山西省と聞いて思い起こすのは「山西刀削麺」でしょうか? あるいは中国経済に少し詳しい人は中国一の石炭の埋蔵量があること、明・清時代から勃興した「山西商人」を生んだ土地であることなどではないでしょうか? また歴史好きにとっては三国志の英雄関羽に詳しくても、彼の出身地が現在の山西省運城市であることを知る人は少ないのではないでしょうか?
五台山は地図上では山西省の省都太原と北京のほぼ中間地点に位置しています。今回太原から高速道路を利用して観光バスで訪問しました。
「五台山」山名の由来は、この山が五つの主要な峰によって周囲を囲まれ構成されていることによる。
- 東台 望海峰
- 西台 掛月峰
- 南台 錦繍峰
- 北台 叶斗峰(最高峰 海抜3058m)
- 中台 翠岩峰
「五台山」は仏教では文殊菩薩の霊地として古くから信仰を集めている。最盛期には300もの寺があったが、現在は39の寺がある、また台外の8カ寺と合わせ計47カ寺。日本でも平安時代から鎌倉時代の僧の多くも「天台山」と共にこの地を訪問している。一方、チベット仏教徒の信仰も集めている為、チベット族僧侶の姿を見掛けることも多い。
山西省のもう一つの世界遺産 世界遺産 平遥古城 山西省 現地観光バスツアー
信仰を集める山岳地域の観光地としては
などがある。
「五台山」へのアクセス
1日目:17:00長沙空港発 ➢ 19:00太原空港着 (CZ3791)
2日目:太原 ➢ 五台山(最高峰標高3,058㍍) (現地観光ツアーバス)
位置:五台山は太原より北方230㌔離れている忻州市に位置する。
主な見所 :殊像寺、広化寺、七佛寺、尊勝寺、晃通寺、葛薩頂等
いつものC-trip{携程)利用により現地バスツアーに参加、今回は「五台山」・「平遥」の二か所を訪問するツアーであったが、「平遥」については別途報告します。ちなみに、平遥は太原の南方83キロに位置する為、「五台山」「平遥」は併せて一緒に訪問するのが効率的だと思います。なお、首都北京から太原までは1:20のフライトで着きます。
「五台山」の見学
参加メンバーが40余名ともなると、同じツアーメンバーも、何らかの特徴があり直ぐ覚えられる人と、何度顔を合わせても覚えられない人がいるものです。
10人掛けテーブルで一度一緒に食事をしたことがある人でも、見掛ける度に「我々の同行ツアーメンバーだったかな?」と覚えられない人も結構いるものです。中国人は同じ様な顔をした人が多いです。日本人も中国人にそのように言われているかも知れませんが、、、
ツアー参加者には目印となる、ワッペンでも渡され胸に付けたこともありました。これは同じツアー参加者である事を見分けるのには非常に便利でした。でも、一般的には余りバスツアーでは普及しておらず、ツアー参加者はガイドの持つ旗のもと、集合時間に集まってくるというスタイルが参加したツアーでは一般的でした。
五台山は2009年に登録された世界文化遺産で文殊菩薩の聖地と言われています。
五台山の第一印象はレンガ色(海老茶色)の僧侶服を着て修業している坊さんの数が物凄く多いというものです。町を歩いている僧侶、何人かでつるんで散策を楽しむ僧侶、タクシーに乗ろうして運転手に行き先を指示している僧侶、何とレストランで僧侶では無い友人か家族と思われる人々と食事を楽しんでいる僧侶までいます。五台山の僧侶は厳しい修行を積んでいると思われますが、その一方で自由度にびっくりしました。これは日本の寺に行って見られる光景とは全く異質のものだと感じました。
私の固定観念では修行中の僧侶は乗り合わせてタクシーに乗らないし、まして乗る前に運転手と値段の交渉はしない、町の食堂では食事もしない、道を歩きながら携帯電話を使用しない。厳粛な修業を目指す姿を思い描いていましたが、五台山では全く違いました。もし僧侶の衣装を纏っていなければ、行動は一般人と全く一緒です。
また、五台山はチベット仏教と普通の仏教が併存しています。チベット出身の僧侶は非常に体も大きく、チベットの紫外線で日に焼けて顔も真っ黒で頑健な弁慶の様な僧侶を多数見掛けました。
五台山の地形は手の平の中に寺が立ち並び、周囲を五本の指に見立てられた5峰に見守られている場所に展開された仏教聖地を形成しています。
今回参加したツアーは標高3000㍍の最高峰の登頂を目指すものではなく、五台山の何カ所かの有名な寺を見学し、同地区に宿泊し、翌朝五台山一帯を眺望する小高い丘の上まで登るものでした。
滞在中の自由行動時間を利用して、ツアーコースに含まれていなかった中小の寺は入場料も払う必要はなく、自由に参観できるので歩きました。これらの、観光コースから少し外れた小規模の寺は参拝客もほとんどなく、ゆっくり訪問することが出来る穴場です。興味のある人にはお勧めです。
五台山から29㌔南西に離れた所にある尊勝寺(台外という)には観光バスで立ち寄りました。この寺は唐代にインド出身の僧が「文殊菩薩」が住むと伝えられる五台山にやってきて、文殊菩薩の化身と出会った場所に寺を立てたと伝えられています。寺で修行中の僧の一人が内部を1時間位非常に懇切丁寧に案内してくれたのがとても印象的でした。
あとがき
わたしは旅行で訪問する前、太原に何度か出張出来ていましたが、その時太原のホテルでの盗難事故に遭いました。これはバスツアーに参加した時の事故ではなく、会社の同僚との同宿したホテルで起きたものです。
朝食にブッフェを利用中、カバンを席に置放した為、私の周囲にいた客(胡散臭い僧侶の衣装を着た坊さんが最も怪しいと今でも睨んでいます…わたしは”偽坊主”とおもっています)にカバンの中に入れておいた財布から現金のみ2,3千元を抜き取られる被害に遭いました。幸いな事に、財布やパスポート、クレジットカードは抜かれていませんでした。
周囲の他のテーブルにも坐って食事をしている客が何人かいたので、他人のカバンから現金だけを抜き去られることはないと高を括っていました。犯人の大胆な手口に驚かされます。
これはカバンを置きっぱなしにするという自分の不注意・油断による被害です。まさかきちんとしたレストランで被害に遭うことはあるまいという気の緩みがあったような気がします。
レストランでは気が付かず、食事後部屋に戻り、財布の中身を確認した時、あるはずの現金が全て無くなっている事に初めて気付きました。
最初これは真夜中、わたしが寝ている間に誰かが部屋に忍び入り、財布から現金を抜き取られたのではないかと考えました。一緒に同じホテルに宿泊していた同僚の意見では、外部から泥棒が部屋に侵入する事はまず有り得ないし、部屋の合いカギをもっている従業員でも、まさかそこまで大胆に客が寝ている部屋に侵入するという行動をする人間はいないときっぱり否定されました。
やはり、席の近くのテーブルに座っていた、あの胡散臭い坊さんが犯人だろうと今でも思っています。
朝食ブッフェでテーブルを離れる際は貴重品の管理はきちんとした方が良いです。また、今後財布、パスポート、携帯電話はちょっとした短い間でも肌身離さない事を肝に銘じました。
コメント