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おすすめ本|『不自然な宇宙 宇宙はひとつだけなのか?』(須藤靖著) 

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「不自然な宇宙」をなぜ読んだのか?

本の帯の「この宇宙は不自然なほど良く出来ている!その謎を解く鍵は『マルチバース(多数の宇宙)』だった」この言葉に思わず、引き込まれて購入して読んでみました。しかしながら、予想の通りそのマルチバースに関わる解明理論はかなり難解の為、話についていけなかったというのが、本音です。しかしながら、それでも本書をすすめる理由として、本書の中で提示され、回答されている初歩的な項目のいくつかはたいへん興味深い内容であり、素人でも十分納得のいくもので、好奇心を満たしてくれるものでした。

宇宙が誕生して138億年、最も遠方の銀河までの距離が約130億光年先とかいう叙述を読むだけでも、そんなことまで分かっているんだ、すごいなぁと感じます。実際今回初めて聞く内容ではないのですが、それでも改めて確認すると凄きことだと改めて感心します。さらに。「宇宙誕生後のわずか38万年の宇宙の姿が、直接観察できる。それは、高温高密度のビッグバン状態にあった時期の残光ともいうべき宇宙マイクロ波背景輻射=CMBを観察すれば、見られる」という点にぞくぞくする気持ちを抱くのは私だけではないと思います。科学の進歩は凄いとは感じてはいましたが、138億年前の宇宙のビッグバンの状態から38万年後の様子が現在観察出来るという事実は衝撃的です。そこまで解明されたのかぁと驚きます。

先に述べた通り、本書のメインテーマである『マルチバース」(宇宙の外に宇宙がある、映画『マトリックス』で展開されていた世界、、、存在するという科学的な理由があるそうです。)の考え方は難解でしたが、その理論の核心に近づく為の説明には分かり易い部分もあり、ほとんどは一般人にはまだまだ難解だと思います。しかしながら、興味をそそられる部分も多々あるので参考までにトピックスとして以下まとめてみました。なお、マルチバースに興味があれば、是非本書を手に取り挑戦してみてください。

昨晩(令和2年4月22日)は、こと座流星群が見られるというニュースがあり、楽しみにしていましたが、関東地方はあいにくの曇り空で見られませんでした。皆さんのお住まいの地域では見られましたか? 謎だらけの真っ暗闇で、無機的な宇宙に囲まれる人類を「孤独」と感じると無性に寂しくなりますが、科学の進歩で少しずつ宇宙の謎が解けてくることを期待するのも大きな楽しみだと思います。

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「不自然な宇宙」を読んだあらすじ・感想

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宇宙に関わる素朴な質問は以下の4点だそうです。

宇宙にはてはありますか? 答え:宇宙に果はありません。また、体積はほぼ無限と言えるほど大きい事は確か。

宇宙にはじまりはありますか? 答え:宇宙は今から138億年前に誕生したと考えられる。その意味では、この宇宙は、無限に広がった空間と、有限な過去と無限に続く未来を持つ時間とから成り立っている。

138億年前以上前に遡ると、宇宙の密度が無限大になる特異点と言う状態になり、そもそも時間や空間という概念そのものが破綻しまうと考えられる為、その前に宇宙は無かったと断言されています

宇宙はある場所が爆発して生まれたのですか?答え:宇宙の膨張は、ある点が中心として何かが爆発して広がっている様なものではありません。空間そのものがあらゆる場所で等しくかつ同時に膨張しています。

宇宙人はいますか?  答え:直接検証出来る可能性は低いとはいえ、この宇宙のどこかには地球と同様、生命、さらには知的生命が必ず存在しているはずです。

繰り返しになりますが、やはり138億年前に宇宙が誕生したという事実に目を背けるわけにはいきません。宇宙誕生以前の過去は本当に無かったのか、あったのか? 宇宙空間は無限だと言われていますが、「無限」といわれても正直まったくピンときません…

「宇宙そして世界は法則にしたがっている」そしてその自然界全体を支配する摂理、或は基本原理は4つの相互作用に帰着すると述べられています。自然界には(現在知られている限りでは)4つの力以外の相互作用は存在しません。また、4つの力には、それを媒介する粒子がそれぞれ存在します!? 4つの力の内重力だけは極端に弱い力という事です。

  • 重力
  • 弱い力(例えば、中性子は安定粒子ではなく、半減期約10・3分で陽子と電子及び反電子ニュートリノに崩壊します。その崩壊を司るのが弱い力)
  • 電磁気力 マグネット、方位磁石や静電気など
  • 強い力(原子核を形成する陽子と中性子同士が、電気力よりもはるかに強い力で結びついている、これが強い力で原子核の安定性を保証しているもの

重力を除く3つの力の統一理論は提案されているそうですが、実験的な検証には成功していないとの話です。

ビックバン元素合成が起こる誕生3分後の宇宙では、核子の個数密度が1立方センチメートル当たり10の21乗個、温度は10億度程度あり、トリプルアルファ反応とう3つのヘリウムが同時に衝突反応して、安定した炭素原子が出来るとの事。これは極めて例外的な条件があって初めて実現され、この宇宙に生命の材料となる炭素合成がなされる微調整がなされたそうです。この「微調整」がなければ、永遠に生命・人類は存在しなかった!

世間の客観的な意見はどんなものがあるのか?

アマゾンカスタマーレビュー等からの引用:

ビックバン、マルチバース、インフレーション説、宇宙マイクロ波輻射、プランクスケール、多世界解釈、コペンハーゲン解釈、人間原理。SFではよく見る用語の非常に分かりやすく系統立てられた解説書。数式もほぼ出てこないし、SF読者ならすんなり理解できるはず。昔からコペンハーゲン解釈の微視スケールと巨視スケールの境界の曖昧さがずっと納得出来ず、「その曖昧さは物理学の難問で、それを消したのが多世界解釈」という説明がとても腑に落ちて良かった。

数式にはお手上げだが、文章はわかりやすく、マルチバースや人間原理について触れることができた。哲学との接点。永遠の未到達もしくは万物理論。勉強になります。

理系でもないのに、子供が宇宙に興味を持ってくれたら→宇宙を検索→不自然な宇宙にたどり着きました。とてもロマンあふれる分野でもあり、私の知識では難解なところも数式なしで説明がされてあった点で、面白く読めました

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まだどれも未読ですが、以下著書多数あります。『一般相対論入門』『もうひとつの一般相対論入門』(以上、日本評論社)、『ものの大きさ 』『解析力学・量子論』、『人生一般ニ相対論』(以上、東京大学出版会)、『三日月とクロワッサン』『主役はダーク』『宇宙人の見る地球』(以上、毎日新聞社)、『情けは宇宙のためならず』(毎日新聞出版)、『この空のかなた』(亜紀書房)など。

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