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おすすめ映画|『葡萄畑に帰ろう』(2017/エルダル・シェンゲラヤ監督)ワインの名産地ジョージア(旧グルジア)が舞台 

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葡萄畑に帰ろう の作品情報

  • 製作:2017年、ジョージア、上映時間99分、原題「THE CHAIR」
  • 監督:エルダル・シェゲラヤ、1933年生まれ、ジョージア トリビシ出身。21年ぶりに自身の経験を元に85歳にして本編映画を完成させる。ジョージア最長老監督。監督は名が生きな人が多く、そして元気だ。旧ソ連時代から独立運動に携わっていた。元国会副議長にして映画監督も務める。他作品としては「青い山 本当らしくない本当の話」(95)がある。また、本編映画は2018年ロシア・アカデミー賞最優秀外国語映画賞を獲得している。
  • 主演:ニカ・ダヴァゼギオルギ役)、ニネリ・チャンク・ペタゼ(マクダ役)、ケティ・アサティアニ(ドナラ役)

葡萄畑に帰ろう のあらまし


 

主人公ギオルギはジョージアの“国内避難民追い出し省”というへんてこな省の大臣を務めていた。極めて居心地の良い大臣の特注の『椅子』に座り何不自由の無く暮らしていた。家族は2年前に妻と死別している為、現在は娘ひとり、息子ひとりと嫁さんの姉たちと一緒に暮らしていた。娘はギオルギとは折り合いが悪くアフリカ系のボーイフレンドと一緒に別に暮らしているらしい。一方、ギオルギは避難民を追い出そうとした際怪我をした美女(元バイオリスト)を助け、ひとめぼれした。彼女は行くところも無いことから自宅に招き、息子の英語教師として一緒に住まわせることにした。義理の姉からは余り面白く思われていないがギオルギはそれ程気にもしていないし、間もなく彼女と正式に結婚することになる。

一方、順風満帆に見えた生活を送っていたギオルギはある日突然大臣を解任されてしまう。さらに住んでいた邸宅まで追い出されてしまう。最終的には年老いた母親が住む田舎に戻れば、畑も葡萄畑もあると言われて、田舎に戻り新たな生活を始める事を決心する。

葡萄畑に帰ろう の見どころ


 

まず、目を引くのが全編に流れる登場人物のおおらかな感じが清々しい。実際はどの国にも権力を手に入れる為に権謀術策の世界が存在するのだけれど、本編映画でその生々しさはそれ程フォーカスされておらず、おおらかな性格の主人公が突如大臣の椅子から転げ落ちるところから、物語が急展開を始めます。

国内避難民追い出し省”の大臣という役柄はユーモラスですが、官庁の職員がローラースケートを履いて動き回ったり、大臣の秘書がPCでゲームをやっていたり、まるででたらめな勤務態度であることが描写されているところが面白い。

また、ジョージアの田園風景も緑豊かで素晴らしく綺麗に描かれている。同国はコーカサス山脈の南側に広がる歴史ある国であり、また、ワイン作り発祥の地であるらしい。本編中でもギオルギが追っ手から逃れる為、故郷の家の地中に埋められたワインの甕の中に隠れるシーンがあったが、これはジョージア独特のワイン作り用の甕(クヴェリ)というらしく、この甕を使用して作られるジョージア独特の8000年の歴史を持つ伝統的なジョージアワインは、2013年、日本の和食とともにユネスコの無形文化遺産に登録されたそうです。

なお、ギオルギは甕に隠れている最中全身ワインでずぶ濡れになり、酔いが回わってしまい酩酊していました。

また、原題である「THE CHAIR」は映画中に動き回るし、おしゃべりはするし”曲者”です。エルダル・シェゲラヤ監督は権力の象徴と描いていますが、全く実態の無いものとして描きたかったのだろうと思います。85歳の高齢の監督の映画にしては本当に突拍子もない、実に若々しいアイデアで、全く年を感じることがなく、未だに強烈な創造力の豊かさを感じることが出来ます。

また、他のジョージア映画は見たことはありませんが、本編と他のジョージア映画との違いはユーモアと寓話が描かれているところが大きく違うそうです。映画からもジョージアは90年代の内戦、紛争の時代をようやく乗り越え、ようやく社会情勢に明るさの兆しが見える雰囲気は十分伝わって来るのではないでしょうか!

最後に忘れてはならないのが、ジョージアは北海道の面積の80%と狭い国土でありながら、ワイン以外に有名なのが美人が多い事らしく、確かに本編に登場する女性は目を見張る美女ばかり。跳ねっ帰りの娘役のナタリア・ジュケリは監督の本当の孫娘とのこと。オートバイを乗り回す、格好いいカメラマン役で出演しています。

一方、国内避難民追い出し省でローラースケートを履いて動き回る女性職員もタイトスカートでばっちりきまったスタイル抜群の美女ばかりというのも見もの。

ギオルギが故郷の田舎に戻り葡萄を育てたり、畑を耕したりするシーンは最後の方でもほとんど無いのは、邦題の『葡萄畑に帰ろう』と原題『THE CHAIR』との違いからか…

さて、これだけワインの話が出ていながら、ジョージアの映画も初めて乍ら、ジョージアのワインもまだ飲んでいません。早速エノテカりで探したいと思います。どんな味がすることやら、大変楽しみです。

 

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