「アカデミー賞受賞確実」!と堂々と宣言している作品(ドリームプラン)もありますが、今年も素晴らしい作品が目白押し、オスカーの行くへは全くわかりません。特に最近は見たい映画が集中しており、毎週2,3度と劇場に足を運ぶ頻度が増えました。また、見たい映画の中ではある動画配信企業独占配信という映画も現れ驚きました。(劇場公開はされない!)最近見た新作映画10作品に絞り以下ご紹介します。参考にしてみてください。順不同です。
- 『MONSOON モンスーン』(2020/ホン・カウ監督)
- 『ロスト・ド―ター』(2021/マギー・ギレンホール監督)
- 『クレッシェンド 音楽の架け橋』(2019/ドロール・ザハビ監督)
- 『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』(2021/ウェス・アンダーソン監督)
- 『シルクロード.com 史上最大の闇サイト』
- 『The Hand of God』(2021/パオロ・ソレンティーノ監督)
- 『ウエスト・サイド・ストーリー』(2021/スティーブン・スピルバーグ監督)
- 『コーダ あいのうた』(2021/シアン・ヘダー監督)
- 『アンチャーテッド』(2022/ルーベン・フライシャー監督)
- 『ドリームプラン』(2021/レイナルド・マーカス・グリーン監督)
『MONSOON モンスーン』(2020/ホン・カウ監督)
「G.I.ジョー 漆黒のスネークアイズ」「クレイジー・リッチ!」のヘンリー・ゴールディング主演作で、難民として家族でイギリスに亡命した青年が、30年ぶりに訪れた故郷のサイゴン(現ホーチミン)で自身のアイデンティティを探す姿を、「追憶と、踊りながら」のホン・カウ監督が描いた。
6歳の時に家族とともにベトナム戦争後の混乱を逃れてイギリスへ渡ったボート難⺠のキットは、両親の遺灰埋葬のため、30年ぶりに祖国のサイゴンを訪れる。そこは経済成長を遂げ、かつての姿は見る影もない場所だった。ベトナム語すらままならないキットは、英語の話せる従兄弟のリーの助けを借りながら、まるで観光客のように街に馴染めず、孤独な表情を浮かべる。キッドが過去の記憶を辿るように街を彷徨う姿が映し出されていくのがとても印象的でした。「自身の大事な場所」を探す旅にでます。そんな旅の中で、キットは自分たちの家族の亡命にまつわる、ある真実を聞くこととなる。
公開中 おすすめ新作映画感想|『MONSOON モンスーン』(2020/ホン・カウ監督)
『ロスト・ド―ター』(2021/マギー・ギレンホール監督)
「クレイジー・ハート」などの演技派女優マギー・ギレンホールが長編監督デビューを果たしたヒューマンドラマ。
エレナ・フェッランテ(なんと、著者は処女作公表以来、自身の匿名性”を条件にしている人物で、本名を明かしておらず、本人のことを知る人は誰もいない!)の小説を基にギレンホール監督が自ら脚本を手がけた作品、批評家からの受けも大変良く、2021年・第78回ベネチア国際映画祭で世界初上映され最優秀脚本賞を受賞しています。
ギリシアの海辺の町へバカンスにやって来た中年女性レイダ(オリビア・コールマン)は、ビーチで見かけた若い母親ニーナ(ダコタ・ジョンソン)と幼い娘の姿に目を奪われる。ニーナの娘エレナがビーチで一瞬行方不明になった後、レイダは娘を海岸で発見し、若い母親の元に返します。しかし、ビーチで椅子に座りながら、若い母親が幼い娘を持て余している様子などを観察していると、かつて自分が母親になったばかりで恐怖と混乱に満ちていた頃の記憶が蘇り、以前の悔恨の感情に押しつぶされそうになり、心の中の不気味な世界へと迷い込んでいくことになります。現在と過去のフラッシュバック映像が交互に重なり、彼女のキャラクターが次第に掘り下げられていく手法は実に見事です。
おすすめ新作映画感想|『ロスト・ド―ター』(2021/マギー・ギレンホール監督)この”最悪”の女性に共鳴できるか!?
