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おすすめ本|『本屋を守れ 読書とは国力』藤原正彦著 PHP新書

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おすすめ本の紹介
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なぜ「本屋を守れ」を読んだのか?

新刊の本書の帯に踊る「国語力なくして国力なし」「読書こそ国防である」「町の書店がなぜ大切か」「デジタル本は記憶に残らない」などの文字が強烈に目に飛び込み思わず購入して読んでみました。わたしは結構読書は好きですが、最近は大幅にスマホに時間の浸食を受けているのが実態です。スマホのSNSの情報が結構タイムリーで本音も聞けるのでいいのではないかと思い、情報源として活用させてもらっていました。当然の事乍らこれに反比例して読書は一向にはかどらないというのが最近の傾向でした。そこにかなりきつい鉄槌の一撃をくらわす様な本書との偶然の出会いとなった訳です。

「本屋を守れ」を読んだあらすじ・感想

著者はグローバリズムに対して反対します。『世界のどこに行っても自らの国を愛し、その文化や伝統をきちんと身に付けた人以外、信用されないと言います。それよりも、美的感性、もののあわれ、卑怯を憎む心、懐かしさ、惻隠、名誉や恥といった社会的・文化的な価値に関わる感性・情緒を育てることの方がはるかに大切だ』と力説しています。『これを育む力は国語、具体的には、本を読むことが重要だ』と結論付けています。わたしも100%この考え方には賛成します。しかしながら、現実的には圧倒的に本を読む人が減ってしまい憂うべき事だと思います。

「本の面白さに気づくように全力を尽くそう」本が好きにさえなってしまえば、ほとんど国語の勉強なんてしなくてもよい、と決めつけていますが、この点もまさにその通りではないかと思いました。かくいう私は正直なところ、小学、中学時代は本は余り読みませんでした。もっぱら少年サンデー、少年マガジン、少年画報などのお世話になりましたが、今思えばこれも活字に慣れることが出来たという意味では立派な「読書」に入ると思っています。

教養が無ければ大局観が磨かれない。大局観が無ければ、危機にあたって、長期的な展望に立った手が打てない。現在の日本の苦境は、まさにそういった構図に陥っています。その後ろに横たわっているのが、活字文化の衰退』など、『すべての問題の根本的な解決方法は日本人の体質劣化を治癒する必要がある』事を説かれています。その為には読書力の強化以外に道はないと述べています。

人間の判断力は、自分の経験を通じて形成もされるけれでも、いかんせん一人の人間の経験は限定的、そういうなか、唯一、時空を超えて超えさせてくれるのが読書なのだ、と。読書こそが、心の底に揺るぎない道徳や情緒を根付かせてくれる・・・

正直わたし自身まだまだこの境地にまで読書経験には達していませんが、言われている事は十分理解できる気がします。やはり、時間がある時は良い本を読まなければ損だという気がします。

次の文章は如何でしょうか『私たちは家族以外に心を通わせる相手は、一生のうちせいぜい2,3人でしょう。ところが書物の世界では、無数の作者や登場人物との間で深い心の交感が出来る。例えば宮沢賢治の「よだかの星」を読んで涙を流す、という経験を一度でもした人が、弱い者いじめに走るでしょうか』非常に分かり易い言葉ですが、奥深い読書の重要性を表現してくれている様な気がしました。

この文章も良いです。『人間は、いくつになっても読書により向上を目指すべきだと思います。数年前の正月でしたが、近所にある真宗の寺の入り口に掛かった黒板に書かれていた、感動的な言葉を思い出します。《これからがこれまでを決める』こんな文章を読むと背筋がびしっと伸びますね。

他にも感嘆するする内容は多いのですが、是非本書を読まれ実感してみて欲しいと思います。読書の大切さがしみじみとわかります。

世間の客観的な意見はどんなものがあるのか

・「本屋を守れ」全くその通りです。ここで言う本屋とは大型書店では無く、駅前の小さな個人書店。最早絶滅危惧種。ネット書店では町の文化の拠点たり得ない。書店を守り、スマホにうつつをぬかしている人々を読書に向かわせる事が即ち救国である、とする。教養は孤独な読書でしか身に付かないそうです。さすが「1に読書、2に読書、3、4が無くて5に算数」を訴える憂国の数学者藤原先生、ブレていない。

・相変わらず数学者とは思えないような(良い意味)発言が次々に飛び出す。でも、残念なことに本書を一番読んでほしい人たち(スマホばかりいじっている人たち)は、この本を手にしないんだろうな。

「本屋を守れ」はどんな人に読んでもらいたいのか、誰が読むべきなのか?

残念ながら読書をする習慣のない人に今から読書は大切だから本を読もうといっても読まないと思います。新聞を読まなくなったサラリーマンにインターネットで教養は育ちませんよといくら言っても聞いてもらえないと思います。その意味では重要なのは今月小学校に入学したばかりの子供から徐々に読書週間を身に付けさせていくという事が大事だと思います。また、学校教育に携わるすべての人もやはり読書の重要性につき改めて再認識していただく必要があるもの考えます。

また、最近の図書館などは随分蔵書数や新刊書の導入など大幅に改善されているところも多くなっているので、無料で借りられるので是非活用するように働きかける必要があると思います。但し、敢えて問題点を言うならば、新刊書で人気のある本は予約が殺到してしまい、順番待ちになることが多いので中々読む機会が無いのも現実です。最近は思い切って新刊書は自分で購入することにしていますが、単行本で2000円前後します。これも知的な投資と思えば安いのかもしれません。

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数学者の視点から眺めた清新な留学記『若き数学者のアメリカ』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞、ユーモアと知性に根ざした独自の随筆スタイルを確立する。新田次郎と藤原ていの次男。著書に『名著講義』(文藝春秋読者賞受賞、文春文庫)、『孤愁 サウダーデ』(新田次郎との共著、ロドリゲス通事賞受賞、同前)、ベストセラー『国家の品格』『国家と教養』(以上、新潮新書)などがある。

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