『パブリック 図書館の奇跡』のあらすじ・概要
「ブレックファスト・クラブ」「レポマン」などで知られる俳優で、且つ「ボビー」「星の旅人たち」など映画監督としても活動するエミリオ・エステベスが製作、監督、脚本、主演を務めたヒューマンドラマ。
オハイオ州シンシナティの公共図書館のワンフロアが約70人のホームレスたちに占拠された。記録的な大寒波に襲われて、市の緊急シェルターが既にいっぱいで彼らの行き場がなくなってしまった。彼らの凍死するかもしれないという苦境を察した図書館員スチュアート(エメリオ・エステヴェス)は図書館の出入り口を封鎖するなどし、立てこもったホームレスたちと行動をともにする。スチュアートにとってそれは、避難場所を求める平和的なデモのつもりだった。
しかし、政治的イメージアップをねらう検察官(次期市長選に出馬を目指している)やメディアのセンセーショナルな報道により、事もあろうにスチュアートは心に問題を抱えた危険な容疑者(首謀者)に仕立て挙げられてしまい、警察隊は図書館への突入態勢を整えたが、スチュアートの機転によりその危機を何とか脱出することになる。
『パブリック 図書館の奇跡』のスタッフとキャストについて
監督・脚本・主演・製作 エメリオ・エステヴェス:「ボビー」(06)、父マーティンをキャスティングした「星の旅人たち」(10)などがある。
アレック・ボールドウィン(ベン役):90年の「レッド・オクトーバーを追え!」で初代ジャック・ライアンに起用され、一躍有名になる。92年のブロードウェイ劇「欲望という名の電車」でトニー賞主演男優賞にノミネートされる。
「星の旅人たち」の感想投稿記事はこちら:
感想|「星の旅人」(2010/エミリオ・エステヴェス監督)キリスト教巡礼地サンティアゴ・デ・コンポステーラへの800㌔の旅路!
『パブリック 図書館の奇跡』ネタバレ感想
記録的な大寒波に襲われるオハイオ州シンシナティの公立図書館を突如、70人ものホームレスの人々が屋外での凍死を恐れて占拠するという物語。監督は前作「星の旅人」でキリスト教の巡礼地サンティアゴ・デ・コンボステーラへの旅を描いたエミリオ・エステヴェスで本作も監督、脚本、製作、主演の4役を担当する才能を如何なく発揮しています。
そもそもなぜ図書館がホームレスに占拠されなければならないのかと疑問に思います。わたしの経験からしても、図書館はかなり居心地が良く、夏の冷房、冬の暖房とおまけに座り心地満点のしっかりしたソファが備えられており、営業時間内であれば誰にも邪魔されずに本を読んだり、居眠りしたりできる至福の空間だと思います。更に、読みたければ新刊書、雑誌、音楽の視聴など無料で提供されるという非常に大きな利点を享受することが出来ます。
但、わたし自身個人的に大変困った経験を何度もしています。大変失礼な良い方かもしれませんが、ホームレスに図書館閲覧室を占拠されると“異臭”に悩まされます。これは誤解を受ける覚悟ですが、多くの他の市民も認めるところだと思います。本作品映画の中でも、この点は取りあげられており、追い出した為に訴えられ市政府は示談金を支払わざるを得ない状況になっています。
ホームレスがその極めて居心地の良い環境である図書館を避寒先として選ぶことは確かに一理あります。映画の様に図書館側の職員も内応してホームレスと共に“徒党を組んで”占拠の首謀者になること自体は正直余り感心した行為ではないのではないかとも思いました。
しかしながら、監督のこの映画に込められたメッセージはもっと高尚なものでした。「声を上げる」というものだそうです。その意味では俄然勇気づけられる映画に違いないという見方が出来ます。
エミリオ・エステヴェス監督は映画雑誌『スクリーン』誌(9月号)で
自分たちの声をどんな風に使い、どう届けたらいいのかが今漸く見えてきたのではないかなと僕は思っている
沈黙することに疲弊していたり、本物の変化を求めるのであれば自分たちの声を上げなければいけない。
若い人たちは自分達の未来の為に声を上げなければならないという危機感を持ってるんじゃないかな。
というメッセージを込めているそうです。
前作「星の旅人」から10年の歳月を掛けて作られた新作『パブリック図書館の奇跡』込められたメッセージは若者らにどう届くのか!?
また、監督自身が影響を一番受けた「人生を変えた一冊」と上げている本はエドガー・アラン・ポーの全作品から大きな影響を受けているということです。(創造力を掻き立てる世界観や人間のダークサイドを描いた物語に惹きつけられたそうです。意外な作者名を聞き少し驚きました…
最後に
以前は図書館のヘビーユーザーの立場から言わせてもらうと、皆さんも感じられていると思いますが、最近の図書館の貸し出し予約システムは物凄く便利になりました。しかも10-20冊位一度に貸し出してくれるので大変助かります。インターネットで予約を入れておけば、本が確保出来たらメールで準備できたことを知らせてくれます。
しかし、新刊書は誰もが読みたいのは分かります、それに図書館は新刊書は何冊か購入して少しでも早く希望する人が読める様にしてくれてはいますが、超人気の本は、やはり予約待ち100人とかとなっている場合は何か月待たされるか分かりません。100人待ちを覚悟して予約を入れる”勇気”はとてもありません。結局人気があり、誰もが読みたい本は図書館で借りる事を諦めざるを得ません。
その為、最近はどうしても読みたい本は本屋で購入するケースが増えています。或はブックオフで探してあれば、購入し読む終えたらブックオフに売却して、自宅の本棚には貯めない様にしています。と、いう訳で最近は新刊書を本屋で購入して読むケースが増えた為、めっきり図書館からは遠ざかってしまいました。
本作品を観たのを良い機会として、再び、図書館に少し顔を出してみたいと思いました。
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