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上映中 おすすめ映画『コット、はじまりの夏』(2022/コルム・バレード監督)感想‣やっと見つけた、私の居場所とは!

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『コット、はじまりの夏』のネタバレ感想・見どころ

1月末に期限切れとなる優待券が一枚残っていたので本作を見に行きました。事前情報は一切知らずに映画館に行ったところ、平日の午前中にも関わらず観客が溢れ返っており、席は一枚だけ空いていました。但し最前列の右側だったので、初回上映の回は諦め、2回目にはまだ余裕があったのでそちらにしました。初めは他の観客も期限切れ間近の”優待券”を使い切る為にこんなに押し掛けているのかと考えました。しかしながら、この邪推は大きく違っていることに気が付く事になります。

”第95回アカデミー賞の国際長編映画賞にノミネート。世界の映画賞で42受賞、60超ノミネートの快挙の作品‼”と後で知りました。映画の評判をしっかり理解して映画館に足を運んでいる方が大半であることに気が付きました。

観賞して納得! 本当に素晴らしい映画でした。大家族の中、飲んだくれで博打好きな父親、母親は5人目か、6人目の子供を妊娠しています。学校に通っていますが、母親は子供たちの昼食すら準備する余裕がありません。主人公の少女コットは教室内で同級生の持ってきた飲み物を、お腹が減り過ぎて盗み飲みしようとする有り様でした。

学校が夏休みの間だけ、遠い親戚夫婦の元に預けられます。その農村での何気ない単調な生活が展開します。大きな事件や変化がある訳ではありません。お風呂に入り汚れた体や髪を洗ったり、湧き水を汲みに行ったり、牛舎の掃除を手伝ったりしているだけなのですが、自分の家では居場所を見つけられなかった少女が、ようやく仄かな喜びを感じ、ほっと出来る場所を探し出していきます。一方、親戚夫婦は自分達の幼いひとり息子を不慮の事故で亡くしている辛い過去がありました。

暫くする内に親戚のおじさん、おばさんとは家族の様な強い絆に結ばれる関係となります。そして、夏休みが過ぎ自宅に戻される事になります。しかしながら、コットの胸の内には大家族の家は、「ここは自分の帰るべき家ではない」という感情が湧いて来るのが理解出来ます。彼女を送り届けに来たおばさんたちは諦めコットとの辛い別れをします。しかしコットは感情を抑えられず、咄嗟にある思い切った行動に出ます。観客全員がコットの応援団になった瞬間でした…

余りにも素晴らしいのでアカデミー賞の国際長編映画賞間違いないと思います。

『コット、はじまりの夏』のあらすじと概要

1980年代初頭のアイルランドを舞台に、9歳の少女が過ごす特別な夏休みを描いたヒューマンドラマ。第72回ベルリン国際映画祭で子どもが主役の映画を対象にした国際ジェネレーション部門でグランプリを受賞し、第95回アカデミー賞の国際長編映画賞にノミネートもされています。世界の映画賞で42受賞、60超ノミネートの快挙を果たしている作品です。

1981年、アイルランドの田舎町が舞台。貧困で苦しむ大家族、飲酒と賭け事が好きな父親らの中でひとり静かに暮らす寡黙な少女コットは、赤ちゃんが生まれるまでの夏休みを遠い親戚夫婦キンセラ家の緑豊かな農場で過ごすことになります。はじめのうちは慣れない生活に戸惑うコットでしたが、ショーンとアイリンの夫婦の愛情をたっぷりと受け、ひとつひとつの生活を丁寧に過ごす中で、これまで経験したことのなかった生きる喜びを徐々に実感していくようになります。

本作がデビュー作となるキャサリン・クリンチが主人公コットを圧倒的な透明感と存在感で繊細に演じ、IFTA賞(アイリッシュ映画&テレビアカデミー賞)主演女優賞を史上最年少の12歳で受賞しています。アイルランドの作家クレア・キーガンの小説「Foster」を原作に、これまでドキュメンタリー作品を中心に子どもの視点や家族の絆を描いてきたコルム・バレードが長編劇映画初監督・脚本を手がけています。

また、海外最大の映画評論サイトRotten Tomatoesでは97%フレッシュ(※2023.11.9時点)という高い評価を記録し、多くの映画人や映画ファンを魅了している作品です。

 

2022年製作/95分/アイルランド
原題:An Cailin Ciuin

『コット、はじまりの夏』のスタッフとキャストについて

コルム・バレード監督・脚本:これまでドキュメンタリー作品を中心に子どもの視点や家族の絆を描いてきた監督の初長編映画作品。

キャサリン・クリンチ(コレット):本作が映画デビュー作。夏休みの間だけ遠い親戚に預けられ、慣れない環境の中でも愛情溢れる扱いを受け、初めて生きている実感を味わう事になります。

キャリー・クロウリー(アイリン・キンセラ、遠い親戚の伯母さん):ヒストリーチャンネル製作の歴史ドラマ「ヴァイキング ~海の覇者たち~」などTVドラマを中心に活躍。

アンドリュー・ベネット(ショーン・キンセラ、アイリンの亭主):ケン・ローチ監督の劇場4作目『ブラック・ジャック』で映画デビュー。

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