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おすすめ本|『ザリガニの鳴くところ』 ディーリオ・オーエンズ著 (早川書房)湿原の孤独な少女の成長を見守りましょう!

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おすすめ本の紹介
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なぜ、「ザリガニの鳴くところ」を読んだのか?

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ディーリオ・オーエンズ著。

本書も新聞の書評欄を参考にしました。題名「ザリガニの鳴くところ」という本は本屋店頭で以前から目にしていましたが、題名から判断した時は余りを興味をそそられる事はありませんでした。やはり、書評の威力は抜群ですね。書評を読んですぐ読む気になりました。

「ザリガニの鳴くところ」を読んだ感想

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まず、主人公カイアの生活している湿地帯での生活というのが想像もできないものでした。また、その環境の中で、徐々に兄弟も家を去り、母親も家出してしまい、最後に残った父親も家を出ていく環境というのがまったくわかりません。たった6才の少女だけが家に取り残され自活していかなければなりません。本小説ではその実態を淡々と綴っていますが、驚きです。生活の糧は湖沼で摂れる貝、牡蠣、魚類ですが、これを少女が自分で収穫して、小さな店まで毎朝売りに行っています。現金収入はそれだけですが、食料も買い込み、ボートの燃料も買います。これを6才の少女が出来てしまうところが、驚きでした。

舞台はノースカロライナ州の湿地帯という事ですが、どんなところか想像も出来ません。本小説の表紙の絵から想像するだけです。ザリガニが鳴く声は聞いたことがありませんが、この湿地帯ではザリガニの鳴く声も聞こえてくるのかも知れません。カイアは生物の観察や絵も得意で、人生を共にしている鳥や獣、昆虫などの生態を表現して本にまとめて出版していますが、これもどんなものか是非見てみたいものです。

全編にわたり描かれる湖沼の風景は目を見張ります。朝の情景、昼間、夕景から星空だけの真っ暗闇の湖沼などなど、そこで長年暮した経験のある人である事、更には愛情を持ってそこで生きる動物・植物と接していなければ決して描けない世界だと思います。

また、何かを暗示するように交尾したホタルはメスがオスを捕食してしまうことや、カマキリがどうのこうのという話も何度もしつこく描写されます。

そして、外部からの侵入者から身を隠す場面が何度も登場します。勝手知ったる自分の庭の湿地帯に自由に逃げ回る事が出来るので、誰が訪ねてこようと決して捕まることなく身をじっと隠す事が出来るところが、健気ですが、まるで野生動物の本能のままに生きている様に思えてきます。人間としての理性を失うことなく、大人になれたことは、育った環境から判断すれば、奇跡かも知れせん。

長年孤独な生活を続けていながらも、カイアはなんとか二人の男性と知り合います。一人はカイアに読み書きを教えてくれますが、幼いころから恋心は芽生えるものの、なかなかうまくいかないものです。二人目は本編小説のキーとなる登場人物ですが、余り、良い印象を与える登場人物ではありません、当然悲劇的な結果を生んでしまう事になりますが、読者はすべて因果応報と思える人物と描かれています。

突然、カイアは殺人の疑いを掛けられるという展開に少々驚きますが、偏見や、黒人以下の『貧乏白人』層の差別等、周囲の人々からは奇異な目で見られていた少女として、のけ者扱いを受け続けていたので、犯罪者として観られていくようになります。しかしながら、この小説を最後の最後まで読まないと結末は分からないと思いますが、ネタバレは絶対に言いません…

本小説は著者ディーリア・オーエンズが69歳の時に出版されたデビュー作との事です。いきなり500万部の大ベストセラーを生み出す程の爆発力をようやく開花させたところが素晴らしいですね。私は最近で出口治明氏の「還暦の底力」という著作を読んで、還暦60歳は人生100年時代の折り返し地点いう言葉を頂き、元気ついたのですが、オーエンスさんのこの69歳でデビューと聞き、もっと元気をもらいました。(ノンフィクション分野の著作ではもう少し前に出版実績があり、こちらもベストセラーとなっているそうです)

この小説は是非一読をお勧めします。読み始めた瞬間にノースカロライナ州の湿地帯に彷徨い込み、当分現実に戻って来られなくなることは確実です。6才のカイアをみんなで応援しようではありませんか!

世間の一般的な意見はどんなものがあるか?

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一般読者の感想分を引用させて頂きます。好意的な賛同意見が大半でした。

舞台となっている湿地の描写が丁寧で美しい… 意様々なところでこの本の感想を目にした。そこには絶賛が溢れ、今年一番の本だと言い切る人も少なからずいた。読み終えた今、そう思うのは自然なことだと素直に感じるほどこの物語に魅了され、感嘆のため息をつく自分がいる。カイアが経験する絶望と孤独。美しく豊かな湿地。差別と偏見。淡い初恋と裏切り。カイアをそっと見守る優しき人々。カイアが起こした全ての行動を否定できる人はいるのだろうか。私はできなかった。ただただ彼女に寄り添い、その肩を抱いてあげたかった。彼女がついぞ得ることができなかった女友達として。登場人物が良い人と悪い人にはっきり分かれすぎている所は気になりますが、そこはアメリカのお話という事で。また物語の横線として殺人事件が織り交ぜられていますが、この事件も「湿地」を最大限に活用しているところが新鮮でした。アメリカ文学、自然描写が好きな方はきっと楽しめると思います。

最近のアメリカの小説の大味さ!特に推理小説のつまらなさに辟易して読まなかったが、この小説は面白かった。登場人物の心理がそれなりによく伝わり、最後まで余韻を残しながら一気に読めた…

様々なところでこの本の感想を目にした。そこには絶賛が溢れ、今年一番の本だと言い切る人も少なからずいた。読み終えた今、そう思うのは自然なことだと素直に感じるほどこの物語に魅了され、感嘆のため息をつく自分がいる。カイアが経験する絶望と孤独。美しく豊かな湿地。差別と偏見。淡い初恋と裏切り。カイアをそっと見守る優しき人々。カイアが起こした全ての行動を否定できる人はいるのだろうか。私はできなかった。ただただ彼女に寄り添い、その肩を抱いてあげたかった。彼女がついぞ得ることができなかった女友達として…

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著者ディーリオ・オーエンズはボツワナのカラハリ砂漠でフィールドワークを行ない、その経験を記したノンフィクション『カラハリ―アフリカ最後の野生に暮らす』(マーク・オーエンズとの共著、1984)(早川書房刊)も世界的ベストセラー。

最後に

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この小説の主人公カイアのモデルになった様な人物が多分いるんだろうと思います。オーエンズさんの想像の中の人物とは思われない気がします。それにしても6才から自給自足の生活で生きるという設定が驚異的でした。

それと湖沼、湿地帯の生命を育む力、自然の抱擁力も何となく感じることができますが、たった一人で寂しかったのではないかと同情は禁じ得ません。

もう一つの小説のテーマですが、差別、貧困格差、偏見はやはり米国に色濃くくすぶり続ける社会問題なんだと良く分かりました。

500頁と少し長めな小説ですが、読み始めたら止まりません。是非お勧めします。

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