『クレッシェンド 音楽の架け橋』(2019/ドロール・ザハビ監督)
長く紛争の続くイスラエルとパレスチナから集った若者たちがオーケストラを結成し、平和を祈念するコンサートに向けて対立を乗り越えていく姿を、実在する楽団をモデルに描いたヒューマンドラマ。
現代クラシック音楽の指揮者として世界的に名の知られるエドゥアルト・スポルクは、“世界で最も解決が難しい”と言われる紛争中のイスラエルとパレスチナから若者たちを集めてオーケストラを編成し、平和を祈ってコンサートを開くというプロジェクトに参加する。
オーケストラには、オーディションを勝ち抜き、家族の反対や軍の検問を乗り越え、音楽家になるチャンスをつかんだ20数人の若者たちが集まったが、彼らもまた、激しくぶつかり合ってしまう。そこでスポルクは、コンサートまでの21日間、彼らをイタリア・南チロルの合宿所に連れ出す。寝食を共にし、互いの音に耳を傾け、経験を語り合うことで、少しずつ心をひとつにしていくオーケストラの若者たちを描く。
しかし、コンサート前日に予想だにしなかった衝撃的な事件が起こる。誰もが”予想していたであろう”少しずつ距離を縮め、心をひとつにコンサートを成功に導き大団円……とはまったくならない結末には驚きを隠せませんでした。
世界的指揮者のダニエル・バレンボイムが、米文学者のエドワード・サイードととともに1999年に設立し、イスラエルと、対立するアラブ諸国から集まった若者たちで結成された「ウェスト=イースタン・ディバン管弦楽団」をモデルに描いた。
若者たちを導くスポルク役を「ありがとう、トニ・エルドマン」のペーター・シモニスチェクが演じる。
公開中 おすすめ新作映画|『クレッシェンド 音楽の架け橋』(2019/ドロール・ザハビ監督)イスラエル人とパレスチナ人がオーケストラを結成!?(実話に基づく)
『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』(2021/ウェス・アンダーソン監督)
「グランド・ブダペスト・ホテル」「犬ヶ島」のウェス・アンダーソン監督が、20世紀フランスの架空の街にある米国新聞社の支局で働く個性豊かな編集者たちの活躍を描いた長編第10作目。様々な国を舞台にしたコスモポリタンな作風が特徴であり、本作は雑誌The New Yorker誌への賛辞とともに、フランスとその文化に対する敬意と愛情が満ち溢れていました。
国際問題からアート、ファッション、グルメに至るまで深く切り込んだ記事で人気を集めるフレンチ・ディスパッチ誌。編集長アーサー・ハウイッツァー・Jr.のもとには、向こう見ずな自転車レポーターのサゼラック、批評家で編年史家のベレンセン、孤高のエッセイストのクレメンツら、ひと癖もふた癖もある才能豊かなジャーナリストたちが揃っていました。
ところがある日、編集長が仕事中に急死し、遺言によって廃刊が決定してしまう。何が飛び出すか分からない追悼号にして最終号が如何に作られていくか…
公開中 おすすめ新作映画感想|『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』(2021/ウェス・アンダーソン監督)3つの記事をオムニバス形式で描いた物語
『シルクロード.com 史上最大の闇サイト』
2011年、検索エンジンではヒットしないダークウェブと暗号通貨 “ビットコイン”という二つの暗号化技術を用いて、違法ドラッグや殺人依頼を匿名でやりとりできる闇サイトを立ち上げた天才的頭脳を持つ若者を、パソコンも使えないアナログな捜査官が追い詰めていく姿を、実話をもとに描いたサスペンス。
天才的な頭脳に恵まれたロス・ウルブリヒトは、自由な世界を求め、「世界を変えるぞ」「アマゾンのドラッグ版だ」と唱え、表では絶対に買えない違法物を完全に匿名で売買できる闇サイト「シルクロード」を立ち上げる。瞬く間に熱狂的な支持者を集めたシルクロードは、一日に一億円もの取引を行う程に急成長、警察にもマークされるが、ロスは絶対に身元がバレない強固なシステムを築いていました。
