『プリデスティネーション』のあらすじと概要
SF小説の大家ロバート・A・ハインラインによる短編小説「輪廻の蛇」を、イーサン・ホーク主演で映画化。
時間と場所を自在に移動できる政府のエージェントが、凶悪な連続爆弾魔を追うためタイムトラベルを繰り返す姿を描いたSFサスペンス。
1970年、ニューヨークが舞台。ある流れ者によって不遇の道を歩まされたという青年の身の上話を聞いたポップ酒場というバーのバーテンダー(イーサン・ホーク)は、自分が未来からやってきた時空警察のエージェントであることを明かす。青年の人生を狂わせた流れ者への復讐のチャンスを与えるため、バーテンダーはバーを出発点に、携帯型タイムマシンを操り1940年代~1990年代をめまぐるしく移動する。その構成の複雑さに加え、その過程で明らかになるタイムパラドックスに秘められた歪んだ背徳性など、またまた、クリストファー・ノーラン監督の『TENETテネット』同様時空を超越した、ストーリー展開の凄まじさに、ただ一人「おいてけぼり」を食らう心境に陥ってしまう。
『プリデスティネーション』のスタッフとキャストについて
マイケル&ピーター・スピエリッグ兄弟監督/脚本:オーストラリア出身監督
イーサン・ホーク(バーテンダー): 2010年のヴァンパイア映画『デイブレイカー』で主役を演じたイーサンは、スピエリッグ監督たちと二度目のタッグを組むことになった。
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サラ・スヌーク(ジョン):ブリ―・ラーソン出演、ダスティン・ダニエル・クレットン監督のヒューマン・ドラマ『ガラスの城の約束』にも出演している。本作品では、性転換後の男性としてバーに現れるが、元女性役。そして、最後にはもっと以外に事実が判明するが、、、一瞬だが、『羊たちの沈黙』のジョディ―・フォスター似の面影を感じるところがありました。
『プリデスティネーション』のネタバレ感想
タイムトラベル物は簡単なストーリーでも感覚的には分かっていても、論理的に考えるとどうしても理解出来なくなってしまいます。本作品でも二重、三重の仕掛けにまったくついて行けず、解説を読んで漸く内容を理解できた点もありました。
そもそも二次元の地図でも、目的地に到着するまで右往左往することが多く、更に時空を超えた四次元の世界では全く理解力が追いついて行きません。そういう意味ではSF小説作家、脚本家、映画監督らの頭脳の強靭さ、明晰さには驚きます。強いて、注文を付ける事が可能であるならば、もう少しSFドラマ音痴な人間にも納得がいくようなストーリー展開を考えてくれると有り難い。
映画内容に話を少し戻すと、バーテンダーのイーサン・ホークが客であるジョンから身の上話を聞き出すシーンは話にすっと引き込まれる上手さを感じました。また、話が進んでいくと飛んでもない内容が次々と暴露されていき、衝撃を受ける事になります。ある男との出会い、妊娠出産、子供の誘拐、性転換というどこから着想を得たのか、まるで小説の様な信じられない内容です。そこまでで、中盤まで話はすすむのですが、後半そのある男への復讐を目指すあたりから、話がかなりワープを繰り返すと同時に、倫理的にどうかなというストーリー展開に頭の中は既にパニック状態に陥ります。
性転換前の女性(自分自身)に性転換後の男が惚れてしまう。妊娠・出産…このことからは、私はどんなに科学技術が進歩しようと、タイムトラベルはあり得ないと確信しました。これはあくまでも空想上の“技術”であり、タイムトラベルが出来たら、世の中の歴史は滅茶苦茶になり、倫理観もへったくれも無くなってしまうと強烈に感じました。
頭の体操として是非本作視聴に挑戦してみては如何でしょうか!
最後に
原作はSFの大家ロバート・A・ハインラインの書いた短編「輪廻の蛇」(原題:All You Zombies)。早川書房からの短編集に収められている本作は、日本語ではわずか三十ページ弱しかないという。ハインラインも一日で書き上げたというから恐れ入ります。その30ページの文章を90分の映画に作り上げるという力仕事も並の脳力ではないと思います。想像を絶する発想力の豊かさには唖然としました。
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