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映画『怪物はささやく』(感想)孤独な少年と怪物による魂の駆け引きを幻想的な映像で描く!

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『怪物はささやく』のあらすじと概要

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イギリスの作家パトリック・ネスによる世界的ベストセラーを、「永遠のこどもたち」のJ・A・バヨナ監督が実写映画化した。

孤独な少年と怪物による魂の駆け引きを幻想的な映像で描いたダークファンタジーで、スペインのアカデミー賞と言われるゴヤ賞で9部門を受賞している作品。

裏窓から教会の墓地が見える家で癌に冒された母と暮らしている13歳の少年コナー(ルイス・マクドゥーガル)。

コナー少年の家では病弱な母親は、一向に回復する様子はありません。また、同居する祖母とは全く反りが合わず打ち解ける事が出来ていません。父親は時々会いに来る様ですが、新しい家族を作り、アメリカのロサンゼルスで暮しています。学校では体も小さめで浮いた存在、しかも悪友からはいつもいじめの標的にされる始末。

そして、真夜中を過ぎると彼の元に、「真実を語れ」と木の姿をした怪物が現われる悪夢を見る夜が続いていました。怪物は話しかけます。これから3つの「真実の物語」を語ること、そして4つ目の物語をコナー自身が語るよう告げる。しかもその内容は、コナーが隠している「真実」でなければならないという。嫌がるコナーをよそに、怪物は夜ごと現われては物語を語り始めます。

この怪物の語る内容は、水彩画のアニメのファンタジー画面で語られます。寓意を含んだ物語は大人の世界の話であり、少年が聞くストーリーとしては初めての内容に少々戸惑いますが、徐々に理解出来る様になります。

「PAN ネバーランド、夢のはじまり」のルイス・マクドゥーガルがコナー役で主演を務め、母親役を「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」のフェリシティ・ジョーンズ、祖母役を「エイリアン」シリーズのシガニー・ウィーバーが演じる。リーアム・ニーソンが怪物の声を担当。

『怪物はささやく』のスタッフとキャストについて

Ilona IlyésによるPixabayからの画像

J・A・バヨナ監督:ギレルモ・デル・トロ製作のスピリチュアル・ドラマ「永遠のこどもたち」(07)で長編監督デビューを果たし、2008年アカデミー外国語映画賞にノミネートされる。続く「インポッシブル」(12)では04年のスマトラ島沖地震を描き、主演のナオミ・ワッツが第85回アカデミー賞で主演女優賞にノミネートされている。

ルイス・マクドゥーガル(少年コナー):

フェリシティー・ジョーンズ(母親):11年の「今日、キミに会えたら」(日本劇場未公開)の演技でサンダンス映画祭の特別審査員賞を受賞した。その後、レイフ・ファインズ監督作「エレン・ターナン ディケンズに愛された女」(13・日本劇場未公開)やアメコミ映画「アメイジング・スパイダーマン2」(14)などを経て、“車いすの物理学者”として知られるスティーブン・ホーキング博士の半生を描いた「博士と彼女のセオリー」(14)でホーキング博士の元妻ジェーンを演じ、アカデミー主演女優賞にノミネートされた。

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リーアム・ニーソン(怪物の声):スティーブン・スピルバーグ監督の「シンドラーのリスト」(93)でアカデミー主演男優賞にノミネート。アイルランド独立運動をテーマにした「マイケル・コリンズ」(96)ではベネチア国際映画祭の最優秀男優賞を受賞した。

映画感想|『沈黙 サイレンス』(2017/マーティン・スコセッシ監督)遠藤周作原作の小説を映画化! にも出演しています。

『怪物はささやく』の見どころ、ネタバレ感想

David MarkによるPixabayからの画像

病に冒されつつある母を失いそうになる恐れから、現実と向かいあう事を拒否している少年を、木の姿をした妖怪は徐々に独り立ちできるように諭していく様子が、ファンタジーの物語として語られていく構成が非常に見事。決して子供向けの怪物映画ではなく、大人の為の”怪物映画”と感じました。

ラストの場面では、原作には無い様ですが、母親が遺したスケッチブックに何と少年が毎晩悪夢で出会ったシーンが水彩画で美しく描かれていたというオチが尽き、何とも言い難いはっと思わせるような余韻を残す作品になっています。

J・A・バヨナ監督は本作品の製作の少し前に、ナオミ・ワッツ主演、スマトラ沖地震の大津波の映画『インポッシブル』も撮っています。どうも本作品と津波(大惨事の巻き起こる中で、親子が互いを探し求める物語)の映画がイメージとして、親子がお互いに探し求めあうという意味では相通じるところがあるような気はします。

それにしても、パヨナ監督との繊細な感受性には恐れ入りました。これほどまでに少年の深層心理の薄いベールを一枚一枚は剥ぎ取り”解放”に向かわせる手腕、ただものではないものを強く感じました。

 

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