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おすすめ映画『太陽の帝国』(1987/スティーヴン・スピルバーグ監督・製作)感想‣少年の世界を一変させた、日本軍の上海侵攻

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『太陽の帝国』のあらすじ概要

スティーヴン・スピルバーグ監督がイギリスの作家J・G・バラードの半自伝的小説を実写映画化し、太平洋戦争当時日本占領下の中国上海・蘇州を舞台に、捕虜収容所で生きるイギリス人少年の成長を描いた戦争ドラマ。

1941年、上海。イギリス租界で生まれ育った少年ジムは、日本軍の零戦パイロットに憧れていました。ある日、日本軍が街に侵攻し、混乱の中でジムは両親とはぐれてしまいます。飢えに苦しんでいるところをアメリカ人のベイシーとフランクに救われたものの、やがて日本軍に捕らえられ捕虜収容所へ送られることになります。過酷な環境の中で、たくましく成長していくジムを力強く描きます……。

主演のクリスチャン・ベールはオーディションで約4000人の中から選ばれ、本作で映画デビューを果たしています。日本からは伊武雅刀、片岡孝太郎、ガッツ石松、山田隆夫らが参加。

本作は、スピルバーグ自身およそ4年に及ぶ交渉の末、アメリカ映画として第二次世界大戦後初の中華人民共和国でロケを敢行に成功しています。約500人のクルーを率いて中国の土を踏んだスピルバーグは、約1万5,000人のエキストラとともに16週間の長期撮影を行い、戦前の香りを色濃く残す上海の街並みの映像は非常に鮮烈な印象を残すものとなっています。

1987年製作/151分/アメリカ
原題:Empire of the Sun

ロッテントマト批評家支持率:75%

『太陽の帝国』のスタッフとキャストについて

スティーブン・スピルバーグ監督・製作

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クリスチャン・ベール(少年ジェイミー、通称ジム):1941年日本軍が上海のイギリス租界を制圧した際に、避難民の大混乱のなか両親とはぐれてしまいます。独りぼっちになったジェイミーは中国人少年に追い回されますが、不良アメリカ人のベイシーに救われます。やがて、日本軍に捕らえられ収容所に入れられてしまいます。飢えと病気、戦争の恐怖で死や絶望に囲まれ庇護もなく淡々と成育していくジェイミーでしたが、しだいに収容所の人々との交流の中に生きる知恵と希望を見出していくことになります。

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ジョン・マルコヴィッチ(不良アメリカ人・ベイシー):上海で闇物資の売買をしながら生き延びている。

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ジョー・パントリアーノ(フランク):

ナイジェル・ヘイヴァース(ローリング医師):収容所で捕虜の治療を行いながら、ジェイミーに学問を教えています。日本兵の暴力にも屈せず、患者を守ろうとする強い意志を持つ人物。

ミランダ・リチャードソン(ビクター夫人):夫と共に強制収容所に入れられた貴婦人。収容所ではジェイミーと隣合わせの部屋になり、その妖艶さに少年のジェイミーもかすかに心をときめかす。

ベン・スティーラ―(デインティー):「板チョコ欲しいか?あるなら、俺にくれ」とジムをからかう。彼もさすがにまだ若い。最後にハーシーズのチョコを渡す。

伊武雅刀(ナカダ軍曹):収容所を取り仕切っている日本の軍人。捕虜への体罰も厭わない冷徹な人物(何故か剣道の竹刀を持ち出し捕虜を打ちのめしている…)、特攻に出撃する日本兵に対して讃美歌を歌うジェイミーの姿に目を潤ませるような繊細な一面も持つ。

ガッツ石松、山田隆夫(日本兵)として出演しています。

『太陽の帝国』のネタバレ感想・見どころ

ネタバレ有り

 

撮影当時12,3才のクリスチャン・ベールの若々しい演技がなんとも言えない素晴らしい映画でした。4000人もの候補者の中から選び抜かれ、映画初出演の座を射止めた華々しいデビュー作にびっくり仰天しました。顔つきは、現在のクリスチャン・ベールそのもののです。ちょっと大人びた表情をする時と、すっかり子供っぽい笑顔などが入り交じった微妙年頃であった事を感じさせました。

 

他の俳優もやけに初々しいのでこちらも楽しみでした。マルコビッチ、ベン・スティーラ―などは注意してみないとそれと気付かないかもしれません。一方、日本の役者、最後の特攻隊員役の山田隆夫はまったく別人の顔をしていたので、本人とは気付きませんでした。

 

また、1987年当時上海で16週間に及び現地ロケが敢行されています。わたし自身も正に87年に何度か上海を訪問して、黄浦江沿いの外灘(バンド)に立ち並ぶ戦前からの摩天楼のてっぺんを仰ぎ見た経験があります。また、映画のシーンにもなっていた、租界地区に残る洋風建築群、それに隣接する地元上海人の密集した居住地域、中国一・二を争う繁華街であった南京東路などを歩いた懐かしい思い出の数々が蘇ってきました。蘇州の捕虜収容所の背景に度々出て来た大きな塔は虎丘塔を模したものだったのでしょうか?!

 

本作は今回が初見でした。40年代租界地の外国人たちが経験した恐るべき捕虜生活の貴重な体験を一人の少年の生き様を中心に描かれています。本作を見るまではまったく知らなかった事ばかりで、自分自身の歴史の勉強不足を痛烈に反省しています。

 

何年か振りで幸運な事に無事両親との再会を果たします。しかしながら、両親はすっかり逞しくなった面構えの息子ジェイミーを、初めは自分の息子である事に気付かない様子でした。あれだけの艱難辛苦を乗り越えたのだから当然かも知れません…

 

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