『プリシラ』のネタバレ感想・見どころ
期待していなかった通り、エルヴィスの歌うシーンは殆んどと言っていい程有りませんでした。（わずか、西ドイツ駐留中自宅でピアノを演奏しながらの歌うシーンではプリシラを魅了していましたが…）ツアーや映画撮影にハリウッドに行く時は、彼女はたったひとりでエルヴィスの大邸宅に取り残されていました。１０歳も年下の１４歳の子供に恋したエルビス、それも相思相愛でしたが…彼女の親の立場からしたら何とも気懸りだったと思わざるを得ません。
大スターが抱える家族の悩み、ふだんはまったく目にする事の無いエルビスの家庭での姿、内心の葛藤などを垣間見てやはり同じ人間として当然のことながら悩みはちゃんとあったと知る事が出来ます。だからと言って彼の音楽の価値が下がる事もなえれば、更に上がる事は無いと思いました。
７０年代当時、初めてＬＰレコードでエルヴィスの音楽に触れて熱狂した時代を思い出しました。(わたしはどちらかというとボブ・ディラン、ビートルズの音楽の方を聴く機会が多かったのですが…）しかし、天才的な歌唱力ではエルヴィスの魅力が断トツだった気がします。現在でも耳の奥底には彼の歌がインストールされており、瞬時に頭の中に湧き上がってくる想いがします…
そんな彼と元妻プリシラとの知られざる夫婦関係が明らかになっていきます。エルヴィスがこの映画の存在を知ったら多分びっくり仰天するのではないかと思います。また、赤裸々な夫婦関係を映像化する事にプリシラ本人にはいったいどんな思いがあったのでしょう…
いろいろ御託を並べ申し訳ありません。本作、何と言っても主演女優ケイリー・スピーニーの美貌と演技力は抜群でした。彼女にすっかり魅了されてしまいました。当時のヘアスタイル、アイメイク、衣装にはぶった曲げましたが…それらを観賞するのも本作の楽しみの一つとなっていますが…
しかしながら、シンデレラストーリーとは言うものの、どことなくプリシラが心の底から幸せを掴んだかと言えるかと言えば、否定的にならざるを得ません。メンフィス、グレースランドの屋敷で同居生活が始まりますが、実際に結婚したのは８年後とかの時間が過ぎていました。ツアー、映画撮影で留守がち、新聞・雑誌ではエルヴィスの”新恋人””婚約者”の記事を見るたびに心を痛める毎日を過ごし、心が晴れ晴れする日は無かったのではないかと思われます…心の拠り所をどこに求めていたのか、その部分をもっと突き詰めて欲しかった気がします(まさか空手の練習だけではないでしょう…）
『プリシラ』のあらすじと概要
「ロスト・イン・トランスレーション」「マリー・アントワネット」のソフィア・コッポラ監督が、「キング・オブ・ロックンロール」エルビス・プレスリーの元妻プリシラが1985年に発表した回想録「私のエルヴィス」をもとに、世界的スターと恋に落ちた少女の出会い、結婚から離婚(２０代後半）までの波乱の半生を描いたドラマです。
14歳の少女プリシラはアメリカから遠く離れた西ドイツで既にスーパースターとなっていたエルビス・プレスリーと出会い(１０才差）、直ぐに恋に落ちます。エルヴィスが兵役を終えて西ドイツを離れた後も交流は続きます。やがて彼女は両親の反対を押し切り、メンフィスにある大邸宅でエルビスと一緒に暮らし始めることに…これまで経験したことのない華やかで魅惑的な世界に足を踏み入れたプリシラにとって、彼のそばでともに過ごし彼の色に染まることが全てでしたが……。
2023年製作／113分／アメリカ・イタリア合作
原題：Priscilla
第95回アカデミー賞で作品賞、主演男優賞ほか計8部門にノミネートされたバズ・ラーマン監督、オースティン・バトラー主演の「エルヴィス」（2022）の感想記事はこちら、是非合わせてご覧ください
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『プリシラ』のスタッフとキャストについて
ソフィア・コッポラ監督・製作・脚本：「１４歳で、エルビスの世界に飛びこみ、紆余曲折を経てやっと自身の人生を見つけたプリシラの心情を表現したかった」と某インタビューで語っています。また、彼女自身現在のプリシラ（78歳）と個人的に対話を重ね、彼女の視点に寄り添う形で作品を仕上げています。
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ケイリー・スピーニー(プリシラ）：長編映画の初出演作となったSFアクション大作「パシフィック・リム アップライジング」（18）で重要な役どころを演じて注目を集めます。その同年に「バイス」「ビリーブ 未来への大逆転」「ホテル・エルロワイヤル」など映画の出演作が相次でいました。
本作では第80回ベネチア国際映画祭のボルピ杯（最優秀女優賞）を受賞しています。
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ジェイコブ・エロルディ(エルヴィス）
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