1999年サム・メンデス監督の『アメリカン・ビューティー』で、ナチスを信奉する厳格な元軍人の父親を演じて注目されています。寡黙な役柄や悪役など、雰囲気に似合った役柄を演じていましたが、2003年スパイク・ジョーンズが監督した『アダプテーション』では別人と思われる程のおおきなイメージチェンジ。破天荒な男臭い、野生ランの収集家を熱演、役者としての能力の高さにびっくり仰天しました。同年のアカデミー助演男優賞を見事受賞!そんな、クリス・クーパーの魅力いっぱいの出演作品10作をご紹介します。
- 『カポーティ』(2005/ベネット・ミラー監督)
- 『幸せへのまわり道』(2020/マリエル・ヘラー監督)
- 『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』(2019/グレタ・ガーウィグ監督)
- 『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』(2015/ジャン=マルク・バレ監督)
- 『ボーン・アイデンティティー』(2002/ダグ・リーマン監督)
- 『ボーン・スプレマシー』(2004/ポール・グリーングラス監督)
- 『アメリカン・ビューティー』(2000/サム・メンデス監督)
- 『遠い空の向こうに』(1999/ジョー・ジョンストン監督)
- 『評決のとき』(1996/ジョエル・シュマッカー監督)
- 『アダプテーション』(2002/スパイク・ジョーンズ監督)
『カポーティ』(2005/ベネット・ミラー監督)
05年度アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演女優賞、助演女優賞、脚色賞の5部門にノミネートされ、カポーティ本人に生き写しの演技を披露したフィリップ・シーモア・ホフマンが主演男優賞を受賞したドラマ。
1959年11月15日、カンザス州小さな町ホルカムで全く無防備な農家の一家が惨殺される事件が発生します。「ティファニーで朝食を」で名声を高めた作家トルーマン・カポーティは、この事件に興味を覚え、幼馴染で『アラバマ物語』(映画の中ではディルという名前でカポーティが出てくる)の女性作家ハーパー・リーと共に現場に向います。カポーティはノンフィクション小説「冷血」の執筆を決意し、現地へ飛び、事件の容疑者ペリーに対して密着取材を行います。
取材を進める中で、自分と同様に子供時代に家族に見捨てられた死刑囚と友情が芽生え始めます。死刑執行により事件が完了し、小説を早く完成させたい自分と、死刑囚を「友」として助けたい自分の間でカポーティの気持ちが大きく揺れ動き、精神的に疲弊していく様子が描かれていきます
おすすめ映画『カポーティ』(2005/ベネット・ミラー監督)感想‣犯人を密着取材して、 小説作品「冷血」に結実させるまでの過程を追う!
『幸せへのまわり道』(2020/マリエル・ヘラー監督)
トム・ハンクスが、アメリカで1968年から2001年にわたって放送された大変長寿の子ども向け人気TV番組の司会者フレッド・ロジャースに扮し、アカデミー助演男優賞にノミネートされたヒューマンドラマ。雑誌「エスクァイア」に掲載された新聞記者ロイド・ボーゲルによる記事の映画化で、ボーゲル役を「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」でもハンクスと共演したマシュー・リスが演じた。
雑誌”雑誌 エスクァイア”記者として華々しいキャリアを築いてきたロイド・ボーゲルは、姉の結婚式に招待され、そこで長らく絶縁していた父ジェリー(クリス・クーパー)と突然再会する。家庭を顧みず、病気の妻と自分たち姉弟を捨てた父を、ロイドはいまだ許せずにいた。
数日後、仕事で子ども向け番組の司会者として人気のフレッド・ロジャースを取材することになったロイドはピッツバーグにある撮影現場を訪れた。フレッドは、会って間もないロイドが抱えている家族の問題や心のわだかまりを見抜き、一方、ロイドもそんなフレッドの不思議な人柄にひかれていくが、ロイドは他人に余り話したく無い父親との諍いの件を根掘り葉掘り聞かれ、我慢がならず面談途中で席を立ってしまうこともあった。しかしながら、やがて2人は公私ともに交流を深めていくことになる。
おすすめ映画感想|『幸せへのまわり道』(2020/マリエル・ヘラー監督)トム・ハンクスが心優しいTV番組司会者に扮するヒューマンドラマ
『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』(2019/グレタ・ガーウィグ監督)
「レディ・バード」のグレタ・ガーウィグ監督とシアーシャ・ローナンが再タッグを組んだ注目作。150年年前のルイザ・メイ・オルコットの半自伝的小説「若草物語」を新たな視点で映画化。南北戦争時代に家族が寄り添い力強く生きるマーチ家の4姉妹が織りなす永遠不朽の物語。オルコットの分身でもある作家志望の次女ジョー(シアーシャ・ローナン)を主人公に躍動的なタッチで描く。堅実派の長女メグ(エマ・ワトソン)、活発で信念を曲げない次女ジョー、内気で引き籠り勝ちで繊細な三女ベス、人懐っこく頑固で腕白な末っ子エイミー(注目株フローレンス・ピュー)。女性が表現者として成功することが難しい時代=南北戦争の最中に、ジョーは作家になる夢を叶えようと必死になっていた。性別によって決められてしまう保守的な時代の人生を乗り越えようと、思いを寄せる隣人の幼なじみで大金持ちローリー(ティモシー・シャラメ)からのプロポーズを断ってしまう。自分が信じる道を突き進もうとするジョーであったが……。
おすすめ映画|『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』(2019/グレタ・ガーウィグ監督)時代を超え、四姉妹の心の葛藤が生き生きと描かれる感動作!
