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公開中おすすめ映画感想『エンドロールのつづき』(2021/パン・ナリン監督)‣少年が映画に恋し、手作りの映写機を作った監督の実体験!

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『エンドロールのつづき』のあらすじ概要

インドのチャイ(煮だしミルクティー)売りの少年が映画監督の夢へ向かって走り出す姿を、同国出身のパン・ナリン監督自身の実話をもとに描いたヒューマンドラマ。

インドの田舎町チャララ村で暮らす9歳の少年サマイは、学校に通いながら父のチャイ店を手伝っています。バラモン階級出身で厳格な父は映画を低劣なものと考えていますが、信仰するカーリー女神の映画だけは特別だと言い、家族で町の映画館ギャラクシー座におよそ5年振りに映画を見に行くことになります。初めて経験する映画の世界にすっかり心を奪われたサマイは再び映画館に忍び込みますが、チケット代を払えず追い出されてしまいます。それを見た映写技師ファザルは、料理上手なサマイの母が作る弁当と引き換えに映写室から映画を見せると提案。サマイは映写窓から見る様々な映画に圧倒され、tついに自分も映画を作りたいと思うようになります。

主人公サマイ役には、約3000人の中から選ばれた新人バビン・ラバリが抜擢されています。

なお、本作品は世界中の映画祭で5つの観客賞を受賞、規格外な絶賛を受けるとともに、アカデミー賞の国際長編映画賞にインド代表として選出されています。また、辛口で知られる映画批評サイト「ロッテントマト」では、2022年8月30日時点で奇跡的に100%支持!!

2021年製作/112分/インド・フランス合作
原題:Last Film Show

Bishnu SarangiによるPixabayからの画像

『エンドロールのつづき』のスタッフとキャストについて

パン・ナリン監督・脚本:、自称「世界一の映画ファン」! 異常なまでの映画愛を持った監督。インドの北西部グジャラート州の片田舎出身。初の長編映画『性の曼荼羅』(01)がアメリカン・フィルム・インスティテュートのAFI Festと、サンタ・バーバラ国際映画祭で審査員賞を受賞、メルボルン国際映画祭で“最も人気の長編映画”に選ばれるなど絶賛されています。BBC、ディスカバリー、カナル・プラスなどのTV局でドキュメンタリー映画の制作を担当。最近来日され映画館での舞台あいさつで、“映画館が観客でいっぱいになっている方がオスカーより重要”と笑顔で話していたというエピソードが伝えられています。

新人バビン・ラバリ(サマイ):“サマイの行動力”が素晴らしい。映画を観るためならなんでもする情熱の持ち主として描かれています。年齢わずか9才。「本作の撮影前まで実際に映画館で映画を見たことが無かった」という。

リチャー・ミーナー(母親):ナショナルジオグラフィック制作のドキュメンタリードラマ“Secrets of Taj Mahal”(11・原題)で主役を務める/毎朝息子の為に美味しそうな手作り弁当(たっぷり野菜添え)を丹念に作りますが、実際は映写技師のファザルがほとんど食べています。薄々は他人が食べている事を気付いていた様な気もします。サマイの母の手料理も、グジャラート地方独特の味付けとして公式サイトや劇場用パンフレットで紹介されているという。

バベーシュ・シュリマリ(映写技師):人の良い映写技師、映画がフィルムからデジタルの時代が押し寄せ、英語がまったく分からず映写技師を失業してしまう。しかし、サマイの紹介された駅長の伝手で駅での荷物運びのポーターの仕事を得る事が出来る。映画に欠かせないのは「物語」と「光」だとサマイに教えるなど、映画の事、映写技術の事など詳しくサマイに教えて行く。

BANITA TOURによるPixabayからの画像

『エンドロールのつづき』のネタバレ感想・見どころ

ネタバレ有り

最高傑作!全ての映画ファンに是非見て欲しい映画です!

インドの田舎町の少年が一度見た映画のすっかり虜になり、映画に没入して行く様子が描かれていきます。行動力、映画に対する情熱が迸り出ているストーリー展開は将来の”大監督”を予想させますが、本作品は何とわずか9才前後で親元を離れ”都会”に出発するシーンで終わります。

インド庶民の映画に対する熱気が至る所から存分に伝わってきました。映画館のチケット売り場の溢れ返る人混みの行列にびっくり仰天しました。映画に魅せられた少年サマイは家族と映画を見た後、一人こっそりやって来て又見ようとします。チケットを買う金が無い為、見つかって叩き出されます。運良く映写技師ファザルとある取引をする事で映画を見る事が出来るようになります。

ファザルからサマイは映写技術に関わる知識を聞き、映画への関心をより一層高めていきます。パン・ナリン監督の自伝的映画という内容です。ほぼ実体験を再現したストーリーになっていますが、嘘だろうと思える驚きの連続にびっくり仰天!

展開は是非映画館で愉しんで頂きたいと思いますが、最大の驚きは”盗んだ”映画フィルムを自家製の”映写機”を使って白い布のスクリーンに映し出し、しかも音楽、セリフ、音響効果を入れて、しかも”観客”まで動員し映写会を開催しているシーンでした。息子が何事か悪だくみでもしていないか血相を変え、父親が探しに来ます。しかし、予期もしなかった「映写会」の楽しそうな場面に遭遇、物言わずその場を立ち去ります。いったい父親の脳裏にはどのような想念が思い浮かんでいたことやら…

また、インドのイメージを一変させる素晴らしい田園・自然の美しさにも驚きました。インダス川で沐浴するシーンしか思い浮かびませんでしたが、”爽やかな”インドの風景、貧しいながらも一家4人慎ましい生活ぶり等々、パン・ナリン監督の目、カメラ、あるいは偶然拾い集めた色つきの”瓶”を通じ、このような”インド”が映し出される所は驚きでした。

インド料理、それも毎朝、赤い布に包まれて手渡される母親お手製の愛情弁当の美味しそうな料理、監督の出身地、グジャラート地方独特の味付け(映写技師ファザルを虜にした)と有りますが、これもインド料理=カレーという単純なイメージを完全に一新しました。

9才で都会に旅立ち、それからどのように成長していったのか、続編が楽しみです!

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