『私がやりました』のあらすじと概要
フランソワ・オゾン監督が、映画プロデューサー殺人事件の“犯人の座”をめぐって3人の女たちが繰り広げる騒動をユーモアたっぷりに描いたクライムミステリー。フランスでは過去にオゾンが手掛けた映画『8人の女たち』（2002）、『しあわせの雨傘』（2010）に次ぐ１００万人動員の大ヒット作品となっています。
１９３５年、パリの大豪邸で有名映画プロデューサーが殺害され、新人女優マドレーヌが容疑者として連行されました。マドレーヌはプロデューサーに襲われて自分の身を守るために撃ったと供述し、親友である若手弁護士ポーリーヌとともに法廷に立ちます。ポーリーヌの書いた台本にそってマドレーヌは裁判で陳述を繰り広げます。そして、正当防衛を訴える鮮やかな彼女の弁論と感動的なスピーチは裁判官・陪審員や大衆の心をつかみ、マドレーヌは無罪放免を勝ち取ったのみならず、悲劇のヒロインとして大スターの座を手に入れます。そんな彼女たちの前にかつての大女優オデットが突然現れ、プロデューサー殺しの真犯人は自分だと主張し、マドレーヌたちが手にした富も名声も、全部自分のものだと主張し始めます・・・
「悪なき殺人」のナディア・テレスキウィッツがマドレーヌ、「シモーヌ フランスに最も愛された政治家」のレベッカ・マルデールがポーリーヌ、「エル ELLE」のイザベル・ユペールがオデットを演じた。
2023年製作／103分／フランス
原題：Madeleine、『The Crime Is Mine（英題）』
『私がやりました』のスタッフとキャストについて
フランソワ・オゾン監督：映画ファンの期待に応えて、本作はレトロな魅力と新しい感覚がともに発揮された、楽しいサスペンスコメディとなっています。
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ナディア・テレスキウィッツ（マドレーヌ／売れない新人女優）：パリ出身。
レベッカ・マルデール（ポーリーヌ／マドレーヌとルームシェアする親友で新人弁護士）：パリ出身。『レア・セドゥのいつわり』（21）『シモーヌ フランスに最も愛された政治家』（22）などに出演したいます。
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イザベル・ユペール(オデット／得体の知れないトーキー時代の大女優）：パリ出身
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『私がやりました』のネタバレ感想・見どころ
フランソワ・オゾン監督の舞台劇を見ている様な軽妙なミステリーコメディ。初めは自分がやってもいない殺人犯の犯人であるとマドレーヌは突然嘘の自供をします。その裏には恐るべき遠謀深慮がありました。正当防衛を弁論と感動的なスピーチで訴え、見事に無罪放免されてしまいます。更に、悲劇のヒロインとして売り出し、人気が沸騰します。一歩間違えば、殺人犯として服役しなえればならないという恐ろしい賭けに出ますが、そんな心配は彼女たちには一切ありませんでした。大物映画プロデューサーの立場を利用し、若い新人女優を毒牙に掛けようとした大物映画プロデューサー(ハリウッドで最近告訴されるという事件がありました…）が自業自得で拳銃で撃たれるというストーリーは何となく現実感があり、ドキリとさせられるところがありました。
ところが、ストーリーの展開の半ばで真犯人登場には驚きました。イザベル・ユペールの圧倒的な存在感は流石でした。今は少々落ちぶれたとはいいものの（トーキー時代の大女優オデットという役柄）プロデューサー殺しに関しても、その理由はあっけらかんとしたものでした。ところが彼女は、偽の犯人と名乗る若手女優が有名になってしまった事がしゃくに障り、その名声は本来オデットのものであると意味不明な主張します。
とにかく脚本の素晴らしさに圧倒されました。個性派揃いの登場人物が面白くて堪りません。主人公二人の女性は当然のことながら、殺される大物映画プロデューサー、アパートの家賃の集金人、アパートの管理人のアバちゃん、検事とその手下などなど…そして彼らの絶妙な絡み合い、機関銃の様な会話は見ていて、聞いていてまったく飽きが来ません。フランス流のユーモアに包まれた映画もたまには気分展開に良いかも知れません。
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