15年から始まった「スター・ウォーズ」の3部作ではカイロ・レン役に抜てきされ、世界的に名を知られるようになったアダム・ドライバー。他の映画でも数多く出演しハリウッド映画の中でも圧倒的な存在感を発揮しています。今年の公開中のリドリ―・スコット監督『最後の決闘裁判』に続き、来年1月14日公開予定のレディー・ガガとの共演が楽しみな同じくリドリ―・スコット監督『ハウス・オブ・グッチ』が控えています。
『フランシス・ハ』(2012/ノア・バームバック監督)
アカデミー脚本賞にノミネートされた監督作「イカとクジラ」のほか、「ライフ・アクアティック」「ファンタスティック Mr. Fox」などウェス・アンダーソン作品の脚本にも参加しているノア・バームバック監督が、ニューヨークを舞台にモダンダンサーを目指す主人公の女性フランシスと、彼女を取り巻く奇妙な友人関係を、モノクロの映像でいきいきと描いたドラマ。
モダンダンサーを目指し、ニューヨーク、ブルックリンで親友ソフィとルームシェアをしながら楽しい日々を送っていた27歳のフランシス(グレタ・ガーウィグ)。しかし恋人に振られ、ソフィとの同居生活も解消になってしまったことから、居場所を求めて町を転々とするはめになる。周りの友人たちは次々と身を固めていき、焦りも感じたフランシスは、自分の人生を見つめ直していくことになります。
主題歌はデビッド・ボウイの「モダンラブ」。「ローマでアモーレ」などに出演した女優のグレタ・ガーウィグが主演・共同脚本。
おすすめ映画|『フランシス・ハ』(2012/ノア・バームバック監督)元気に走り回るグレタの姿が清々しい!
『J.エドガー』(2011/クリント・イーストウッド監督)
2011年の伝記映画。巨匠クリント・イーストウッド監督の32作目の作品、ダスティン・ランス・ブラック脚本(『ミルク』でアカデミー賞を受賞)で、名優レオナルド・ディカプリオがジョン・エドガー・フーヴァーを演じた。
1924年、29歳でアメリカ連邦捜査局FBIの局長に就任し、死去するまで48年間にわたって局長を務め上げた、まさに”FBIの顔”。現場検証、指紋採取、筆跡鑑定、そして捜査情報のデータ化と、現在の犯罪捜査の基礎を築いた功績を残し、国民的英雄と賞賛される。
また、J・エドガーは、カルビン・クーリッジからリチャード・ニクソンまで8人の大統領に仕え、FBIを犯罪撲滅のための巨大組織へと発展させていった功労者。しかし、多くの功績を残した一方で、圧倒的な権力と情報収集力で政治家や活動家の言動を監視。そうした秘密情報を”ファイル”にまとめ、ハリー・トールマン、ジョン・F・ケネディ、リチャード・ニクソンなど、実に8人の大統領に向かってファイルの存在をちらつかせて、”Mr.アンタッチャブル”として彼らを従えるまでの存在にのし上がる。時に強引な手腕が物議をかもしたが、その私生活は完全に謎に包まれていたが、アメリカ史のタブー、そして誰もが恐れたフーヴァーという”怪物”を、初めて真正面から取り上げた本作品中では数々の秘密が暴露され、目の当たりにする事が出来ます。
感想|『J.エドガー』(2011/クリント・イーストウッド監督)レオナルド・ディカプリオと名匠との初タッグ!
『沈黙 サイレンス』(2017/マーティン・スコセッシ監督)
遠藤周作の小説「沈黙」を、「アイリッシュマン」「タクシードライバー」の巨匠マーティン・スコセッシが映画化したヒューマン歴史ドラマ。
キリシタンの徹底的な弾圧が行われていた江戸初期の日本に渡ってきたポルトガル人イエズス会の宣教師の目を通し、人間にとって大切なものか、人間の弱さとは何かを描き出した感動巨編。
17世紀、キリスト教が禁じられた日本で棄教したとされるフェレイラ神父の真相を確かめるため、本国より日本を目指す若き宣教師のロドリゴ(アンドリュー・ガーフィールド)とガルペ(アダム・ドライバー)。2人は旅の途上のマカオで出会ったキチジロー(窪塚洋介)という日本人を案内役に、やがて長崎へとたどり着き、厳しい弾圧を受けながらも自らの信仰心と向き合っていくことになる。
スコセッシが1988年に原作を読んで以来、28年をかけて映画化にこぎつけた念願の企画だという。キチジロー役の窪塚洋介をはじめ、通訳の浅野忠信、井上筑後守のイッセー尾形、塚本晋也、小松菜奈、加瀬亮、笈田ヨシといった多彩な日本人キャストが出演している。
映画感想|『沈黙 サイレンス』(2017/マーティン・スコセッシ監督)遠藤周作原作の小説を映画化!
