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映画『親密すぎるうちあけ話』(2004/パトリス・ルコント監督)感想‣孤独な男女の織りなす緊張感ある感情の駆け引きを描くロマンティック・コメディ。

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映画『親密すぎるうちあけ話』のあらすじ・概要

税理士の事務所に、精神分析クリニックと間違えて入ってきた女性が赤裸々に胸の内を語り、奇妙な関係を築いていくラブ・ストーリー。監督は「髪結いの亭主」のパトリス・ルコント。出演は「マドモワゼル」のサンドリーヌ・ボネール、「バルニーのちょっとした心配事」のファブリス・ルキーニ。

夕暮れのパリの街。問題を抱えたひとりの若い女(サンドリーヌ・ボネール)が、ビルの6階のモニエ医師の診察室へ向かいます。女を出迎えた男(ファブリス・ルキーニ)は、「6時に予約を」という彼女に不審な表情を浮かべながらも、オフィスに招き入れます。彼女は、いきなりすっかり冷え切った夫婦関係を一気に告白します。女は、当惑顔の男の言葉を待つこともなく、次のカウンセリングの予約をして、早々にオフィスから立ち去っていきます。実は、彼はモニエ医師と同じフロアにオフィスを構える妻と別れて孤独な日々を送る税理士のウィリアムだったのです。彼女はうっかり部屋を間違えてしまったのです。

二回目現れた時彼女はさらに親密な詳細を述べ帰ります。しかし、数週間彼女が現れない時もあり、心配になり彼はモニエ医師に相談に行きます。実際は彼女の連絡先を知るのが目的でした。再び現れた彼女は、なんとウィリアムが精神科医ではなく税理士である事実を知っていました。ウィリアムの謝罪の言葉を聞かずに罵倒して帰ってしまいます。その夜再びウィリアムを訪れた女は、打って変わってすっかり落ち着いていました。そして自らをアンナと名乗り、すべてを承知のうえ、次の”カウンセリング”の約束を取り付けるのでした。

回を重ねていくうちに、ふたりの間には打ち解けた空気が流れ始めます。挑発なのか、それともゲームの駆け引きなのかわからない態度の女。しかし30年以上変化のない日々を送るウィリアムは、アンナの話に次第に心魅かれるようになります。

また別のある日、ウィリアムはアンナに問われるままに答えます。いつしか、”医師”と”患者”の立場は渾然一体となっていく二人でした。ある日ウィリアムは、モニエ医師からから思いがけない指摘を受け、ショックを受けるのでした…

2004年製作/104分/フランス
原題:Confidences Trop Intimes/Intimate Strangers

映画『親密すぎるうちあけ話』のスタッフとキャストについて

パトリス・ルコント監督

サンドリーヌ・ボネール(ハンナ):1985年にアニエス・ヴァルダ監督の『ヴァガボンド』で主人公を演じ世界的に名が知られるようになります。『灯台守の恋』など、出演映画多数/内面に悩みを抱えており、医師ではないと知りながら会計士のウィリアムに話を聞いてもらう為足繁く訪問を繰り返す女性。彼女の語る話は、真実なのか嘘なのか最後までよくわかりません。

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ファブリス・ルキーニ(ウィリアム):パリ出身、アッシジ出身のイタリア人移民の家庭に生まれる/本編では不器用で女性に振り回されっ放しながら、ハンナには興味津々な孤独な中年男性を演じる。

映画『親密すぎるうちあけ話』のネタバレ感想

(ネタバレあり)

多分「ありそうですが、絶対にあり得ない話だろうなぁ!」と考えながら本編を観賞してはいけないのだと思います。おっちょこちょいの女性なら部屋を間違えることもあるかもねぇといういう柔軟な頭が必要です。3,4度目の『診察』では彼がもはや精神科医ではないと承知の上で相談に来ています。カウンセリングというよりは愚痴話、或は痴話ばなしの相手として...

親と同じ職業である会計士に就いた、ちょっと気弱な中年紳士ウイリアム、本来もっと早く『私は医師(カウンセラー)ではないので、開ける扉を間違えている。帰って欲しい』と言うタイミングを逸したことを好い事に、彼女に興味津々である様子。絶対に誰も知る事が出来ない彼女の大きな『秘密』を偶然にも知ってしまったことで、彼女を支配できる立場に立ったと妄想してしまったのかもしれません。

自宅の居間にはおもちゃを並べて生活を送り、妻とは別れ、現在はちょっと寂しげな独身生活を謳歌しています。小心者のウィリアムは自分が医者ではないことを隠し通すという良心の呵責に耐え兼ね、最大の勇気をもって正直に「医者ではない」と打ち明けます。ところが、彼女は「医者」の資格を持たないカンセラーは他にもたくさんいると言い放ち、一切無頓着でした。

驚く事に、彼女がウィリアムを訪問して会話をした後、彼は同じフロアで開業する精神科のモニエ医師のカウンセリングを受けています。この三つ巴の構図は完全にコメディーそのもの。

大人のちょっと変わった『恋』を覗き見してしまった様な刺激的な素晴らしい作品に間違いありません。

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