『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』のあらすじと概要
名女優のメリル・ストリープが、音痴のソプラノ歌手として知られる実在の人物フローレンス・フォスター・ジェンキンスに扮し、1944年、音楽の殿堂カーネギーホールで行われ、伝説として今なお語り継がれるフローレンスの公演を題材に描いたドラマ。
ニューヨークの社交界で名の知られたマダム・フローレンスは、ソプラノ歌手になる夢を追い続けていました。しかし、自分の歌唱力に致命的な欠陥があることに気づいていませんでした。夫のシンクレアは、愛する妻に夢を見続けさせるため、マスコミを買収して信奉者だけを集め、小さなリサイタルを度々開催するなどしていましたが、ある日、フローレンスがカーネギーホールで歌うと言い出します……。
2016年製作/111分/イギリス
原題:Florence Foster Jenkins
『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』のスタッフとキャストについて
スティーブン・フリアーズ監督:イングランド出身。
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メリル・ストリープ(フローレンス・フォスター・ジェンキンス):”ジェンキンスは音程とリズムに関する感性がほとんどなく、極めて限られた声域しか持たず、一音たりとも持続的に発声できないこと、伴奏者が彼女の歌うテンポの変化と拍節の間違いを補って追随している”と言われています。所謂”音痴”であるにもかかわらず、大人気を博していました。”彼女はその型破りな歌いぶりで大変な人気を博した。聴衆が愛したのは音楽的能力ではなく、彼女の提供した楽しみ”であったと言われます。何とも不可思議な”歌手”です/ストリープは、音痴の歌手を演じるにあたり、オペラのコーチのもとで2カ月にわたりアリアを正しく歌唱する特訓を積み、最後の2週間で音程を外す練習をしたことを明かしています。本当に信じられない暗い下手くそに歌い上げています…
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ヒュー・グラント(シンクレア・ベイフィールド、フローレンスの夫):献身的な夫、フローレンスの日課となっている歌唱練習に毎日付き合す。小さな会員メンバーだけを呼び行われる彼女のリサイタルでは、絶対に歌の悪口を言わない”お客”のみを集める苦労をしている。音楽批評家には”賄賂”を送り、絶賛する講評を書かせている。
フローレンスが寝着くとこっそり愛人のところに通っている二重生活をしている。
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サイモン・ヘルバーク(コズメ・マクムーン、ピアノ演奏家):フローレンスのピアノ伴奏者として週給15ドルで雇われる。余りに音痴さに最初戸惑うが、お金の為に必死に演奏を続ける涙ぐましい場面が多い。表情が豊か。
レベッカ・ファーガソン(キャサリン、シンクレアの愛人):1983年生まれ、スウェーデン出身。最近は数多くの大作映画に出演している超売れっ子。
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『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』のネタバレ感想・見どころ
嘘の様な本当の話で驚きました。マダム・フローレンスは実在の人物でした。周囲の人間が”忖度”して音痴なので歌わないで欲しいと誰一人として反対出来ないところがそもそもの”失敗”の源でした。『裸の王様』そのものでした。但し、良く分からないのが、どう考えても下手の極致にもかかわらず”彼女はその型破りな歌いぶりで大変な人気を博した”ことでした。世の中まったく判らない事ばかりです…
確かに生まれながらに音痴の人はいると思います。本当に困るのはマダム・フローレンス同様自分が音痴であると自覚していない人間だと思います。余りにも調子っぱずれの歌を何曲も聴かされると、人間の脳は思考力が低下し、だんだん不愉快になってきます。カラオケスナックで以前経験しました…マダム・フローレンスの聴衆はそんな事はなかった様です…
フローレンスに四六時中、献身的に付き添っている夫シンクレアには、若いキャサリンとの逢瀬を楽しむという息抜きの時間・空間がありました。初め彼女の財産目当ではないかと感じましたが、どうやらそうではないらしいです。しかしながら、シンクレアとキャサリンの間にもフローレンスがずかずかと入り込もうという傍若無人振りにも唖然とさせられました。唯我独尊、天真爛漫、お嬢様育ち…この女性をなんと形容すべきなのか言葉が見つかりません。
ピアノ伴奏者マクムーンの困り顔は映画視聴者を代表している様でした。戸惑い、迷惑、付き合ってられない…全ての感情が手に取る様に分かり、それが我々視聴者の感情とぴったり一致しているところが実に面白い…
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