『ローガン・ラッキー』(2017/スティーブン・ソダーバーグ監督)
アメリカ最大のモーターカーイベント、NASCARレースを舞台にその地下で大金を強奪するという犯罪映画ながら、どこかしら底抜けに間の抜けたところもある犯罪映画であり、楽しめる映画となっている。監督自ら「本作は”オーシャンズ11”の従妹版と太鼓判を押す!」とあるが、余りに脇が甘い現金強奪計画で思わず大丈夫かと思わず応援したくなってしまうほど…
助っ人の辣腕金庫破りには六代目ジェームズ・ボンド役の「ダニエル・クレイグ」が扮する。仲間入りの条件として二人の余り頼りになりそうもない弟二人が参加すること。彼が用意した爆弾の材料も御菓子やら、グミやら何となくインチキ臭いが見事に大爆発を起こし、金庫は破られる。
刑務所では脱走中の「金庫破り犯」が戻って来るまで何とかばれない様に刑務所を占拠するなど囚人全員が一致団結して協力するところは何とも泣かせるところである。
おすすめ映画|『ローガン・ラッキー』(2017/スティーブン・ソダーバーグ監督)アメリカ最大のモーターカーイベント、NASCARレースを舞台とする
『マリッジ・ストーリー』(2019/ノア・バームバック監督)
「ヤング・アダルト・ニューヨーク」のノア・バームバック監督が、スカーレット・ヨハンソンとアダム・ドライバーを主演に迎えて描いたNetflixオリジナル映画。女優のニコールと夫で舞台演出家のチャーリーが結婚生活に葛藤を抱え、離婚に向かっていく姿を描いたヒューマンドラマ。結婚生活がうまくいかなくなり、円満な協議離婚を望んでいた2人だったが、それまで溜め込んでいた積年の怒りがあらわになり、弁護士をたてて争うことになってしまう。第92回アカデミー賞では作品賞のほか主演男優、主演女優、脚本など計6部門でノミネートされ、ニコールを助ける女性弁護士ノラを演じたローラ・ダーンが助演女優賞を受賞した。
おすすめ映画|『マリッジ・ストーリー』(2019/ノア・バームバック監督)スカーレット・ヨハンソンとアダム・ドライバー共演離婚劇!
『奇跡の2000マイル』(2013/ジョン・カラン監督)
ラクダと愛犬とともにオーストラリア砂漠3000キロをたった1人で踏破した女性の実話を、「アリス・イン・ワンダーランド」のミア・ワシコウスカ主演でオーストラリアの原野各地で大掛かりなロケ撮影を敢行し映画化した壮大なロードムービー。
思い通りにいかない人生に変化を求め、ひとり都会から砂埃が舞うオーストラリア中央部の町アリス・スプリングス(オーストラリアのほぼ中央に位置する町)にやってきた女性ロビン・デビッドソン。彼女がこの土地に訪れた目的は、砂漠地帯を踏破しインド洋を目指す旅に出ることだった。パブで働きながらラクダの調教を学び、旅の準備を周到に整えた、ロビンは、4頭のラクダ、愛犬とともに町から旅へと出発する。雑誌会社からの資金援助は出る事は出来たが、但し、定期的にカメラマンの同行を一部認めるという条件があった。1日あたり約32キロのペースで歩き、9カ月という日数をかけて達成したその旅の過程で、ロビンはさまざまな人々の出会いや経験を体験することで成長していく。
ネタバレ感想|「奇跡の2000マイル」(2013)ミア・ワシコウスカ主演映画、24才の女性が単独で3000㌔を歩き切る!