『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』(2015/ジャン=マルク・バレ監督)
アカデミー賞3部門受賞作「ダラス・バイヤーズクラブ」のジャン=マルク・バレ監督が、「ナイトクローラー」「サウスポー」の演技派ジェイク・ギレンホールを主演に迎え、妻の死にすら無感覚になってしまった男が、身の回りのものを破壊することで、ゼロからの再生へと向かっていく姿を描いたドラマ。
ウォール街のエリート銀行員として出世コースに乗り、富も地位も手にしたデイヴィス(ジェイク)は、高層タワーの上層階で空虚な数字と向き合う日々を送っていた。そんなある日、自分も同乗する自動車で突然の事故に遭い、美しい妻が他界してしまう。
しかし、一滴の涙も流すことができず、悲しみにすら無感覚である自分に気付いたデイヴィスは、本当に妻のことを愛していたのかもわからなくなってしまう。義父の言葉をきっかけに、身の回りのあらゆるものを破壊し、自分の心の在り処を探し始めたデイヴィスだった。
主人公デイヴィスがふとしたきっかけで出会い、心を通わせるシングルマザー、カレンを演じるのははオミ・ワッツ、そのカレンのひとり息子で、デイヴィスと深いきずなを築いていくクリス役、ジュダ・ルイスの不思議な個性と演技からも目が離せません。
映画|『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』(感想)「妻が死んだのに、悲しみが湧いてこない」って、あり得るのかなぁ〜!?彼はその後解体魔へと変貌。
『ボーン・アイデンティティー』(2002/ダグ・リーマン監督)
原作は人気作家ロバート・ラドラムのポリティカル・サスペンス3部作の第1作「暗殺者」(新潮文庫)。銃に打たれ負傷し、マルセイユ沖の海上で発見され、漁船に救出された記憶喪失の男(マッド・デイモン)は、なぜか戦闘能力や語学に飛び抜けた才能をもっていた。自分自身の身元を探ろうとするが、手がかりは皮膚の下に埋め込まれていたスイス・チューリッヒの銀行口座を示すマイクロカプセルだけであった。しかしながら、彼の前には彼を狙った暗殺者が次々に現れ、その危機を乗り越えていく。
映画『ボーン・アイデンティティー』(感想)記憶を失った男ジェイソン・ボーンを巡るサスペンス・アクション。
『ボーン・スプレマシー』(2004/ポール・グリーングラス監督)
ロバート・ラドラムのベストセラー『殺戮のオデッセイ』を原作に、マット・デイモンが記憶喪失の元スゴ腕CIAエージェント、無敵の“殺人マシーン”ジェイソン・ボーンを演じたヒット作「ボーン・アイデンティティー」の続編。
前作の2年後、人目を避けインドのゴアで暮らしていたジェイソン・ボーンと恋人のマリーに刺客が迫り、ボーンを狙って放たれた銃弾がマリーに当たってしまう。ボーンはCIA内部の陰謀により、自分が始末されようと推測し、死んだマリーの復讐を決意します。刺客の目的は何なのか? 一方、CIAのパメラは、ベルリンの現場に残された指紋から襲撃犯はボーンだと考え彼を追うのですが、果たして真実は明らかになるのか? ボーンはわざとCIAに捕縛されるこで、自分を巡る陰謀の真相を捜査していくことになります。
監督は72年の北アイルランドで起きた「血の日曜日」事件を描いた社会派ドラマ「ブラディ・サンデー」で02年ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞したポール・グリーングラス。
「ボーン」シリーズ第二弾、猛烈なスピード感、鋭く知的な展開の醍醐味は相変わらずのいい味出しまくり!映画『ボーン・スプレマシー』(感想)
『アメリカン・ビューティー』(2000/サム・メンデス監督)
