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おすすめ映画『イン・アメリカ/三つの小さな願いごと』(2002/ジム・シェリダン監督)感想‣過酷な移民の人生を10歳の少女の目を通して描く

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『イン・アメリカ/三つの小さな願いごと』のあらすじと概要

「父の祈りを」のジム・シェリダン監督が、アイルランドからアメリカへ移住した一家の過酷な現実と再生を描いたヒューマンドラマ。シェリダン監督の実体験をもとにした半自伝的作品で、脚本には監督の実娘ナオミ&カーステン・シェリダンも名を連ねています。

80代初頭のニューヨーク・マンハッタン、ハーレムが舞台。映画「E.T.」を脚本のプロットに巧みに引用しています。幼い息子を失った悲しみを引きずる若い夫婦ジョニーとサラは2人の幼い娘を連れアイルランドから夢を抱いてニューヨークへと渡ります。一家はボロボロのアパートで新生活をスタートさせますが、そこには厳しい現実が待っていました。俳優を目指すジョニーは、オーディションを何回受けてもなかなかチャンスに恵まれず、タクシー運転手の仕事に就きます。サラもウェイトレスをして僅かなお金を稼ぎ何とかやりくりする日々を過ごしていました。それでも2人の娘は新天地で楽しみを見出していきます。やがて姉妹は同じアパートに住む黒人画家マテオと仲良くなります。そして、この出会いが一家に大きな変化をもたらすことになります…。

2002年製作/106分/アイルランド・イギリス合作
原題:In America

『イン・アメリカ/三つの小さな願いごと』のスタッフとキャストについて

ジム・シェリダン監督・脚本・製作:

サマンサ・モートン(母サラ):幼い息子を不慮の事故で失った事を悔やみ、悲嘆にくれる苦労から抜け出せずにいます。やがて、新たな妊娠をすることになります。

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パディ・コンシダイン(父ジョニー):二人の娘と、愛する妻サラと慎ましい生活をニューヨークで始めますが、なかなか思い通りに行かず苦しみます。

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ジャイモン・フンスー(画家マテオ):不治の病に冒されつつも絵を描き続ける孤独な画家。同じアパートの姉妹と仲良くなり心が通じるようになります/西アフリカのベナン・コトヌー出身。13歳の時に一家でフランス・リヨンに移住。学校を退学し、2年ほどパリで路上生活を送っています。ファッションデザイナーのティエリー・ミュグレーに見いだされ、モデルとしてキャリアを築いた後に俳優に転身する経歴の持ち主として知られています。

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『イン・アメリカ/三つの小さな願いごと』のネタバレ感想・見どころ

ジム・シェリダン監督作品という事で観賞しました。監督の半自伝的映画だそうで非常に興味深く見ました。しかしながら、本作の二人の”天使”の笑顔に目は釘づけになりっ放しでした。サマンサ・モートン、パディ・コンシダインの母父役の主演陣の演技も素晴らしいのですが、この二人はなんとも可愛らしく、無邪気で、素直、健気、純真というすべての言葉が当てはまります。天使過ぎ!!

幼い息子、弟を2歳で亡くした夫婦、姉二人の新天地での新生活のスタートの話です。アイルランドから移民後の状況は、想像通りかなり厳しく生きるのが精一杯の様子です。隣人の黒人画家マテオなどの出会いのエピソードも交えた人間模様が描かれ、夫婦の新たな出産もあり、陥っていた”喪失感”を振り切り新たな人生のスタートに光明を見出していくストーリー展開となっています。

当時のマンハッタン・ハーレムの状況は想像もつきません。(現在と余り変わってないのかもしれませんが)とにかく部屋だけは広い、ボロボロのアパートに暮し始めます。そこは、いかがわしい住人の吹き溜まりとなっていました。雨露凌げれば”住めば都”なのかもしれません。俳優を目指す父親はオーディションを何度も受けるものの、タクシー運転手で日銭を稼ぐ毎日。母親はアイスクリームパーラーで家計を救う為働いています。しかしながら、そんな劣悪な環境の中でも異彩を放つのが二人の姉妹の存在感でした。隣近所の人々に自然に懐き、可愛がられ、見守られていました。但し、学校で催されたハローウィーンパーティーに、(母親か自分で作った)手作りの衣装を着て行ったことが、周囲のクラスメートの冷えた視線を浴び、蔑まされていたのが少し可哀想な所でしたが…

また、黒人画家マテオとの出会いも、人生の転換点となる奇跡的な出会いでした。彼は不治の病に冒され、帰らぬ人になります。「さよなら」の挨拶も出来なかった事を残念がる妹、それに対する父と姉の窓の外の月を見上げながらの即興シーン…この名場面は目に焼き付きました…

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