「マーガレット」のあらすじ・概要
「ピアノ・レッスン」のオスカー女優アンナ・パキン主演、マット・デイモン他共演によるヒューマンドラマ。ニューヨークの街中で、幸せな女性高校生として、何不自由ない生活を送っていたリサ(アンナ・パキン)。ある日、彼女が運転中のバス運転手の気を引いたことが原因で、死亡事故が引き起こしてしまう。しかしリサは現場での事情聴取の際、動揺のあまり、事故原因は歩行者の信号無視だったと嘘の供述をしてしまう。罪悪感に苛まれ、事故のことが頭から離れなくなったリサは、次第に荒んだ生活を送るようになっていく。そしてついに、バス運転手にも事故の責任を取って貰おうと決意し、真実を告白することを決意する。
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「マーガレット」のネタバレ感想
ストーリーとテーマについて
リサ(アンナ・パキン)はアメリカ女子校生を代表するキャラクターなのだろうか?家族、クラス、世間とぶつかり合ってばかりいて、四六時中精神的に安穏とした時間はまるで無いよう感じられる。一方、彼女を取り巻く周囲の人間も角があり過ぎる、特別な人間揃いである。母親ジョーンは離婚した舞台役者で、演劇の幕開けが近い事で緊張し、批評家の評価ばかりが気になるようだ。交通事故で亡くなった女性モニカの親友エミリーも自己主張が半端ではなく、相手が高校生であろうとなかろうと自分の意見を捲し立てる姿には慄然とさせられました。また、高校の授業中の討論のシーンも超過激だ、クラスメート同士の人種間の軋轢問題も高校生乍ら大人顔負けの自己主張の激論を連日繰り広げ、教師からはとうとう教室から出ていけとまで言われる程のヒートアップ振りです。
まともな人間はいない事もありません。離婚してカリフォルニアに棲んでいる父親は電話で、娘のリサとは、まともに打ち解けて何でも話せる雰囲気ですが、再婚相手の女性とリサの仲は微妙な感じがします。高校の数学の先生アーロンが驚くべき事にマット・デーモンが演じていますが、大物俳優の名脇役振りには、本当にこんな役でいいのだろうかと心配しつつ眺めていました。まともな高校教師で特段の問題は無いのですが、生徒と簡単にある一線を超えてしまいます!? さらにさらに驚くべき大物がジャン・レノ、母親の恋人ラモン役で起用されています。脇役の方が大物俳優過ぎる映画は何とも見ていて落ち着かない印象を受けてしまいます…
ストーリーは女子高生がバスの運転手マレッティが被っているカウボーイハットが気に入り、走行中に車外から何やら話し掛け、それに気を取られた運転手は赤信号に気が付かず、横断歩道を渡ろうとしていた中年女性モニカを轢いて死亡させる大事故を起こしてしまうところから展開します。自ら自責の念に駆られながらも、死亡した女性が信号無視をしたと嘘の証言をしてしまいます。一端は収まったものの、心理的には不安感に襲われ、真実を話す気になります。運転手に罪滅ぼしをさせたいと考えるのですが、一方の運転手には全く罪の意識が無いという問題に突き当たります。
リサ自身は運転手にも、自分の犯した罪の責任を感じて欲しいという思いが募ります。もうバスの運転は止めて欲しいと願います。他方、今回の事故の原因はリサ自身の軽率な行動(走行中のバスの運転手の気を逸らせるような軽率な行動をとった)がそもそも引き起こした事故のはずなのに、それを棚に上げ、ひたすら運転手の非のみを責める姿に釈然としない部分はあるのですが、何と被害者の親族が起こした訴訟では35万㌦もの和解金を支払うことで一件落着となります。しかしながら後味の悪さは残されます。こういった考え方がアメリカ社会では極々真っ当な事なのかも知れません。
正直言って、今回作品を「おすすめ映画」として紹介するのは少し逡巡しました。主演アンナ・パキンの迫真の演技の物凄さについつい負けて紹介することにしました。但し、彼女が演じる女子高生がアメリカの典型的な女子高生のタイプではない事を信じながら、、、
キャラクターとキャストについて
ケネス・ロナーガン監督・脚本:99年の「アナライズ・ミー」で初めて映画脚本を手がけ、自らの脚本を執筆した監督デビュー作「ユー・キャン・カウント・オン・ミー」(00・日本劇場未公開)ではアカデミー脚本賞にノミネートされた。その後、マーティン・スコセッシ監督の「ギャング・オブ・ニューヨーク」(02)でも、ジェイ・コックスとスティーブン・ザイリアンとともにアカデミー脚本賞にノミネート。
アンナ・パキン(リサ役):姉の友人から「ピアノ・レッスン」のオーディションの話を聞き、自らの意思でにそれに参加。5000人の中から見事選ばれる。そして“ビギナーズ・ラック”とは思えない演技力を見せ付け、「ペーパー・ムーン」のテイタム・オニールに次ぐ、アカデミー助演女優賞年少受賞者となる。その後「グース」で主演。「X-メン」では他人から生命力を吸収してしまうミュータントを演じ、演技の幅を広げている。
ジャン・レノ(ラモン役):両親はスペイン系フランス人。高校卒業後、TVや舞台に出演。この時助監督をしていたリュック・ベッソンと知り合い「最後の戦い」に出演。そして「グレート・ブルー」のエンゾ役で完全ブレイク。以降はベッソン作品「レオン」他常連として活躍。「フレンチ・キス」あたりから本格的にアメリカに進出し話題作に出演、今もっとも人気の高いフランス人男優としてオファーが絶えないらしい。
まとめ
本作のケネス・ロナーガン監督が脚本を書いた「アナライズ・ミー」(99)という映画を良い映画だと勧める友人がいた事を急に思い出した。
監督の評価もこちらの映画を見てから判断したいと思いました。
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