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おすすめ新作映画|『The Hand of God』(2021/パオロ・ソレンティーノ監督)ナポリを映し出した数々の刺激的な映像世界!

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『The Hand of God』のあらすじ概要

「グレート・ビューティー 追憶のローマ」などで知られるイタリアの名匠パオロ・ソレンティーノが、故郷ナポリを舞台に、運命と家族、スポーツと映画、愛と喪失のエッセンスを散りばめながら1人の少年の成長を描いた自伝的作品。

1980年代。サッカー好きの少年ファビエット・スキーザが両親と暮らす、とても美しい情景の街ナポリ、伝説のサッカー選手ディエゴ・マラドーナがナポリのプロサッカークラブチームにこれまでの史上最高額の移籍金によって、加入して来ます。思わぬ出来事に喜ぶファビエットだったが、予想外の悲劇が突然彼を襲います。激動の時代の中で数奇な運命に導かれ、ファビエットはもがき苦しみながらも人々との交流を通して成長していく様子が描出されます。

2021年・第78回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(審査員グランプリ)、主演のフィリッポ・スコッティがマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)を受賞した作品です。なお、本作はアカデミー賞外国語映画賞にイタリア映画として出品された作品です。日本の代表作『ドライブ・マイ・カー』と受賞を争う事(3月27日決定)になるかもしれません。

祝 ゴールデン・グローブ賞受賞!おすすめ新作映画『ドライブ・マイ・カー』(2021/濱口竜介監督)村上春樹原作、西島秀俊主演、名車サーブ900、チェーホフの「ワーニャ叔父さん」、広島が舞台。

原題:E stata la mano di Dio

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『The Hand of God』のスタッフとキャストについて

パオロ・ソレンティーノ監督・脚本・制作:イタリア・ナポリ出身。2006年『L’amico di famiglia』がカンヌ国際映画祭でパルム・ドールにノミネートされた。

不世出の才能を持って映画史における一つのピークと呼べるほど、圧倒的な作家主義的映画を撮り続けていた「フェデリコ・フェリー二」の作家性の一部をイタリア人映画監督として受け継ごうとする存在。

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撮影監督ダリア・ダントニオナポリ出身。『愛の果てへの旅』(04)から前作『LORO 欲望のイタリア』(18)までの全作品で、パオロ・ソレンティーノ監督は撮影監督のルカ・ビガッツィ(ミラノ出身)とコンビを組んで来ましたが、今回初めて、ダリア・ダントニオにカメラを託しています。

フィリッポ・スコッティ (ファビエット・シサ):本作品でマルチェロ・マストロヤンニ賞(最優秀新人賞)を受賞。

トニ・セルビッロ(父親/サヴェリオ・シサ)

テレーザ・サポナンジェロ(母親/マリア・シサ)

ルイサ・ラニエリ(美しい叔母/パトリツィア)

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『The Hand of God』のネタバレ感想

監督も撮影監督もナポリ出身でナポリを知り尽くしている為、冒頭から開始されるナポリの情景シーンの数々、特に海浜の美しさをここまで映像に捉える事が出来るのだと思います。コロナ開けのいつの日にか是非「ナポリ」訪問を実現したいと思わせるほどの煌めきの情景にうっとりさせられました。

監督はナポリの中流階級出身という事で、映画のシーンの様に、家族や親族が大勢集まり食事をする機会も多かったらしいです。中年女性陣が非常にふくよかな体形が多かったのには驚きますが、監督の女神(ミューズ)であった叔母さんパトリツィアの魅力は別格でした。また、真夏でも海岸の椅子に座り毛皮のコートを羽織り、モッツアレラチーズを丸かじりしているお祖母さんや気品漂う男爵夫人なども一緒に暮らしている様子が描かれていました。親族一同が、よく海に飛び込み、泳ぐシーンが何度も繰り返されます。海も本当に美しく、生活と海が一体化している様子が非常に羨ましく感じました。わたしの思い出の湘南・江ノ島の海水浴とは随分違いました…

フェデリコ・フェリーニの映画のオーディションが行われていました。本当にフェリーニの映画に登場しそうな異形の役者候補が大勢集まっている待合室のシーンは圧巻でした。彼らの総てが本作品を撮影する為、ナポリで実際に募集されたと聞きました。

中盤ある事件を切っ掛けにして映画のトーンは大激変します。ソレンティーノ監督にとっては非常に悲しい出来事だと思いますが、この大きな哀しみから抜け出し、乗り越えて行く事がその後の人生にとって、非常に重要だった事が分かります。

最後の方で、フェリーニ監督と偶然出会った若いファビエットが会話するシーンがあります。監督に「将来映画監督になりたい」と思い切って希望を伝えます。フェリーニ監督は「ローマには行くな」と諭します。やはり詩情豊かなナポリを離れずに、ナポリを舞台とする映画作りを勧めていたのかもしれません。

 

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