>

『プライベート・ケース』ジョディがフランス語で殴ってきた~しわも老け顔も、全部武器だった~

スポンサーリンク
絶対見逃せない映画 おすすめ
スポンサーリンク

ジョディ・フォスター、シワ増えたなぁ。正直、予告編で「え、こんな顔に?」と思いました。でもスクリーンに出た瞬間、他の役者は全員霞んでしまいます。ジョディの存在感は半端ではありません…

ハリウッドのスターは”若さ”を売る。
フランスのスターは”人生”を売る。

62歳。老け顔すら武器に変える、存在感の暴力。 そんな印象を新たにしたのが本作『プライベート・ケース』でした。

1発目:完璧すぎるフランス語

そして彼女が喋り出しました。完璧なフランス語で。
「なんで英語じゃないの?」って疑問が、1秒で消し飛びました。
ジョディ一は一からフランス語を勉強したのではありません。
母親がフランス語教師。幼少期からバイリンガル。
LAのフランス系の高校に通い、卒業スピーチまでフランス語。
さらに10代から自分の映画のフランス語吹き替えをずっと自分でやっています。 だから『羊たちの沈黙』も『告発のゆくえ』も、フランスでは”ジョディの声”がそのまま流れているそうです。
レジェンドが自ら志願して出たフランス映画。
その覚悟が、発音の1音1音に宿っていました。本来英語字幕を追うのをやめて、ただ彼女のフランス語(まったくわかりませんが)に聞きほれていればよかったのかも知れません…
老け顔なのに、言葉だけがまるで20代の輝き。 このギャップそして存在感の暴力に1発目を間違いなく殴られました。

2発目:守秘義務という鎖

 彼女が演じるのは精神科医リリアン。長年通い続けていた患者ポーラが突然自殺します。
葬儀で遺族に「お前のせいだ」と攻め立てられてしまいます。 警察は相手にしません。でも真実(実際は異なりましたが)を知ってしまう。

ここからが地獄。精神科医は患者の知り得た情報に関して守秘義務があります。喋ったら1巻の終わり。でも黙ってたら、罪をかぶるのは自分。
「助けたいのに助けられない」
「知ってるのに(警察に)言えない」
 そのジレンマが、ジョディのシワに全部出る。

 ハリウッドならここでド派手に走り出す。
 でもフランス映画は走らない。ただ”苦悩”する。
 その”悩む顔”を90分間アップで見せられる。
 これが2発目。痛い。でも目が離せない。

3発目:葬儀の直後、別荘で

一番殴られたのはここ。
ポーラの葬儀が終わって間もなく、 夫がノルマンディーの別荘、車でパリから2-3時間、ポーラとの思い出の場所でもありますが、新しい若い恋人と愛を交わしているのをこっそり盗み見。 リリアンと元夫が尾行して雨の中目撃してしまいます。
 「最低」
 「こんなすぐ?」
 「ポーラが可哀想」

そう思った瞬間、監督の罠にハマることに。
このシーンは「犯人は夫じゃない」証明であり、「ポーラが死ぬしかなかった理由」の証明でもあります。 フランスって、こういうドライさがあります。喪に服すとか、そういう建前が薄い。 愛が終われば次に行く。それが人間。 綺麗事を一切言わない。だからこそリアルで殴られる。

 

4発目:言葉を失った娘

そこに現れたのが、ポーラの娘。
目が異常に大きくて、無言でリリアンを睨み続けます。
セリフはほぼありません。でも全部言ってる。
「お前が母さんを死なせた」

キャストはコソボ・アルバニア系の女優さん。
だから「アラブ系?」って見える。
フランス映画は説明しません。家族が全員同じ顔じゃないのが普通!? その無言が、ポーラの”言葉に出せなかったSOS”と重なります。 言葉にできないものを、顔で伝える。 これがフランス映画の核だと思います。

