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おすすめ本「ゴーンショック」朝日新聞取材班著/カリスマ経営者の真実?

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おすすめ本の紹介
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「ゴーンショック」の概要

djedjによるPixabayからの画像

金への異常な執着カリスマ経営者はなぜ「強欲な独裁者」と化し、日産を食い物にしたのか?世界を驚愕させた前代未聞のゴーン逮捕というスキャンダルの全貌・逮捕に踏み切った検察の内情、ゴーン追放は日産の社内事情、仏大統領マクロンとゴーンの確執など、生まれ育った家庭環境とゴーンの生い立ちなど詳細がまとめられており、豊富で精確な情報量のノンフィクション。苦境に陥った日産をV回復させた功績と会社を私物化し金の亡者と化していった実態を浮かび上がらせている。

「ゴーンショック」を読んだ感想

djedjによるPixabayからの画像

かなり以前になりますが、日産は00年3月期決算で7000億円超の特別損失が発生し、純損益6844億円の巨大赤字に陥っていました。まるで状況は違いますが、皮肉にも現在また同じような苦境に陥ってしまいました。当時はゴーンさんのお蔭で翌、01年3月期決算では過去最高の3311億円の純損益を計上している。たった一年で、損益は1兆円の改善となっていました。こんなミラクルをやってのける経営者は他にいないと思います。更に、かつて日産は2兆5000億円も抱えていた有利子負債を完済し、03年3月期には負債「ゼロ」を達成しています。大工場の閉鎖、大規模リストラ、下請け企業の切り捨て、集約化、コスト削減等々相当な無理に無理を重ねての結果だとおもいますが、見事としか言いようがありません。わたし自身M自動車の海外JVに出向していた時に、日産がM社の不祥事を受けて急きょ出資、M社は日産への傘下入りが決まった以降、大量の外資系コンサルタントを送り込まれ、現場ではかなりの高い目標設定を課し、現場担当者として四苦八苦した経験があります。多分、全世界の現場では、なりふり構わぬ数値目標が独り歩きし、ほとんどの現地は疲弊していったのではないかと想像されます。

2兆5000億円の借金返済を達成したのだから、ゴーンさんに200億円位渡しても安いものと気もしなくはないですが、不正に報酬を隠したとされ、いきなり逮捕というのも気の毒と言ったら日産関係者、V回復の“犠牲者”の方に大声で怒られそうですが、、、

いくつもある罪状のひとつに「09年度から17年度までの合計約90億7800万円の報酬について、退任後に受領するように装って隠蔽した」などあります。確かに超巨額で、とんでもない報酬額です。でも、上記の日産のV字回復振りで、日産が享受した利益に比べたら大した金額では無い様な気がします。なぜ、偉大なカリスマ経営者であり、世界的に名声のあるゴーンさんをいきなり逮捕させてしまったのか、本書を読んでもイマイチはっきり明解な回答に辿り詰めませんでした。何となく、示している事は政治絡みで「もう一つのストーリー」が存在するのか、しないのか?そして、それが明らかになる日が来るのか来ないのか? 良く分からずに終わっています。

一方、足元今期日産の決算は売上高が9兆8789億円(前期比14.6%減)、営業損益が404億円の赤字、当期純損益が6712億円の赤字と、惨憺たる状況であり、コロナ感染の世界的影響もあることから、今後の経営は予断を許さない状況となっています。17年間の偉大なカリスマ経営者の影響から一日も早く正常な経営状態に立ち直る事を切に願います。

世間の一般的な意見はどんなものがあるか?

djedjによるPixabayからの画像

一般読者の感想につき何点かを引用させて頂きます。期待している様な新たな情報は得られなかったという意見もあるものの、豊富な情報量が良くまとめられており、図り易いとの意見が多かった。

執筆した新聞会社は偏向報道を行うので、ちょっと内容に注意して読んだが、捏造はなく、事実を丁寧に追ってまとめてある。新しい事実(いままで報道されていた)はないが、ジャーナリスト視線で、生の対象を追ってまとめたことは評価する。星5でもいいが、、新事実がなかったので、4つ。読む価値があります。N社はガバナンスが弱いので、今後も同様の経営問題は起きるでしょうね。今までも組合との確執などもありましたし、、電機のT社と同じ問題を抱えている’(ガバナンスが弱い)と思います。

カリスマ経営者の逮捕と国外逃亡というセンセーショナルな面だけではなく、ルノー・日産・三菱のコーポレートガバナンス、FCAとの幻の合併、社外取締役が果たした役割、日産という会社の歴史と暴君を産んできた背景などがよくまとまっており、大変興味深い。今回の事件の本質が司法の場で明らかにされる機会があることを期待するが、ゴーンさん本人不在では難しいと言わざるを得ない。

。。。ゴーンについては逮捕と逃亡の後に多くの本が出されたが、どれもイマイチ信頼できそうになかったのでパスし、真打ち登場という感じで登場した本書を手に取った。400ページにわたる大著はさすがに読み応えがあった。面白かった。満を持して?出版された本だけのことはある。ゴーン事件の真相に迫ろうとした記者たちの熱き思いとその行動力・取材力には頭が下がる。ゴーンの逮捕から逃亡に至るまでのいきさつを描いた本としてはおそらくこれ以上のものは出ることはないだろう。。。

最後に

Gaspard DelaruelleによるPixabayからの画像

自動車業界の世界的な再編については、部外者の我々には明日何が起こるかも想像することも出来ません。弱肉強食という言葉がぴったりの業界で、大きいものが勝つを地でいく世界だと思います。また、自動車業界の流れとしてもEV化、スマート化、自動化の波にさらされ、開発競争も激化する中で、経営の困難さは厳しさを増していることは確かです。また、従来の自動車業界以外から新規参入を狙う新参者の影も忍び寄ってきます。

そんな状況の中で、やはり、強烈なリーダーシップは益々不可欠になることは目に見えています。リーダーは必要だけれど、暴君では困る!何となく、政治の世界も、経営の世界も似ているような気がしてきました。

最後に、プライベートジェットおでは機内に持ち込む荷物の中身をチェックしないことが露呈しましたが、何で持ち出し来てしまうこと程法の抜け穴で恐ろしい。ゴーンさんが逃げだしたのを責める前に、プライベートジェットの出入りをもっと厳しく管理して欲しいものです。

自動車業界に起きている革命的変化に関わる投稿記事はこちら:

移動革命 MaaS,CASEはいかに巨大市場を生み出すか 新書 三菱総研編     

内部告発、スキャンダル事件としては共通項のある映画「スキャンダル」の投稿記事:スキャンダル 映画 ハリウッド三大女優の共演  

レバノン出身のゴーンさんの様に大金持ちもいますが、中近東には紛争により住む国を追われ、移民として苦労している多くの人々がいます:ぶらり立ち寄りシネマ館 おすすめの映画 「存在のない子供たち」             

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