>

湖北省武当山で聞いた風水のはなし 中国の思い出

スポンサーリンク
旅の随筆
スポンサーリンク
武当山頂上付近の急峻な階段
際立つ曲線美
太子坡までの階段を上り切る

湖北省武漢の典型的な朝食は誰もが知っている「熱乾麺」です。小麦の麺に、芝麻醤、搾菜、葱、胡椒を食べる直前に加えて調理する麺で、武漢に行ったら必ず食べる様にと中国人の大変なグルメの知人から勧められていました。庶民的な味でさっぱりしていてとても美味しいと言われていました。これは山西省の刀削麺、広東省伊府麺、四川省担々麺、中国北部の炸醤麺と共に中国五大麺の一つだそうです。(正直言うと、広東省広州に3年間駐在していましたが、広東”伊府麺”が、どんな麺かわたしはまだ知りません)

数年前、わたしは世界文化遺産「武当山」を訪問する為、前日武漢のホテルに宿泊し、朝食を食べようと、夜が明け切らぬ早朝、市内を散策していました(中国の朝はとても早く、大抵どこかの店が開店しているものです)電球の光で煌々と照らされた「熱乾麺」の看板が、期待した通り早速目に入ってきました。店に近づき、薄暗い店内を覗いてみると、とても汚く衛生的とは思えない店だったので、この時はさすがに店内に入る勇気が出ませんでした。本当は物凄く美味しかったのかも知れません。(今回は皆さんの期待を裏切り本場武漢「熱乾麺」の食レポは出来ず、誠に申し訳ありません)

そんな経緯もあり、本場武漢の「熱乾麺」を食べる折角のチャンスを逸してしまいましたが、高速バスで400㌔の道をぶっ飛ばして、無事武当山に到着しました。

武当山は道教の総本山であり、武当拳などの武術を指導している一方、風水学なども永年研究されていました。お寺の施設内部を案内してくれた僧の話で、風水に関わるたいへん興味深い話を聞きました。

中国では龍(中国では皇帝は龍の化身といわれる)は水を好むため、かつて毛沢東は自らを龍と見做し、良く河川で水泳をするのを好んだとか、湖南省韶山市の毛沢東の生家は近くに湖があり、やはり「水」との関連性がある為、風水的に大人物が生まれる家相をしている等と解説をしてくれました。

また、商売をする場合、良く事務所の玄関を道路から階段を何段か上がった高い位置するところがありますが、これでは入ってきたお金を吸い上げられず、金庫に金がたまらない悪い状態であり、そのままお金は会社には貯まる事無く、流出してしまう「家相」であると解説していました。

わたしの出向していた会社の本社の正面玄関はこの話の内容とそのままで、階段を20段程上がった高い位置に玄関ドアが有る構造で、正に流れ込む金銭も掬いとめる事が出来ず、じり貧になる「家相」そのもの、僧が話している「店構え」だったのでびっくりしました。この話を「風水」の総本山で聞いたのですかあら、信憑性はあります。なぜ、僧が、そういう玄関の「家相」をしている会社を例にして話したのか、理由は定かではありませんが、驚きました。

とても興味を持ってさらに僧の説明に聞き耳を立てていると、お金を流出せず金庫に留める為の問題解決策は、階段の上段左右に大きな長い鼻の象の像を置いて、流入してきたお金を象の長い鼻で吸い上げる様にするのが「風水」的には良いという説明でした。

このような石段を登った所に玄関がある中国や香港の銀行や金融会社の店先では、確かに象を良く見掛けた記憶がありました。これらの象は単なる飾りでは無く、風水の教えに従っているのだとなと初めて合点しました。

わたしは自分自身納得して、武当山で僧から聞いた内容を、旅行から戻り、出向会社の日本人上司にそっくりそのまま話をしましたが、残念ながら「あぁ、そうなの」という反応で終わってしまいました。わたしが帰任するまで、会社の玄関に二頭の象の像が立つ事は残念ながらありませんでした…

なお、武当山と聞いてもピンとくる日本人の方は少ないのではないでしょうか。わたしも中国に来るまで、武当山の名前すらまったく知りませんでした。太極拳と同じような武術である武当拳も盛んであると聞きましたが、こちらもどんな武術か全く知りません。

しかし、隋唐時代より道教の道士が修業をする歴史のある場所で、武当山は明代からは中国五岳の上位に置かれる扱いを受ける程重要な道教の本山として厚い信仰を受けていたそうです。

1994年に古建築群が世界文化遺産として登録をされました。また、天頂殿(山頂直下に建てられている金殿)は1416年に建設された、中国最高地点に建設されている純銅製建築物です。建物そのものは想像よりもかなり小ぶりながら、本体全体が銅で出来ている非常珍しい建造物でした。

山域広大で、幾つからのエリアに別れますが、最も印象的なのは「太子坡」です。朱塗りの壁に囲まれた曲がりくねった回廊を100㍍以上登って行くと、本堂が出現してくる配置になっています。

ほとんど直線的に建設される、見慣れた仏教寺院と全く異なり、自然との融和を重要視し曲線を多用した道教寺院には異次元の空間を感じさせられる雰囲気が濃厚でした。宿泊は山の中腹(ここまで観光バスは山道を登って来られます)のホテルでした。

付近は山中でもっと美しい景観の南岩宮等を散策する事が出来ます。午後早目に宿泊ホテルにチェックインした後の自由行動時間に、南岩宮の参観に向かいました。

翌朝は頂上を徒歩で往復する為、バスの出発時間までにホテル近くの集合地点に戻る指示に従い、単独で南天門、黄龍洞、朝天宮、太和山(標高1,612㍍)を目指しました。石段は7777段あるそうです。

漸く実現した「武当山」訪問ですが、美しい建築物の印象は兎も角、「風水」の話は大変興味を引かれるものでした。

世界遺産 武当山 湖北省 現地観光バスツアー

中国湖北省 毛沢東主席が愛した”武昌魚” 旅の思い出

中国長江三峡下り(重慶→武漢800㌔の船旅)旅の思い出

コメント

タイトルとURLをコピーしました