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新刊書紹介|『韓国の若者 なぜ彼らは就職・結婚・出産を諦めるのか』安宿緑著(中公新書クラレ)

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『韓国の若者 なぜ彼らは就職・結婚・出産を諦めるのか』のあらすじと概要

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大卒者が国民の8割近くを占めるも多くが希望する職を得られず、アルバイトも奪い合いという格差社会の中で絶望感が拡大、大卒就職率、8年連続で60%台で留まる。結婚率、7年連続減少を続けている。出生率、ついに一人を下回る。結果として多くの若者が、反日の枠すら越えて、日本への就職を選び始めたとのことです。本書で語られる韓国の若者たちの惨状の数々は近い将来の日本の姿であるかも知れません。

『韓国の若者 なぜ彼らは就職・結婚・出産を諦めるのか』で指摘されているトッピクスについて

本書内で取り上げられており、興味を引く部分の一部をピックアップしてみます。日本の似たり寄ったりと見るべきか、否、日本の問題とは根本的に違うとみるべきか意見は分かれるかも知れません。感じる事は行き過ぎた学歴偏重世界で、選択肢の多様性が少ない為、若者や親をも巻き込んだん競争社会に歯止めが掛かっていないという印象を受けました。

韓国の若者の失業率の上昇が問題となっている。2017年には青年失業率(15-29才)が過去最悪の 12.3%を記録し、その後も大きな改善は見せていない...このデータからは、韓国は長く「大卒貧困者の割合が世界トップレベル」という状況に置かれている

韓国映画『パラサイトー半地下の生活』(ポン・ジュノ監督)のそのままの世界が韓国の現実であることが良く分かります。あの世界が決して誇張では無いことに驚愕してしまいます。

映画感想投稿記事はこちら:パラサイト 半地下の家族 アカデミー賞作品賞/監督賞他受賞 映画

年間約10万人の高卒無職者のうち、8万人が普通高校卒業者。2019年度の満20-24才(300万人)の内、大学に通っていない41万2000人が無職で、その内71.8%は求職活動を行っていなかった。他の調査では高卒の就業者の内、49.5%が非正規雇用で、キャリアアップもほぼ望めない立場にある

大卒の若者だけが、厳しい社会ではなく、大学に進学していない若者はもっと厳しい現実に直面している様です。一方、大卒者は大卒者の悩みを抱えている様です。

多くの韓国の若者は、大卒であることへの自負があります。韓国の貧しい時代を生きてきた親世代が、そう仕向けているからです。特にソウル地域の大学出身者はプライドが高く『自分にはもっと相応しい仕事がある筈だ』と仕事をえり好みする傾向がある...

結婚しなくなった若者については、やはり、結婚後の女性への負担が非常に重い習慣への抵抗が大きいのかもしれません。 女性に期待される理想像は遥か昔のもので、女性の意識も変わって来ているのだろうと思います。

「韓国では結婚したら、女性が家庭で生じる労働の全てを担います… 配偶者に献 身的に尽くす事が出来る人であれば、結婚を考慮してみてもいいと思います。全般的な家事労働は勿論、家事をひとりで負担し、配偶者の意見を無条件で受け入れ、配偶者の家族の面倒まで見て、配偶者の目標の為に自己の夢を放棄できる人。そんな人であれば誰でも結婚したいのではないでしょうか?

世間一般的な意見にはどんなものがあるのか

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書評欄より読者の感想の一部を引用させて頂きます。隣の国ではありますが、わたし自身を含め、現状を良く認識している日本人は少ないのではないでしょうか?

書名と副題のとおり、韓国の若者が置かれた厳しい現状をインタビュー中心に書いた本。ソウルの名門大卒以外の就職の厳しさと「地雑大」、非婚女性と女性を巡る環境、対して若い男性の被害者意識、宗教、日本での就職。単に悲惨、可哀相だけでなく努力や前向きさも描かれていた。日韓就職事情では、韓国の学生は積極性やハングリーさが評価されているという。また、コロナ禍で話題となった新天地教会の実態が分かった。

韓国の若者が日本を目指すとある。しかし日本の田舎も同じではないか?
地方の優良就職先は、公務員、地方銀行、農協くらいだが、血縁やコネ重視。優秀な若者は馬鹿馬鹿しくて1度は田舎を捨て都会に出る。そして冠婚葬祭は男、年寄が主役で雑用は若い女性。意見を言う女性は生意気と叩かれる…これ韓国と一緒じゃん。でも田舎の方が何故か韓国を下に見る傾向があるのは謎。相手を下げて相対的に自分を上げるのはあまり賢い方法ではない。

特段、韓国に関する知識もなかったが、書店でタイトルに惹かれ購入。根強い男尊女卑、貧富の差、年功序列等、日本とさして変わらない状況が記されている。一方で、就職の厳しさ(名門大卒やTOEIC900点でも書類で落ちる)という点では、若者にとって日本よりも厳しい環境だということも感じた。総じて、韓国の若者を取り巻く状況を広く浅く理解する上では役に立った。欲を言えば、韓国の若者に対するインタビューの内容をもう少し深く掘り下げてくれると、より具体的に実態を掴めたのではないかと思う。

最後に

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「TOEIC900点をとっていても、韓国の就活では意味をなしません」と、聞いて驚きました。凄まじい異常な競争社会です。日本人で良かったと安堵出来る人は多くは無いと思います。

なお、安宿緑氏のプロフィールとして以下紹介がありました。

「東京都生まれ。ライター、編集者。東京・小平市の朝鮮大学校を卒業後、米国系の大学院を修了。朝鮮青年同盟中央委員退任後に日本のメディアで活動を始める」

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