『ボクサー』のあらすじ概要
刑務所帰りの元ボクサーと、彼の元恋人の人妻をめぐるラヴ・ロマンス。監督は「マイ・レフト・フット」「父の祈りを」のジム・シェリダンで、主演のダニエル・デイ=ルイスとのコンビ3作目となります。
北アイルランド、ベルファスト。ボクサーとして有望視されながら、IRAに参加したことで服役していたダニーは14年ぶりに故郷の町に帰ってきました。元恋人で組織の幹部ジョーの娘でもあるマギーは、親友の妻となり、息子のリアムを育てながら服役中の夫を待つ身でした。ダニーはマギーへの愛を胸に、元コーチのアイクの助けを借り、再びボクサーとしてリングへあがります。
再燃するかに見えたダニーとマギーの仲は、穏健派のリーダーであるジョーにも従わないIRAの過激な闘士ハリーをはじめとする組織の監視の目に阻まれてしまいます。そして警察互助会会長のレジー・ベルが主催するボクシングの試合の日。強敵をくだしたダニーでしたが、直後、会長が暗殺される事件が起こり騒然となります。暴動の中、ジムも炎上。放火したのはマギーとダニーの密会に疑いを抱き、ふたりがどこかにいってしまうのではないかと考えた息子リアムでした。マギーからことの次第を聞き、ショックを受けるダニー。そこをハリーたち過激派が急襲、ダニーは拉致されてしまいます・・・
1997年製作/114分/イギリス
原題:The Boxer
『ボクサー』のスタッフとキャストについて
ジム・シェリダン監督・脚本・製作:89年ニューヨークからダブリンに戻り「マイ・レフトフット」を製作。40歳にして初の長編監督作は、ダニエル・デイ=ルイスがアカデミー主演男優賞、ブレンダ・フリッカーが同助演女優賞を受賞し、自身は監督賞と脚本賞にノミネートを受けています。
アイルランド・ダブリン出身。ダブリンで劇作家として活動後、 81年に妻子を連れてニューヨークに移住、映画製作を学ぶ。89年、ダブリンに戻り「マイ・レフトフット」を製作するという経歴を持ちます。
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ダニエル・デイ=ルイス(ダニー):テロリスト。IRAに参加したことで14年間も服役して戻ります。生きる証として、以前から続けていたボクシングのリングに立ち闘いを再開します。かつての恋人は既に親友と結婚して子供もいます。夫は服役中で帰りを待っている生活を続けている。
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エミリー・ワトソン(人妻マギー):14年前はダニーの恋人でしたが、ダニーが服役する前に『待っていてくれ』と言われなかった為に、ダニーの親友と結婚してしまう。心の底ではダニーへの未練を捨てきれずにいるものの、世間の目が気になり思う様に再会を喜び合えないもどかしさがある。
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『ボクサー』のネタバレ感想・見どころ
北アイルランド紛争中のダブリンの街の様子、ボクシングに生き甲斐を見出す男、かつての恋人は14年間の時間を経て人妻となっている現実を目の当たりにします。
”戦争”により人生の歯車が狂い始めた多くの人々の苦しみが表現されていています。ダブリン出身のジム・シェリダン監督が戦争の傷跡というべきアイルランドの歴史を映像化して残し、戦争の空しさを人々に訴えている気がします。
主演のダニエル・デイ=ルイスはロバート・デ・ニーロと同じく徹底した役作りで知られる役者です。本作『ボクサー』では、プロボクサーと週3回のスパーリングを3年続けましたが、そのスパーリングの最中に鼻の骨を折ってしまい、現在は鼻がわずかに曲がっているという徹底した訓練を積んでいたというからびっくり仰天です。
迫力満点のボクシングのシーンでした。約2時間の映画の中でボクシング試合のシーンは10分間も無かったと思います。そのシーン撮影の為に3年間もスパーリングを続けて徹底した”役作り”を行ったという執念には驚きました。
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