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おすすめ映画『宮廷画家ゴヤは見た』(2006/ミロス・フォアマン監督)感想‣異端尋問、フランス革命当時の世相を反映

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『宮廷画家ゴヤは見た』のあらすじ概要

「カッコーの巣の上で」「アマデウス」のオスカー監督ミロス・フォアマンが、18世紀末スペインの国王カルロス4世の宮廷画家ゴヤの目を通し、絵のモデルとなった神父と少女が辿る数奇な運命を描いた人間ドラマ。

肖像画を描いてもらうためゴヤのアトリエを訪れたロレンソ神父(ハビエル・バルデム)は、そこで見た絵の中の少女イネス(ナタリー・ポートマン)の美しさに心をすっかり奪われてしまいます。ところがある日、イネスは食堂で豚肉を食べなかったというだけでユダヤ教徒の疑いをかけられ捕らえられ、異端審問所に囚われてしまいます。過酷な「審問」の苦痛に耐えかねて、真実とは異なる告白をしてしまうことになります。

製作は3度のオスカーに輝くソウル・ゼインツ。脚本はブニュエル作品で知られる大家ジャン=クロード・カリエールが担当した。

この映画の出発点は、半世紀前にチェコスロバキアの学生だったフォアマン監督が、異端審問と共産主義社会に共通点(理不尽な世界!)を見出したことにあるという。

原題:Goya’s Ghosts

『宮廷画家ゴヤは見た』 のスタッフとキャストについて

ミロス・フォアマン監督:1932年生まれ、チェコ出身。「ブロンドの恋」(65)と「火事だよ!カワイ子ちゃん!」(67)が立て続けにアカデミー外国語映画賞にノミネートされ、一躍チェコ映画界期待の星となる。「カッコーの巣の上で」(75)では、アカデミー賞で作品賞・監督賞を含む5部門、「アマデウス」(84)では同8部門に輝く。

ハビエル・バルデム(修道士ロレンゾ):アメリカ進出作「夜になるまえに」(00)でアカデミー主演男優賞にノミネート、「ノーカントリー」(07)で同助演男優賞を獲得し、ベネチア国際映画祭(「ライブ・フレッシュ」「海を飛ぶ夢」)とカンヌ国際映画祭(「Biutiful」)で男優賞を受賞している。

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ナタリー・ポートマン(イネス・ビルバトゥア):1981年生まれ、イスラエル・エルサレム出身。3歳の時アメリカに移住。リュック・ベッソン監督作「レオン」(94)でセンセーショナルな映画デビューを果たす。「ブラック・スワン」(10)では心の闇にとらわれていくバレリーナを熱演し同主演女優賞を受賞。

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ステラン・スカルスガルド(宮廷画家 フランシスコ・デ・ゴヤ):スウェーデン出身。10代の頃からTVシリーズで主演を務める。

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『宮廷画家ゴヤは見た』 のネタバレ感想

ネタバレ有り

現代からみると理不尽この上ない事に翻弄されながら生きる人々を描いています。当時としてはこんなことは当たり前の状況で、決して驚くべき事ではなかったかもしれません。非常に恐ろしい時代だったと感じました。豚肉を食べなかっただけでユダヤ教徒とみなされ、異端者と見做され牢獄に15年間も拘束されていました。よくもまともに命が永らえたもの。フランス革命の影響で無事解放されたものの、次は精神病の収容所に隔離されてしまいました。イネスはとことん運に見放され、救いようのな哀れな半生だったと思います。

一方、修道士ロレンゾもサルとチンパンジーのあいの子であるという「告白文」を書かせられるところは笑えるとしても、国外逃亡の末にフランスで大復活を遂げ、ナポレオンの勢力下「虎の威を借りた狐」となりスペインに凱旋してきます。束の間我が世の春を謳歌しますが、突如英国軍に攻め込まれ万事休すです。時代の波に翻弄される哀れな人物の栄枯盛衰を見せられました。

宮廷画家の冷徹な目で見た事実を映像で描出するのはいいのですが、15年間異端審問所の牢に繋がれていたイネスの解放後の姿は直視できない程、やつれ果てぼろきれの姿に描かれていました。びっくり仰天です。ナタリー・ポートマンのファンのひとりとしては、残念ながら正直余り見たいとは思わない変わり果た姿でした。また、彼女が牢の中で産んだ女の子には結局再会は叶わなかったのも気の毒過ぎました…

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