『WIN WIN ダメ男とダメ少年の最高の日々』のネタバレ感想・見どころ
副題の「ダメ男とダメ少年の・・・」はちょっと内容を誤解してしまいそう。カイル少年はけして”ダメ少年”ではなく、かなり優秀で素直な少年であることが分かります。主人公マイクも”ダメ男”のレッテルを張るのは可哀想な気もします。不況のあおりで顧客が獲れず、経営が非常に苦しい弁護士です。止むにやまれぬ事情もあり、初期認知症を患っている資産家の老人の後見人を引き受けたものの、すぐさま介護施設に入居させてしまいました。身寄りの無い(娘がいましたが彼女は薬物中毒で、親の面倒を見ていない)老人の世話を焼く事で僅か収入を得ていました。
更に、老人の孫と称する少年カイルの唐突の登場には驚かされました。シングルマザーのツレからも冷たくされ、帰る家も無いという切ない境遇と知り、マイクは自分の家で面倒を見る事にします。見ず知らずの少年を自分の子供同様に面倒を見る事は正直中々出来ることではありません。しかしながら、妻や家族の暖かな理解もあり、すんなり家族の一員として暮し始めるところは、「アメリカ風」と理解して良いのでしょうか?
たまたまレスリングのコーチをするマイクにとっては、余りに偶然過ぎますが少年カイルはオハイオ州で名を馳せた天才レスラーであることが分かります。マイクが率いるのは弱小校のレスリングチームです。しかし、カイルの新規加入によりチームのレベルは上がり、彼自身試合をどんどん勝ち抜いて行くことで、マイクの仲間/家族はテンションが上がりまくりでした。
何もかも順調に行っていましたが、地区優勝が懸かる試合の前に突然のカイルの実母の出現し、とんでもない事態になります。カイルを連れ戻したところで、養育する能力もほとんど無さそうに見える母親は必死に彼を連れ戻そうとします。さらに、マイクが”後見人”を引き受けた老人は、マイクが自分で面倒を見るどころか、即施設に入居させてしまった事がバレてしまいます。どうやらこれは違法行為で弁護士資格剥奪の厳しい処分を受けてしまったのかもしれません。
ポール・ジアマッティの人柄の良さが迸り出るような役柄で彼と一緒にカイル少年を力を入れて思わず応援したくなる映画でした。ラスト、現実との直面はちょっと気の毒でしたが…
『WIN WIN ダメ男とダメ少年の最高の日々』のあらすじと概要
「扉をたたく人」のトーマス・マッカーシー監督が、ポール・ジアマッティを主演に迎え、ダメな中年男が成功へのチャンスをつかむも、厳しい現実に直面する姿を描いたヒューマンドラマ。ニュージャージー州のとある小さな町が舞台。不況で仕事がない弁護士マイクは、違法すれすれのサイドビジネスである初期認知症の老人の”後見人”を月1600㌦の報酬で引き受けていました。また、生活費を稼ぐために高校の弱小レスリング部でコーチをしていました。そんなある日、ひょんなことから出会った世話をしている老人の孫、身寄りのない青年カイルに同情したマイクは、カイルを自宅に居候させることに。さらに、暇つぶしにと入部を勧めたレスリング部でカイルの才能が開花、彼は嘗てオハイオ州で名を馳せた天才レスリング選手だったのです。そのことをきっかけに2人の生活は充実していきますが、そんな2人の前に薬物中毒のカイルの母が現れます……。
2011年製作/106分/アメリカ
原題:Win Win
※ スティーブ・カレル主演のレスリング映画
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『WIN WIN ダメ男とダメ少年の最高の日々』のスタッフとキャストについて
トーマス・マッカーシー監督・製作・脚本:教会スキャンダルに挑んだ新聞記者たちの実話を描いた「スポットライト 世紀のスクープ」(15)でアカデミー作品賞を受賞し、ジョシュ・シンガーとともに脚本賞も受けています。
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ポール・ジアマッティ(マイク・フラハティ):弁護資格を持ちながら経済不況のあおりで弁護士事務所経営もままならず苦しんでいます。初期の認知症を患う老人の「後見人」として月1600㌦で指名されるが、即介護施設に入所させてしまう。
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エイミー・ライアン(ジャッキー・フラハティ):マイクの妻。舞台女優としてキャリアをスタートさせ、1993年にはブロードウェイ・デビューを果たしています。2000年の『ワーニャ伯父さん』と2005年の『欲望という名の電車』で2度トニー賞にノミネートされています。
ボビー・カナベイル(テリー・デルフィ‐ノ): マイクの親友でかつてのレスリング仲間。副コーチ/イタリア人の父親とキューバ人の母親のもと、米ニュージャージー州ユニオンシティに生まれています。
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