郊外の新興住宅地に暮らす夫婦と娘の三人家族。主人公レスター・バーナム(ケビン・スパイシー)は広告代理店に勤め、シカゴ郊外に住む42歳、彼は一見幸せな家庭を築いているように見えます。しかし、夫婦仲は冷え切り、娘は親と意思の疎通がありません。おかしな青年とゲイ嫌いの父親がいる隣家も同様の家庭でした。だが夫がリストラに合い、娘の友人アンジェラに出会い、性的妄想を抱き始めます。妻は浮気、娘は隣家の青年と駆け落ちを決意するのですが、、、
「アメリカン・ビューティー」とはバラの品種の一つであるという。色は真紅で、発祥の地はアメリカ合衆国。本作品中にも「豊かな家庭の象徴」、「官能の象徴」などいろいろな意味で頻繁に深紅のバラの花びらの映像が使われています。
おすすめ映画感想【アメリカン・ビューティー】(2000/サム・メンデス監督)コミカルで辛辣に描いた中流家庭崩壊のドラマ
『遠い空の向こうに』(1999/ジョー・ジョンストン監督)
50年代米ソ冷戦時代のアメリカ、寂れた炭鉱町のウェスト・ヴァージニア州コールウッドが舞台。ここに生まれた男は誰もが将来炭坑夫になると約束されたこの町で、高校生ホーマーは自分の将来に不安を感じていました。そんな1957年10月4日。ホーマーは星空を美しい軌跡を描いて飛んでいくソ連の人類初の人工衛星スプートニクを見ます。宇宙の夢に魅せられたホーマーは悪友たちと「ロケット・ボーイズ」を結成、ロケット製作に夢中になりますが、典型的な昔気質の炭坑夫である父はそんなホーマーの夢をまったく理解できず、息子は当然炭鉱夫になる事が当たり前と考えていました。そんな二人は衝突することになります…
映画『遠い空の向こうに』(1999/ジョー・ジョンストン監督)感想‣ロケットに魅了された若者が、逆境に耐え夢を実現するサクセスストーリー!
『評決のとき』(1996/ジョエル・シュマッカー監督)
人種差別問題が絡んだ事件の裁判を通して、正義と真実の問題に取り組む人々の姿を描いたサスペンス・タッチのヒューマン・ドラマの感動作。
「ペリカン文書」「依頼人」などのベストセラー作家、ジョン・グリシャムが新米弁護士時代の体験に基づく処女小説(邦訳・新潮文庫)を、自ら製作も兼ねて映画化。これまでのグリシャム映画と同様、法廷サスペンスのスタイルを取りながらも、重いテーマをエンターテインメントと両立させる手腕が見事。
ミシシッピー州の街カントンで10歳の黒人少女が二人の凶暴な白人青年に暴行を受けるという事件が起こります。娘の哀れな姿に心を傷めたその黒人労働者の父カール・リーは、マシンガンを持って裁判所に乗り込み、その青年2人を射殺してしまいます。人種差別が根強く残るこの街では黒人の白人殺しは特に不利でしたが、若手弁護士のジェイク(マシュー・マコノヒー)は、苦労を覚悟の上、カール・リーの弁護を引き受ける事になります。ジェイクはボストンで法律を学んでいる有能な法学生エレンの助けを借りてカール・リーの弁護を務めますが……。
映画『評決のとき』(1996/ジョエル・シュマッカー監督)感想‣多彩な顔ぶれの出演陣に驚きの法廷サスペンス!
『アダプテーション』(2002/スパイク・ジョーンズ監督)
「マルコヴィッチの穴」の監督スパイク・ジョーンズと脚本チャーリー・カウフマンが再タッグを組み、脚本家カウフマンを主人公に虚実入り交ぜた奇想天外なストーリーで描いたコメディ。
脚本家のチャーリー・カウフマンはスーザン・オーリアンの著書「蘭に魅せられた男 驚くべき蘭コレクターの世界」の脚色を依頼されますが、起伏の少ないストーリーのために執筆に苦労し、好意を持っている女性には振られてしまうなどが原因で執筆に行き詰まってしまいます。冴えない日々を送るチャーリーとは対照的に、陽気な双子の弟ドナルドは新進脚本家としてハリウッドで注目される存在になりつつあるところも微妙なプレシャーとなっていました。エージェントやクライアントからの度重なる催促もあり、焦りを感じたチャーリーは、状況を打開するべく原作者スーザンに直接会いに行くことをけついしますが……。
おすすめ映画『アダプテーション』(2002/スパイク・ジョーンズ監督)感想‣ニコラス・ケイジの一人二役主演で送る。原作者が脚本を読んでビックリ仰天した内容・・・
コメント