結び:殴られて、良かった

スッキリしない。謎も全部は解けない。
でも観終わった後に残るのは、嫌悪じゃなくて”温度”だった。

ジョディは若さで勝負するのをやめた。
代わりに”経験”と”言葉”と”顔”で殴ってきた。

シワの1本1本に患者の人生。フランス語の1音に女優の人生。それを受け取れただけで、この映画を観た価値があったと思います。

『ジョディがフランス語で殴ってきた』
 私は完全にノックアウトされた。
 そして、まだ痛い。

『プライベート・ケース』のあらすじ

「告発の行方」(88)「羊たちの沈黙」(91)の作品でオスカー主演女優賞を二度受賞している俳優ジョディ・フォスターが念願のフランス映画初主演を務めた極上の心理サスペンス。

パリで精神分析医として成功を収めたアメリカ人医師リリアン(ジョディ)は、長年の患者であるポーラが亡くなったとの知らせを受けます。ポーラは亡くなる直前まで一切自死する兆候など見られなかったことから、彼女の死に深い違和感を覚えたリリアンは殺人の可能性を疑います。しかし、患者のプライベートな領域に関する守秘義務のため警察を頼ることができず、一方で、彼女は担当患者の死に強い責任を感じ、自ら真相を突き止めるべく大胆に動き出します。一方、リリアンはポーラの死を知って以来、状況に関係なく涙が溢れるという異変に悩まされるようになり、眼科医の元夫ガブリエルのもとを訪れます。涙の原因は判明しなかったものの、ポーラの事件の調査をガブリエルに手伝ってもらうことになったリリアンは、探偵まがいの捜査に乗り出し、まったく先が読めない危険な真相へと踏み込んでいくことになります。

主人公の精神分析医リリアンをフォスターが全編フランス語で演じ、「ベル・エポックでもう一度」などのダニエル・オートゥイユ(なんとなくロバート・デ・ニーロに似ていた)が捜査の相棒となる元夫ガブリエル役を務めています。

2025年製作/107分/フランス
原題または英題:Vie privée

 

 

 

『プライベート・ケース』のスタッフとキャスト

レベッカ・ズロトヴスキ監督:1980年4月21日、パリ生まれ。長編監督デビューの『美しき刺』(10)がカンヌ国際映画祭批評家週間部門に出品の他、ルイ・デリュック賞新人作品賞を受賞。主演のレア・セドゥがセザール賞有望若手女優賞にノミネートされています。ナタリー・ポートマン主演映画→

映画『プラネタリウム』(2016/レベッカ・ズロトブスキ監督)感想‣ナタリー・ポートマンとリリー=ローズ・デップ、各世代を代表する美人女優が夢の姉妹役で共演!

ジョディ・フォスター(精神分析医リリアン):

≪ジョディ・フォスターは元々フランス語の素養がめちゃくちゃあった≫

一から勉強したわけじゃない。むしろ「バイリンガル級」

理由は3つ

1. 子供の頃からフランス語で育ったジョディはロサンゼルス出身、お母さんがフランス語の教師だった。
家では英語とフランス語が飛び交ってて、幼少期から耳に入っていた。
2. フランスの学校に通ってた
11歳〜高校まで、LAのフランス系スクール「Lycée Français de Los Angeles」に通ってた。
授業もフランス語。だから読み書きも完璧。卒業時はフランス語で卒業スピーチまでしていた。
3. 吹き替え声優をずっとやっていた
これが一番大きい。10代の頃から、フランス公開用のハリウッド映画の「ジョディ・フォスターのフランス語吹き替え」を本人がやってた。
『羊たちの沈黙』『告発のゆくえ』も全部自分でアフレコしている。
だからフランスでは「ジョディの声=フランス語の声」って認知されてる。

なんで『プライベート・ケース』で主演したの?本人はインタビューでこう言ってたそうです。「ずっとフランス映画に出るのが夢だった。脚本を読んだ瞬間、これは贈り物だと思った」

 

おすすめ映画感想|「それでも、愛してる」(2009/ジョディ・フォスター監督)復活メル・ギブソン主演のファミリードラマ

 

 

アカデミー主演女優賞を2度受賞している「ジョディ・フォスター」出演(監督)おすすめ映画10作品(最近見た映画、見直した映画限定。順不同)

 

ダニエル・オートゥイユ(ガブリエル):リリアンの元夫、真相を二人で共有して、静かに終わる。

コメント

タイトルとURLをコピーしました