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映画『ザ・バンク 堕ちた巨像』(2009/トム・ティクバ監督)感想‣収益獲得のためには、様々な危険な裏の顔も持つ恐ろしいメガバンクの実態を尖鋭的に描く

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映画『ザ・バンク 堕ちた巨像』のあらすじ・概要

「ラン・ローラ・ラン」「パフューム/ある人殺しの物語」のトム・ティクバ監督による世界規模で展開するストップアクションスリラー。新人ライターのエリック・ウォーレン・シンガーは幾多の犯罪スキャンダルで91年に破綻した実在の銀行BCCI(映画も、現実と同じく銀行本部はルクセンブルグに存在します)をモデルに脚本を書いています。

世界中から莫大な資金が集まる欧州の巨大銀行IBBCに、ある違法行為の疑惑が持ち上がる。表向きは集めた資金を事業運営や投資などに運用する世界屈指のメガバンクだが、収益獲得のためには、諜報機関、麻薬ディーラー、マフィア、第三世界諸国の独裁者たちとも手を結ぶ危険な裏の顔も持つ恐ろしい存在であることを暴いています。インターポール(ICPO/国際刑事警察機構)捜査官サリンジャーとニューヨーク検事局のホイットマン検事補は共同で捜査に乗り出すが、手がかりとなる人物が次々に暗殺されてしまう……。

出演はクライブ・オーウェン、ナオミ・ワッツ、アーミン・ミューラー=スタール。

2009年製作/117分/アメリカ
原題:The International

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映画『ザ・バンク 堕ちた巨像』のスタッフとキャストについて

トム・ティクバ監督:ドイツ出身。高校を卒業後に多くのフィルム・スクールに申し込んだが受理されず、ベルリンの映画館で8年間、映写技師として働いたという苦労人。1993年に初の長編映画を監督します。主な作品に『ラン・ローラ・ラン』『パフューム ある人殺しの物語』など。

クライブ・オーウェン(インターポール捜査官ルイ・サリンジャー):「ボーン・アイデンティティー」(02)を経て「クローサー」(04)でゴールデングローブ助演男優賞を受賞、アカデミー賞にもノミネートされた。「キング・アーサー」(04)ではタイトルロールを演じています/本編では重厚な捜査官役を演じていますが、強力な国際的な裏の犯罪組織の陰謀の為、次々と証人が消されてしまったり、捜査途中で国外退去を命じられるなど八方塞がりの状況に追い込まれていく。

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ナオミ・ワッツ(検事補エレノア・ホイットマン) :2001年、デビッド・リンチ監督作「マルホランド・ドライブ」の演技で国際的に絶賛を浴び、スター女優に/巨大な悪に立ち向かうには女腕一つでは手に負えるような相手では無いことは重々承知しているが、ついつい応援したくなる”細腕繁盛記”

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アーミン・ミューラー=スタール(ウィリアム・ウェクスラー):初老のコンサルタンであり、少々人生に疲れ気味の雰囲気が良く出ていました。

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映画『ザ・バンク 堕ちた巨像』のネタバレ感想

ミサイル迎撃装置を既に売り込んでいる国の敵対国に対して、無力なミサイル攻撃システムを高額な価格で売り込もうという「死の商人」のインチキ商法には驚かされました。国際紛争国に対して、融資をして『その国を借金まみれにして、支配していく』と語られていました。モラルも何もかも存在しない、恐るべき世界がある事をさらりと描いている本作映画の内容にはびっくり仰天させられました。

インターポール捜査官には逮捕権はなく、正義感を振り上げても埒が明かない事は分かっていました。彼は「必殺仕置き人」となって単身悪党退治にイスタンブールに乗り込んでいくという非常に勇ましい所は、日本の伝統的な「やくざ映画」そっくりの展開にもたいへん驚きました。超法規的な「解決法」が実行されます。しかし、まったくスカッとスッキリという幕切れとは問屋が卸しません。それというのも、悪党の銀行頭取は「俺を殺しても、俺の後から同じような人間は次から次と出て来る」という捨て台詞を吐いていました。この世から諸悪の根源が消えない限り、同じような事をする人間、利益を追い求める企業は後を絶たないのかもしれません。正義感、人道的、倫理的という言葉が空しい響きを持つばかりで、映画を見終えた後も、正直かなりのもやもや感が一層残る結果となってしまいました。

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