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おすすめ映画『レ・ミゼラブル』(2020年公開・仏新鋭監督ラジ・リ)現代フランスの病巣を描出 

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Gerhard BögnerによるPixabayからの画像
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レ・ミゼラブル のあらすじと概要

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ビクトル・ユゴーの小説「レ・ミゼラブル」で知られ、現在は犯罪多発地区の一部となっているパリ郊外のモンフェルメイユを舞台とし、現代社会が抱えている闇をリアルに描いたドラマ。監督はモンフェルメイユ出身で現在もその地に暮らす新鋭ラジ・リ。初めての長編監督作品で、2019年・第72回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞。第92回アカデミー賞の国際長編映画賞にフランス代表としてノミネートもされたが、惜しくも『パラサイト』に屈し受賞を逃してる。しかしながら、受賞こそ逃したものの、アフリカ系フランス人監督による作品がフランス代表に選出されたのはラジ・リ監督が初めてであり、今後の活躍が非常に期待される監督です。

パラサイト 半地下の家族 映画 ネタバレあらすじ感想

(あらすじ)パリ郊外のモンフェルメイユの警察署に、仏北西部の地方都市(シェルブール)出身のステファン(ダミアン・ボナール)が犯罪防止班に新しく加わることとなった。知的で自制心のあるステファンは、未成年に対して粗暴な言動をとる気性の荒い上司クリス(アレクシス・マネンティ)、警官である自分の力を信じて疑わないグワダ(ジェブリル・ゾンガ)と共にモンフェルメイユ地区のパトロールを開始する。

そんな中、ステファンたちは複数のグループが緊張関係にあることを察知するが、イッサという名の少年が引き起こした些細な出来事(ジプシー系の巡回サーカス団のライオンの子供を盗み出した)から、事態は取り返しのつかない大きな騒動へと発展してしていく状況が描写され、映画の冒頭から最後まで緊迫感溢れるタッチで描かれ、息つく暇もない急テンポの展開となっています。

3人の警官が暴徒化し若者に襲撃される後半シーンはかなり過激な暴力シーンの連続でショッキングです。監督は最終シーンまでカメラを回していません。観客ひとりひとりにどうするべきかを考えて欲しいと問いかけています。

本作は本国フランスでは初日動員人数7万人を超える大ヒットを記録し、マクロン仏大統領は本作を鑑賞後、自国の問題をリアルに描いた内容に機敏に反応し、同モンフェルメイユ地区の状況改善を直ちに政府に指示したそうです。

社会の底辺層の社会的騒乱という意味では映画ジョーカーに共通性が色濃い。

映画ジョーカー レビュー

民族差別問題としては、アメリカではラテン系、アジア系住民の問題以外にネイティブアメリカンの問題が根深く残っている様です。実情はこちらの映画で、ウインド・リバー 映画 ワイオミングを舞台にしたサスペンス レビュー

なお、同じ現代フランス(港町マルセーユが舞台)を描き、造船不況で会社をリストラされた男と家族の日常を描いた映画「キリマンジャロの雪」があるが、レ・ミゼラブルの世界とは真逆の世界です。

映画キリマンジャロの雪 レビュー

パリを舞台にそこで働く女性たちの苦労を描いた作品

パリの家族たち 映画 女性監督がパリで働き活躍する女性を活写

などがあります。

レ・ミゼラブル ネタバレ感想

冒頭シーンは2018年のサッカー・ブラジルW杯で20年振りの優勝を果たしたフランス代表。映画は自国の代表チームの優勝に歓喜に包まれるシーンで始まる。パリの凱旋門をバックに同じ青色のユニフォームを着て、国旗を振りかざし、国歌「ラ・マルセイエーズ」を口ずさみます。

ここだけが上映時間の中で唯一、人種を超えた結び付きを感じさせるシーンです。しかし、この瞬間をはなれた直後から、この理想の姿とは程遠い現実が次々とあぶり出されていきます。「実のところフランス人が人種に関わらず一丸となることのできるイベントは、W杯くらいなんですよ。終わってしまえば、みんなの心もバラバラです」と監督はインタビューで語っているのが印象的でした。

ストーリーとテーマについて

クライマックス、子どもたちは権力の象徴でもある警察に対して集団で恐ろしい牙を剥いてきます。だが、映画は明確な答えが示されることはないまま幕を閉じます。

その狙いはどこにあるのか?監督曰く『映画を見る人も、テレビ番組を見る人も、全てを説明して欲しい人ばかり。わかりやすい答えを作品が示してくれたなら、観客は考える必要がありませんし、楽ですよね』

『でも、僕はあのラストシーンの後に何が起こり得るのかをみんなに考え、意見を戦わせて欲しい。だからあえてガイドをすることはしませんでした』

パリ郊外のモンフェルメイユ地区に集中する社会問題は貧困問題、民族問題、移民問題などよって引き起こされる格差問題、現在フランスや各国が抱える問題のここで縮図を見る様です。そこではまず初めに犠牲になっていくのは子供たちだと訴えてきます。

やはり問題を解決できるのはやはり大人しかいないと思います。が、この地区の複雑な問題はビクトル・ユゴーの時代から150年絶った今も根本的にはまったく解決されていないという問題が浮かび上がってきます。この地区はパリの中心から10㌔しか離れておらず、この映画を見たフランス人ですら、8割が初めて状況を知って大変な衝撃を受けたと言っているそうです。なお、同地区の失業率は70%にも及ぶとのことです。

また、マクロン大統領がこの地区の状況改善を訴えたとはいうものの、いまだ具体的な施策は出されていないと監督は語っています。

同地区で生まれ育った監督によれば、住民同士の諍いは少ないものの、問題の多くは地域住民と警察官との軋轢が原因でよく問題は発生すると述べています。本作品中でも警察官としてどうなのかという態度で住民に接する点は大きな問題だと感じました。改善の第一歩は警察官の資質の向上の様な気がします。

キャラクターとキャストについて

ラジ・リ監督・脚本: (39才)あのスパイク・リー監督も才能を認めているそうです。本作が長編監督デビューとなるラジ・リ監督は、映画の舞台であるモンフェルメイユで生まれ育ち、現在もその地に暮らています。長年Webドキュメンタリーを手掛け、2006年には世界的ストリート・アーティストのJRと共同でプロジェクトを発表するなど幅広い活躍を行っています。本作では、監督自身がこの街で体験してきた出来事をすべて描き切っているそうです。

本作は、第92回アカデミー賞 国際長編映画賞にノミネートされており、受賞こそ逃したものの、アフリカ系フランス人監督による作品がフランス代表に選出されたのはラジ・リ監督が初めてです。

主演 ダミアン・ボナール:新入り警官ステファン役。代表作『ダンケルク』本作品内でただ一人冷静な判断が出来る役柄となっていますが、多勢に無勢でもはやなす術がない状況に陥ってしまいます。

まとめ

コナン

ラジ・リ監督が経験したことをすべて本作品中に描き切っていると言うほど濃い内容であり、すべてが驚愕のシーンの連続と言えます。もともとドキュメンタリー映画を得意とする監督で、長編映画は今回が初めてで、いきなりアカデミー賞にノミネートされる程の実力です。

是非とも劇場で華やかなパリの一角に存在するフランスの深い闇の世界の目撃者になる経験も必要かも知れません。決して目を逸らすこと無く…

わたしの評価は91点。見終わった後、考えさせられる映画です。

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