『すべてが変わった日』のネタバレ感想・見どころ
【ネタバレ有り】
私と同じく幼い孫のいらっしゃる方が本作を視聴されたら、映画の印象もより一層強くなるのではないかと思いました。万一同じような立場にたった場合、孫と義理の娘のことが心配で居ても立ってもいられなくなる気持ちはわかります。新しい亭主が孫や娘に暴力を振るわれる場面を偶然に目撃してしまったら、そして、忽然として姿をくらましてしまったらその衝撃はかなり大きく、不安でいっぱいになりそうです。
ウィーボーイ家の女主ブランチは超難物でした。義理の娘の再婚相手ドニ―や兄弟ら、伯父さんなどは完全にブランチに支配されていました。1960年代の米国北西部の小さな町が舞台です。西部開拓時代の”因習”を未だに引きづっているのか、家長の権力は絶大でした。町の保安官を頼ろうにも、彼らもウィーボーイ家の味方となっている為、全く相手にしてくれません。
堪忍袋の緒が切れて、とうとう覚悟を決し実力行使に向かうケビン・コスナ―扮するジョージ。深手を負いながらも元保安官なのでとても逞しい。西部劇の復讐モノを見ている様な高揚感がありました。そのあとを、知り合いになったばかりの先住民の青年と一緒に馬に乗って駆け付けるダイアン・レインの姿も健気で凛々しい。結果的には義理の娘と孫を無事救出する事が出来ましたが、ジョージは撃たれてしまいます…こんな異様な一家と関係してしまった為に、命まで落とす事になった不運を恨むしかありません。
全編に漂う緊張感、ウィボーイ家の人々と交わす会話などのやり取りの異常さ、発っせられる言葉一字一句の気味悪さといったら堪らない恐怖を感じました。
『すべてが変わった日』のあらすじと概要
「マン・オブ・スティール」でも夫婦役で共演したダイアン・レインとケビン・コスナーが、不幸の連鎖によって危険な場所に連れ去られてしまった孫の救出のために立ち上がる夫婦を演じるスリラー。1963年、元保安官のジョージ・ブラックリッジと妻のマーガレットは、不慮の落馬事故により息子のジェームズを失ってしまいます。3年後、未亡人として幼い息子のジミーを育てていた義理の娘のローナは再婚しますが、相手のドニー・ウィボーイは暴力的な男でした。ドニーは、ローナとジミーを連れてノースダコタ州の実家に突然転居してしまいます。そのことを知ったマーガレットは、「大切な孫をこんな男に任せておけない。何としてでも取り返さねば」と考え、義理の娘と孫を取り戻すことを決意します。しかし、ジョージとマーガレットを待ち受けていたのは、暴力と支配欲でウィボーイ一家を仕切る異様な女家長のブランチでした。
本作はラリー・ワトソンが2013年に発表した小説『Let Him Go』を原作としています。
2020年製作/113分/アメリカ
原題:Let Him Go
『すべてが変わった日』のスタッフとキャストについて
トーマス・ベズーチャ監督・製作・脚本:映画監督としてデビューする前は、ファッション業界の重役を勤めていたという経歴の持ち主。
脚本のみを担当した作品:「ガーンジー島の読書会の秘密」「ファーゴ」
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ダイアン・レイン(マーガレット・ブラックリッジ):ジョージの妻。13歳のとき映画「リトル・ロマンス」(79)のヒロイン役でハリウッドに進出し、若手スターの筆頭となっています。
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ケビン・コスナー(ジョージ・ブラックリッジ):元保安官。ブライアン・デ・パルマ監督の「アンタッチャブル」(87)ではアル・カポネを追う捜査官エリオット・ネス役が絶賛され、その後も「フィールド・オブ・ドリームス」(89)などで人気を博す…
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ケイリー・カーター(ローナ・ブラックリッジ):ジョージらの義理の娘、再婚相手選びに失敗する。
レスリー・マンヴィル(ブランチ・ウィーボーイ):女家長として君臨/歴史ドラマ「ファントム・スレッド」(17)で、ダニエル・デイ=ルイス演じるファッションデザイナーの姉でありビジネスパートーナーを演じ、アカデミー助演女優賞に初ノミネート、英国アカデミー賞などでも助演女優賞の候補に挙がっています。
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