろうと素知らぬ顔で平静を装う王室ファミリーの面々、ダイアナの行動を24時間体制で監視するグレゴリー少佐などの存在です。ダイアナはまったく孤立無援。唯一心を開ける衣装係マギーは小さな問題でロンドンに送り返されていました。

最後に息子らと3人で、ダイアナ自ら運転してロンドンに戻るシーンが映し出されます。何と快活で明るい表情の家族の姿! 心の中の決断を堺に晴れ晴れした心境の変化を見て取る事が出来ました。彼女は、この決断は決して悔やむことは無いと確信させられるシーンでした。

 

 

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