『レア・セドゥのいつわり』のあらすじ概要
フランスの俊英アルノー・デプレシャンが現代アメリカ文学を代表する作家フィリップ・ロスの映画化が不可能と言われていた小説「いつわり」を斬新に映画化。
イギリス人の愛人役を『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』のレア・セドゥがしなやかに演じてその官能的な肢体を惜しげもなく披露しています。毎シーン違うファッションも作品の魅力。作家と多くの愛人たちとの様々な場所でのスリリングな会話からなる濃密な時間と空間が見るものを不思議な体験に誘う映画です。
1987年ロンドン。女は夫との結婚生活に不満があり、ユダヤ系アメリカ人作家フィリップの仕事場を度々訪れます。そこで彼らは人生、宗教、愛、社会、互いの夫婦生活についての興味深い会話をし、体を重ねます。フィリップは女との会話を悉く丁寧に書きとめ、次の作品創作に活かしていました。その創作ノートには、NYで入院している昔の愛人、チェコから亡命してきた女性、かつての教え子など複数の女性も登場します。
2021年製作/103分/フランス(日本の劇場では未公開作品)
原題:Tromperie(欺瞞)
『レア・セドゥのいつわり』のスタッフとキャストについて
アルノー・デプレシャン監督:フランス・ルーベ出身。2016年、第69回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門の審査員に選出されています。代表作品『二十歳の死』、『そして僕は恋をする』
➢映画『ダブル・サスペクツ/ルーベ、嘆きの光』(2019/アルノー・デプレシャン監督)感想‣地味で渋い作品でありながら、一人の警視ダウードの眼差しは慈愛に満ちていた!
レア・セドゥ(イギリス人女性):1985年7月1日、フランス・パリにて生まれる。2013年、主演したアブデラティフ・ケシシュ監督の『アデル、ブルーは熱い色』が第66回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞しています。
➢映画『マリー・アントワネットに別れをつげて』(2012/ブノワ・ジャコー監督)感想‣「家政婦は見た」ではなく、「王妃の朗読係が見た」フランス革命の一断面!
ドゥニ・ポダリデス(フィリップ):ギリシャ系のフランスの俳優、脚本家。1989年以来、140以上の映画やテレビ番組に出演しています。
➢おすすめ映画|『ダ・ヴィンチ・コード』(2006/ロン・ハワード監督)
『レア・セドゥのいつわり』のネタバレ感想・見どころ
【ネタバレ有】
フィリップの小説の書き方が、女性との会話を事細かに書留めて、その文章を自分の小説にそのまま書き込んでいくという驚くべきスタイルなのには驚きです。(実際に出版された小説を読んだ友だちに「この内容はあなたの言い方そっくり」と指摘されたことを、映画の最後の方で述懐しています)映画の中に、自分の妻以外に数多くの女性との”関係”があった事が語られていきます。魅力的な女性と付き合う目的は別にあるにしても、メモ帳片手に、会話した内容を枕元で、その度に書き留められては、「本当は気持ちがまったくはいっていないのじゃないか」と疑われて、恋も急激に冷めてしまうような気がします…逆の立場だったら(ことが終わった後、”感想文”をメモっている女性が完全にしらけると思います…)
あるいは逆に女性の方から「わたしのことを、是非今度の小説に書いて欲しい!」という願望を持ちつつ、男性を受け入れる女性がいるものなのか、考えさせられました。
これ程、女性に好意を持たれる原因はやはりフィリップ自身が既に大変名の売れているベストセラー作家(フィリップ・ロスは現代のアメリカ文学を代表する小説家のひとり)である為、数多の女性がなびくオーラを発していたのかもしれません。また、”聞き上手”(聞き役に徹している)だからこそ、女性から好かれるチャンスも大きいのだと思いました。
それにしても、妻に自分の大事な創作ノートを盗み読みされてしまい、自分の仕事の為に使っていた部屋でイギリス人女性(レア・セドゥ)との逢瀬を重ねていたことすべてがバレてしまいました。フィリップは必死にその事実を否定します。ノートに書き留めた内容は全てが創作だと強弁します。しかしながら、女性の鋭い勘は決して侮れません…あたふたと声を張り上げ、メモ書きの一字一句は全て”創作”である事を解説させられていました…万事休すです。
それにしても亭主ある女性であるレア・セドゥを相手に逢瀬を重ねる小説家フィリップ!何とも羨ましい話で正直”嫉妬”以外の何ものも有りません。
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