『ブラック・クランズマン』(2018/スパイク・リー監督)
黒人でありながら白人至上主義の過激派団体KKKを潜入捜査するという困難なミッションに挑んだ元刑事ロン・ストールワースによる回顧録「ブラック・クランズマン」を、「マルコムX」のスパイク・リー監督が映画化。
1979年、コロラド州コロラドスプリングスの警察署で、初の黒人刑事として採用されたロン・ストールワース(ジョン・デビッド・ワシントン)。署内の白人刑事たちから冷遇されながらも捜査に燃えるロンは、新聞広告に掲載されていた白人至上主義団体KKKのメンバー募集に勢いで電話をかけ、黒人差別発言を繰り返して入団の面接にまで漕ぎ着けてしまう。
しかし黒人であるロンはKKKと対面できないため、同僚のユダヤ系刑事フリップ(アダム・ドライバー)に協力してもらうことに。電話はロン、対面はフリップが担当して2人で1人の人物を演じるという信じられない手法で、KKKの潜入捜査を進めていくが……。
白人訛りを見事に使いこなすロンと、現場でのトラブルにも全く動じないフリップの演技は優秀で、KKK支部長ウォルターや全国指導者デビッド・デュークからも信頼を得て、次期支部長に推挙されるまでになる。過激派支部員のフェリックスだけが、新入りのロンに懐疑的な目を向け続け、ロンの正体を暴こうとします。
おすすめ映画|『ブラック・クランズマン』(2018/スパイク・リー監督)警察と白人至上主義団体の戦いを笑いとスリルで描いた社会派刑事アクション
『最後の決闘裁判』(2021/リドリ―・スコット監督)
巨匠リドリー・スコット監督が手掛ける26本目の長編映画。原作はエリック・ジェイガーのノンフィクション『決闘裁判 世界を変えた法廷スキャンダル』を基に描く。アカデミー脚本賞受賞作「グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち」(97)以来のタッグとなるマット・デイモンとベン・アフレック(さらにニコール・ホロフセナー)による脚本を映画化した歴史ミステリー。
1386年、百年戦争さなかの中世フランスが舞台。実際に執り行われたフランス史上最後の「決闘裁判」を基にした物語、描かれるのは、歴史を変えたとされる事件と、死を賭して己の正義を証明しようと挑んだ人々による衝撃の実話を描く。
フランス・ノルマンディーの騎士カルージュの妻マルグリットが、夫の旧友従騎士ル・グリに暴行されたと訴えるが、目撃者もおらず、ル・グリは無実を主張。真実の行方は、カルージュとル・グリによる生死を懸けた「決闘裁判」に委ねられる。
公開中 新作おすすめ映画|『最後の決闘裁判』(2021/リドリ―・スコット監督)
『ヤング・アダルト・ニューヨーク』(2014/ノア・バームバック監督
「イカとクジラ」「フランシス・ハ」のノア・バームバック監督が、ニューヨーク・ブルックリンを舞台に、世代の異なる2組のカップルの交流と友情を描いたハートフルコメディ。
8年間も新作が完成していないドキュメンタリー映画監督のジョシュと、妻のコーネリア。40代になり、まだまだ若いと思っているが人生にも夫婦にも何かが欠けていると感じるようになったある日、ジェイミーとダービーという20代のカップルと知り合います。
時代に乗り遅れたくないとSNSに縛られる日々を送る自分たちに比べ、自由でクリエイティブに生き、LPレコードやタイプライターといったレトロなカルチャーを愛する若い2人、(しかも彼らはジョシュを記録映画監督として尊敬し一目置いている)に刺激を受けたジョシュとコーネリアは、再び活力を取り戻していくのですが、若い二人が接近して来たことには何やら別の魂胆があった様です。
おすすめ映画|『ヤング・アダルト・ニューヨーク』(2014/ノア・バームバック監督)ニューヨークが舞台の60代と40代と20代、3世代の物語!
『パターソン』(2016/ジム・ジャームッシュ監督)
ジム・ジャームッシュ監督が「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」以来4年ぶりに手がけた長編劇映画で、「スター・ウォーズ」シリーズのアダム・ドライバー扮するバス運転手パターソンの何気ない日常を切り取り、妻、愛犬との優しさにあふれた7日間をほんわりと詩情豊かにつづる人間ドラマ。
ニュージャージー州パターソン市で暮らすバス運転手のパターソン。6時15分、毎朝起きると妻ローラにキスをしてからバスを走らせ、帰宅後には妻と夕食を共にし、愛犬マービンと散歩へ行ってバーで1杯だけビールを飲む。単調な毎日に見えるが、詩人でもある彼の目にはありふれた日常のすべてが美しく見え、周囲の人々との交流はかけがえのない大切な時間となっている。そんな彼が過ごす何気無い日常生活の7日間を、ジャームッシュ監督ならではの絶妙な間と飄々とした語り口で描く独特の雰囲気で居心地の良い映画となっている。
「ミステリー・トレイン」でもジャームッシュ監督と組んだ永瀬正敏が、27年振りにジム・ジャームッシュ監督作品に出演、ラストでパターソンと出会う日本人詩人役を演じているのも見もの。
おすすめ映画|『パターソン』(2016/ジム・ジャームッシュ監督)アダム・ドライバー主演のほんわか人間ドラマ
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