一方、ボルティモアの麻薬取締局に所属していた、はぐれ者の捜査官リック・ボーデンは、アルコール依存症が原因で重大な作戦でミスを犯して、サイバー犯罪課へ異動させられていました。引退まで9カ月を残し、最後の事件を追う事で、家族のために実は一線を越えてしまうことになります。アナログ人間のリックはサイバー犯罪課では足手まといな存在でしたが、周囲も驚く執念の独自の捜査方法でロスとの接触に成功するのですが……。
公開中 おすすめ新作映画感想|『シルクロード.com 史上最大の闇サイト』(2021/ティラー・ラッセル監督)“驚愕の実話”から生まれたサイバー・ダーク・サスペンス
『The Hand of God』(2021/パオロ・ソレンティーノ監督)
「グレート・ビューティー 追憶のローマ」などで知られるイタリアの名匠パオロ・ソレンティーノが、故郷ナポリを舞台に、運命と家族、スポーツと映画、愛と喪失のエッセンスを散りばめながら1人の少年の成長を描いた自伝的作品。
1980年代。サッカー好きの少年ファビエット・スキーザが両親と暮らす、とても美しい情景の街ナポリ、伝説のサッカー選手ディエゴ・マラドーナがナポリのプロサッカークラブチームにこれまでの史上最高額の移籍金によって、加入して来ます。思わぬ出来事に喜ぶファビエットだったが、予想外の悲劇が突然彼を襲います。激動の時代の中で数奇な運命に導かれ、ファビエットはもがき苦しみながらも人々との交流を通して成長していく様子が描出されます。
2021年・第78回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(審査員グランプリ)、主演のフィリッポ・スコッティがマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)を受賞した作品です。なお、本作はアカデミー賞外国語映画賞にイタリア映画として出品された作品です。日本の代表作『ドライブ・マイ・カー』と受賞を争う事(3月27日決定)になるかもしれません。
おすすめ新作映画|『The Hand of God』(2021/パオロ・ソレンティーノ監督)ナポリを映し出した数々の刺激的な映像世界!
『ウエスト・サイド・ストーリー』(2021/スティーブン・スピルバーグ監督)
スティーブン・スピルバーグ監督が、1961年にも映画化された名作ブロードウェイミュージカル「ウエスト・サイド物語」を再び映画化、初のミュージカル映画に挑戦したもの。
舞台は1950年代のニューヨーク。マンハッタンのウエスト・サイドには、夢や成功を求めて世界中から多くの移民が集まっていました。社会の分断の中で差別や貧困に不満を募らせた若者たちは同胞の仲間と集団をつくり、各グループはお互いに激しく対立しあっていました。特に白人ヨーロッパ系移民のギャング「ジェッツ」とプエルトリコ系移民の「シャークス」は激しく敵対していました。そんな中、ジェッツの元リーダーであるトニーは、シャークスのリーダーの妹マリアとある日のダンスパーティーで運命的な恋に落ちます。ふたりの禁断の愛は、多くの人々の運命を変えていくことになります。
「ベイビー・ドライバー」のアンセル・エルゴートがトニー、一年以上も掛けたオーディションで約3万人の中から選ばれた新星レイチェル・ゼグラーがマリアを演じ、61年版でアニタ役を演じたリタ・モレノも出演。「リンカーン」のトニー・クシュナーが脚本、現代アメリカのダンス界を牽引するジャスティン・ペックが振付を担当。2022年・第94回アカデミー賞では作品、監督賞ほか計7部門にノミネートされています。
公開中 おすすめ新作映画『ウエスト・サイド・ストーリー』(2021/スティーブン・スピルバーグ監督)世界で絶賛相次ぐ! オスカー10冠のオリジナルを「超えた」の声もあるとかないとか
『コーダ あいのうた』(2021/シアン・ヘダー監督)
2014年製作のフランス映画「エール!」のリメイク。海の町でやさしい両親と兄と暮らす高校生のルビー。彼女は家族の中で1人だけ耳が聞こえる。幼い頃から家族の耳となり「通訳」をしていたルビーは家業の漁業も毎日漁船に乗り込み欠かさず家族の手伝いを続けていました。
