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劇場公開中 映画『TAR ター』(2022/トッド・フィールド監督)感想‣第95回アカデミー賞の主要6部門にノミネートされたケイト・ブランシェット主演の最新作

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Ioana SasuによるPixabayからの画像
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『TAR ター』のあらすじ概要

「イン・ザ・ベッドルーム」「リトル・チルドレン」のトッド・フィールド監督が16年ぶりに手がけた長編作品で、ケイト・ブランシェットを主演に、天才的な才能を持った女性指揮者の心の闇を映し出すシリアスなドラマ 。

世界最高峰の一つドイツのベルリン・フィルハーモニー管弦楽団で、女性としてはじめて首席指揮者に任命されたリディア・ターを描く。天才的能力とたぐいまれなプロデュース力で、その地位を築いた彼女でした。しかし、リディアはその地位によって得た権力を使い、若い女性音楽家に肉体関係を迫るなどのハラスメントを行っていたのではないかという疑惑が浮かび上がります。リディアの”妻”、シャロンをはじめ周囲の人物は見て見ぬふりをしていましたが、被害者の1人が自殺したことをきっかけに、リディアの蛮行を告発しようという動きが出てきました。一方、彼女は、いまマーラーの交響曲第5番の演奏と録音のプレッシャーと、新曲の創作に苦しんでいました…

フィールド監督の真に迫った演出のために、本作の主人公、リディア・ターが実在の人物であると思い込んだ観客が多いが、彼女は実在せず架空の人物であるという。

2022年製作/158分/アメリカ
原題:Tar

ロッテントマト批評家支持率:91%

『TAR ター』のスタッフとキャストについて

トッド・フィールド監督・脚本・製作:監督はケイト・ブランシェットが主役を演じることを念頭に本作の脚本を書いています。それが叶わなかった場合、脚本自体をお蔵入りにするつもりでいたという。

音楽は『ジョーカー』でアカデミー賞作曲賞を受賞したヒドゥル・グドナドッティルが担当

ケイト・ブランシェット(マエストロ/リディア・ター架空の人物):脚本を読んだブランシェットは出演を即座に了承。2020年の秋より、ブランシェットは役作りの一環としてドイツ語やピアノのレッスンに励むと共に、YouTubeにあるオーケストラの演奏動画を見て指揮者の動きを研究したという。多彩な表現力で過去2度アカデミー賞を獲得しています(『アビエイター』と『ブルージャスミン』)。今回8 度目のオスカー候補となった最新作となっています。

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ニーナ・ボス(シャロン):ターと一緒に暮している”パートナー”で、養女ベラを育てている。オーケストラではバイオリンを担当する。

ソフィー・カウアー(ロシア出身の新人チェロリスト/オルガ):実際にチェロの演奏者としても一線で活躍中。映画は初出演。

『TAR ター』のネタバレ感想・見どころ

世界最高峰のオーケストラの首席指揮者として活躍するリディア・ターは持てる才能を発揮、人生の頂点を極めているかに見えました。しかし、日常生活の些細な事や、劇団運営では副指揮者の退団問題、チェロ奏者の選考などなどの問題が重なっていき、精神的に切迫していく様子が丁寧に積み重ねられていきます。

そして、彼女に取って大きな意味を持つことになる、かつて指導した若い音楽家の女性が自殺するという事件が発生します。ターと女性との関係に関して、ある事無い事を含め情報が何者かによってSNSで流出され、大きな問題へと発展して行きます。

音楽全般に全く詳しくありませんが、ブランシェットの入念な役作りによる指揮者振りは、音楽オンチな人間をも感動させる迫力を感じました。指揮者というのはこれ程自信満々・唯我独尊でオーケストラ全体を導いて行くものなのかと驚愕の映像でした。指揮者個人が持つ音楽的な才能と大オーケストラを導いて良い音を”引き出す”能力は別物という気もしなくはありませんが、二つがあって初めて大指揮者になれるに違いありません。

また、大指揮者であっても日常生活の些細な問題から決して超越した存在ではなく、吾々と同じような悩みに日々直面しているところも見られ、逆に少し安心した所もありました・・・

わたし自身すっかりフィールド監督に騙されリディア・ターは実在する指揮者と信じ切っていました。まったくの架空の人物を作り上げていることを観賞後に知り、これは本当に驚きました。

更に、驚愕の終盤、更に予想もしなかった落ちぶれてベトナムでのラストシーンなど、ちょっと理解に苦しむ展開ではありましたが、かなり余韻を残す仕上がりとなっていました。158分と長目の上映時間です。それでも緊張感が途切れる事は無くスクリーンにくぎ付けになる事は間違いありません。ずば抜けた脚本・演出のすばらしさに加え、ブランシェットの名演技には唸りました・・・是非とも劇場上映期間中に観賞される事をお勧めします。

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