『パーフェクトワールド』のあらすじと概要
脱獄犯と人質の少年との心の交流、そして男を追う警察署長の苦悩を描いた犯罪ドラマ。
「ボディガード(1992)」のケヴィン・コスナーが主演し、「ザ・シークレット・サービス」のクリント・イーストウッドが監督・出演と、二大スターの初顔合わせが話題を呼んだ。
(概略)
1963年、テキサス州が舞台。犯罪者と幼い少年の心の絆を描いたヒューマン・ドラマ。ブッチ・ヘインズ(ケヴィン・コスナー)は、アラバマ刑務所から同じ囚人のテリー・ピュー(キース・サセバージャ)と脱走しました。途中、8歳の少年フィリップ(T・J・ローサー)の家に押し入った2人は少年を人質に逃亡します。
厳重な警戒線が張られ、州警察署長のレッド・ガーネット(クリント・イーストウッド)が陣頭指揮に当たります。
一人前の男として接するブッチに少年フィリップは徐々に親しみと友情を覚え、彼のほうでも少年が気に入りました。父親を知らずエホバの証人の信者である母親のもとで、宗教上の厳しい戒律から年頃の男の子の楽しみは何一つ与えられずに育ったフィリップでした。
少年に自分に似たものを感じたブッチは、ハロウィンやローラー・コースターなどフィリップのささやかな望みをリストに書かせ、ひとつずつ実現させていきます…
イーストウッドの主宰するマルパソ・プロ作品で、撮影のジャック・N・グリーン、音楽のエニー・ニーハウス、美術のヘンリー・バムステッド、編集のジョエル・コックスなど主要スタッフは、「許されざる者(1992)」をはじめとするイーストウッド作品の常連者で占められています。
1993年製作/138分/アメリカ
原題:A Perfect World
『パーフェクトワールド』のスタッフとキャストについて
クリント・イーストウッド監督・主演(レッド・ガーネット):『レッドはブッチが10代のころ、彼の更生のためを思って少年刑務所に送った当人だった。だが、ブッチはそれを契機に犯罪の常習犯となり、ついには脱獄するまでに至った。レッドは、そこまで追い込んだのは自分だと強い悔恨の念にかられ、是が非でも自身の手で捕らえねばと思っていた…』という背景があります。
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ケビン・コスナ―(ブッチ):1955年生まれ、カリフォルニア出身、大学時代から役者に憧れ、偶然同じ飛行機に乗り合わせた名優リチャード・バートンの助言で俳優の道に進むことを決心する。1980年代初頭から下積み時代を送り、ブライアン・デ・パルマ監督の「アンタッチャブル」(87)ではアル・カポネを追う捜査官エリオット・ネス役が絶賛され、その後も「フィールド・オブ・ドリームス」(89)などで人気を博す。
少年フィリップと同様父親の愛情を余り得られずに育った。母親を殴った男を殺害し少年院に送られている過去があります。
T・J・ロウサー(フィリップ):『エホバの証人』を信仰する母親に厳しく育てられた少年役、父親が家にほとんどいない為、父親からの愛情を受けたことが無い。
ローラ・ダーン (サリー):1968年生まれ、ロサンゼルス出身。85年の「マスク」でロサンゼルス映画批評家協会賞のニュー・ジェネレーション賞を受賞。デビッド・リンチ監督の「ブルーベルベット」(86)で脚光を浴び、続く「ワイルド・アット・ハート」(90)では主演を務めた。
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『パーフェクトワールド』のネタバレ感想
(ネタバレあり)結末は可哀想な事になりましたが、ケビン・コスナ―演じるブッチと少年の心の交流が見事に描かれた映画でした。
ブッチは人間としての本質は決して悪人ではなく、生立ちの環境に問題があった為、少年刑務所に始まり、犯罪者の経歴を歩む事になった様です。父親からの愛情を受けて来なかった同じような境遇の少年(たまたま人質に取った少年)との奇妙な道中が開始されます。
ブッチは出会い早々フィリップ少年を一人前の人間として扱うところが一般の大人と大きく異なるところだと思います。兎に角、絶対に子供扱いしません。フィリップ少年も子供ながら、一人前扱いしてくれる大人に接するのは初めての経験だったのでしょう。
しかしながら、最後にはそれが予期せず裏目に出てしまいます。少年はブッチに人殺しをさせない様にブッチに銃口を向け撃ってしまいます。それまでに何度も少年に拳銃を持たせて、他人を見張れなど頼んでいたので、ブッチは自業自得かもしれませんが、まさかの一撃だったと思います。
パーフェクトワールド(=アラスカ)行きの夢は潰えましたが、ほんのわずかな一瞬だけですが、良き父親替わりの役目を果たせたことに少しの幸せを見出していたに違いありません。
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