新学期、秘かに憧れるクラスメイトのマイルズと同じ合唱クラブに入部したルビーの歌の才能に気づいた顧問の先生は、州都ボストンのバークリー音大への進学を強く勧めるが、 ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられずにいた。家業の方が大事だと大反対する両親に、ルビーは自分の夢よりも家族の助けを続けることを決意するが……思いがけない方法で娘の才能に気づいた父は、意外な決断を下し、家族に大きな変化をもたらす事になります。
大ヒットテレビシリーズ「ロック&キー」などで注目の集まるエミリア・ジョーンズがルビー役を演じ、「愛は静けさの中に」のオスカー女優マーリー・マトリンら、実際に聴覚障害を持つ俳優たちがルビーの家族を演じる。
公開中 おすすめ新作映画感想|『コーダ あいのうた』(2021/シアン・ヘダー監督)障がいを持つ家族と暮らす少女の夢と青春を描く
『アンチャーテッド』(2022/ルーベン・フライシャー監督)
全世界興行収入2000億円を突破となるメガヒット作『スパイダーマン・ノー・ウェイ・ホーム』の主演トム・ホランドの新作が早くも日本に上陸しました。
トレジャーハンターのネイサン・ドレイクが伝説の秘宝や古代都市の謎に挑む、PlayStation5用人気アクションアドベンチャーゲーム「アンチャーテッド」シリーズ(これまで世界で累計4100万枚の売り上げを誇る大ヒットシリーズ)を、トム・ホランド&マーク・ウォールバーグの共演で実写映画化。
ニューヨークでバーテンダーとして働くネイサン・ドレイク(ネイト) は、器用な手さばきと類まれなるスリの才能を見込まれ、トレジャーハンターのビクター・サリバン(サリー) から、50億ドルの財宝を一緒に探さないかとスカウトされます。ネイトは、消息を絶ち生き別れた兄の知り合いだということから、トレジャーハンターになることを決意します。
同じく財宝を狙う組織との争奪戦の末に、財宝に辿り着く為の手がかりとなるゴールドの十字架を手にしたネイトとサリーでしたが、そこには同じく財宝を狙う女性冒険家クロエ(ソフィア・アリ)らが立ち塞がっていました。やがて、ようやく500年前に消えたとされる幻の海賊船へ辿り着きますが、果たして財宝を手にすることが出来るのか…
本作最大級の見せ場は、高度飛行中の輸送機から吊るされたコンテナにトム・ホランドが次々に飛び移る緊迫のシーンです。フィリピンのパンダ海を眼下に見下ろす美しい大海原を背景に息詰まるアクションシーンが連続します。iMAXシアターでの鑑賞は本当に手に汗握る臨場感でびっくり仰天しました。
公開中 おすすめ新作映画感想|『アンチャーテッド』(2022/ルーベン・フライシャー監督)トム・ホランド&マーク・ウォールバーグの共演実写化映画
『ドリームプラン』(2021/レイナルド・マーカス・グリーン監督)
ウィル・スミスが主演・製作を務め、世界最強のテニスプレイヤーと称されるビーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹を世界チャンピオンに育てあげたテニス未経験の父親の実話を基に描いたヒューマンドラマ。
父リチャード・ウィリアムズは優勝したテニスプレイヤーが4万ドルの小切手を受け取る姿をテレビで見て、自分の子どもをテニスプレイヤーに育てることを決意する。テニスの経験がない彼は独学でテニスの教育法を研究して78ページにも及ぶ世界王者を育てる計画書を作成し、金なしコネなし、富裕層の白人主体のスポーツという完全なる逆境のなか2人の娘ビーナス、セリーナ・ウィリアムズをテニスの世界王者へと育て上げた、波乱に満ちた驚がくの実話を基にした作品です。
父親は強固な意志を持ち、まったく常識破りの計画を実行に移していきます。ギャングがはびこり治安が悪いカリフォルニア州南部のコンプトンの公営テニスコートで、周囲からの批判や数々の問題に立ち向かいながら奮闘する父のもと、姉妹はその才能を見事に開花させていきます。
2022年・第94回アカデミー賞では作品賞、主演男優賞(ウィル・スミス)、助演女優賞(アーンジャニュー・エリス)、エンディング・テーマを歌ったビヨンセが歌曲賞のほか計6部門にノミネートされている。
公開中 新作映画おすすめ|『ドリームプラン』(2021/レイナルド・マーカス・グリーン監督)“ウィル・スミス史上最高の演技か!?”
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