『カイロの紫のバラ』のあらすじと概要
ウッディ・アレンが監督・脚本を手がけ、映画ファンの女性がスクリーンの中から飛び出してきたスターと恋に落ちる姿を描いたファンタジックなラブストーリー。1930年代、大恐慌真っただ中のニュージャージーが舞台。セシリアは甲斐性無しの失業中の夫と愛のない生活を続けながら、ウェイトレスの仕事で家計を支えていました。彼女にとって、つらい現実から逃避出来る映画鑑賞だけが心の支えでした。そんなある日、お気に入りの映画「カイロの紫のバラ」を映画館で見ていると、映画の主人公トムが突然セシリアに向かって話しかけてきます。そして、映画世界と現実とのずれが、コミカルに描かれ展開していきますが……。
「ローズマリーの赤ちゃん」のミア・ファローがヒロインを務め、「愛と追憶の日々」のジェフ・ダニエルズが劇中映画の主人公トムと彼を演じる俳優ギルの2役を演じています。
なお、『カイロの紫のバラ』とは劇中劇の映画の題名でした…
1985年製作/83分/アメリカ
原題:The Purple Rose of Cairo
『カイロの紫のバラ』のスタッフとキャストについて
ウディ・アレン監督・脚本:米ニューヨーク・ブルックリン出身。60年代初頭にスタンダップコメディアンとして活躍していました。
観賞した映画➢
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ミア・ファロー(セシリア):ロマン・ポランスキー監督のオカルトホラー「ローズマリーの赤ちゃん」(68)でローズマリー役に選ばれて注目を浴びています/本作では大不況時代、失業しちっとも働かない夫と二人暮らし。酒とゲームに明け暮れセシリアは毎日お金をせびられていました。そんな彼女の唯一の現実逃避の喜びの時間は映画を観ることでした。
ジェフ・ダニエルズ(トム/ギルの一人二役):映画の出演者でスクリーンから突然抜け出しセシリアに話しかける人物トムと、俳優で映画の中でトムを演じている俳優ギル。セシリアに飛び切り大きな夢を与えますが、ラストでは冷酷な現実を見せつけることに…
➢3人の女性のドラマが小説「ダロウェイ夫人」を絡め交錯する映画『めぐりあう時間たち』自分が自分らしく生きる事と社会的役割とのギャップを描出
『カイロの紫のバラ』のネタバレ感想・見どころ
奇妙な題名で大変気になっていた映画をDVDで初観賞。40年以前製作の映画で、学生時代よりウッディ・アレン監督の大ファンでしたが、大学卒業・社会人になってから封切られた為、劇場で観賞する機会を逸していました。
映画ファンならずもスクリーンから登場人物が抜け出して来るという妄想を抱いた事がある人は多いと思います。1930年代の大恐慌真っただ中のアメリカでは、現実世界とは掛け離れた豪華絢爛の世界が広がる映画が大人気だった様です。人々は現実世界を束の間忘れ、華やかな夢の世界に身を置く事が出来ました。そんな彼女が映画館で夢のような時間を過ごしている時に奇跡が起こります。ウッディ・アレン監督らしい着想です。映画の登場人物がスクリーンから突然抜け出し、客席で見ているセシリアに話し掛けてきます。現実的にはあり得ない話であるにもかかわらず、映画の中では観客も映画出演者も劇場スタッフも「困ったもんだ。映画から抜け出したトムを何とか映画のスクリーンの中に戻さなければ」とクソ真面目にあれこれと思案します。
さらに混乱に輪を掛けるのが映画の中でトムを演じている俳優ギムまで現れ、トムの捜索を始めます。そして、彼は美しいセシリアに恋してしまいます。しかし、このもつれた三角関係は簡単に解決します。ラストでは思いもよらぬちょっと世知辛い結末が待っていましたが・・・
それにしてもアレン監督のちょっとした閃き(映画から人が飛び出す!)をものの見事に一本の映画作品に仕上げる構想力の強靭さは驚異的です。
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