『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』のあらすじ・概要
「ライ麦畑でつかまえて」などで知られるアメリカの小説家J・D・サリンジャーを担当する女性エージェントと新人アシスタントを描いたジョアンナ・ラコフの自叙伝『サリンジャーと過ごした日々』原作としており、若き新人編集アシスタントの女性が力強く成長して行く姿が生き生きと描かれていきます。【実話】「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」のマーガレット・クアリー、「エイリアン」シリーズの名優シガニー・ウィーバーの共演で映画化した作品。
90年代のニューヨーク。作家を夢見るジョアンナは、ニューヨークに移り住み、老舗出版エージェンシーでJ・D・サリンジャー担当の女性上司マーガレットの編集アシスタントとして働き始めます。しかし、隠遁生活を送るサリンジャーと接する機会は全く無いまま、ジョアンナの業務は世界中から大量に送り届けられるサリンジャーへの熱烈なファンレターの対応処理を担当していました。
心揺さぶられる手紙を連日読む彼女は、簡素な定型文を返信することに気が進まなくなり、ふとした思いつきから、上司からは禁じられた個人的の手紙返信を始めます。そんなある日、ジョアンナは、サリンジャー本人から一本の電話を受けます。それは、「作家になりたいなら毎日書くんだ」とアドバイスをもらうのでした。さらに、『ハプワース16、一九二四』を単行本として世に出す意欲を見せ、出版社に仲介してくれるようジョアンナに依頼してきたのでした...
監督は「グッド・ライ いちばん優しい嘘」のフィリップ・ファラルドー。
2020年製作/101分/アイルランド・カナダ合作
原題:My Salinger Year
『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』のスタッフとキャストについて
フィリップ・ファラルドー監督:1968年生まれ、カナダ ケベック州ハル出身の映画監督。
マーガレット・クアリー(ジョアンナ):雰囲気的に如何にも実際のニューヨークに存在するんだろうなぁと思わせるような感じの女性を好演していました。しっかり、応援したくなる様な頑張りには大変好感がもてました/2011年、16歳の時にニューヨーク・コレクションでランウェイデビューを飾っています。翌年、パリ・コレクション春/夏でシャネルの為にランウェイを果たした。ヴォーグやヴァニティ・フェアなどの雑誌に登場するなどモデルとしても大活躍している実績もあります。
出演映画記事➢
おすすめ映画|『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』 (2019/クウェンティン・タランティーノ監督)
シガニー・ウィーバー(上司マーガレット):仕事に精通したやり手の出版エージェンシーの女性ボス、サリンジャーを始め、多くの著名作家の出版を手掛けています/「アニー・ホール」(77)でたった6秒ほどの出演にもかかわらず注目を浴び、人気シリーズになった「エイリアン」(79)に主演を獲得したという経歴を持ちます。最近の出演作に「怪物はささやく」(16)があります。
➢おすすめ映画|『怪物はささやく』(2016/J・A・バヨナ監督)作家パトリック・ネスによる世界的ベストセラーを実写映画化
ダグラス・ブース(ドン):ダーレン・アロノフスキー監督が旧約聖書の「ノアの方舟」のエピソードを映画化した「ノア 約束の舟」(14)ではノアの息子セム役に抜てきされています
➢おすすめ映画|『ノア 約束の舟』(2013/ ダーレン・アロノフスキー監督)ラッセル・クロウ主演「ノアの方舟伝説」を壮大なスケールで描くスペクタクル歴史ドラマ
『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』のネタバレ感想
ネタバレ有り
作家になる夢を抱えニューヨークで新生活を開始するジョアンナが生き生きと描かれています。仕事や失恋なども経験して行きます。彼女にとって最大の幸運は、何と言っても超有名な小説家J・D・サリンジャーの編集エージェントという職場に職を得る事が出来たということに尽きます。
最初の下積みの仕事は、サリンジャー宛に届いたファンレターに味もそっけもない定型文の返事を書くという単純な仕事でした。なお、この出版エージェンシーは90年代半ばにも関わらず、ボスがコンピューター嫌いで事務所にパソコンが導入されていないという前近代的な「個人企業」だったのには驚きました。門切り型レターを全て手動タイプライターで打っている様子が如何にも滑稽でした。
作品中にも何度も熱烈なファンレターを書いた人物ら登場し、彼女・彼らのサリンジャーの著作「ライ麦畑でつかまえて」を読んだ後の気持ちを伝えるシーンが何度も見られました。インパクトのある、ちょっと不思議な映像でしたが、大変面白い手法だと感じました。ジョアンナにとってこれらのファンレターを直接読む仕事も「小説」を書く上では勉強になったのではないかと思います。
サリンジャー本人から直々に「作家になりたいなら毎日書くんだ」というアドバイスを貰ったら、それは俄然やる気が出て来るのは分かるような気がします。新しい出版の話もサリンジャーから直接依頼を受けるという幸運にも恵まれました。
本作品はかなり好感を受ける内容で、安心して愉しく見る事が出来る映画だと思います。
コメント