『ソフィーの選択』のあらすじと概要
第2次大戦後のニューヨークを舞台に、作家志望の青年の目を通して、アウシュビッツから生き延びたポーランド人女性ソフィーとユダヤ人の恋人の過酷な愛のドラマが綴られる。原作はウイリアム・スタイロンのピュリツァー賞を受賞同名小説。
反ユダヤ主義の環境に育ちながらナチに人生を踏みにじられた女性をメリル・ストリープが熱演し、アカデミー賞主演女優賞を獲得。
(あらすじ)
1947年ニューヨーク・ブルックリンに、青年スティンゴ(ピーター・マクニコル)は作家を目指して、上京しジンマーマン夫人のアパートに住む。映画の中ではこの青年の語りとして展開されます。
そこでソフィー(メリル・ストリープ)とネイサン(ケヴィン・クライン)と出会います。ソフィーはアウシュビッツ強制収容所に収容されていた過去があります。ネイサンは製剤会社ファイザーに勤務する生物学者でした。
三人は意気投合、親しくなり、ソフィーは戦争中の体験を語り始めました。父と夫がドイツ軍に処刑され 、自分もふたりの子供と一緒にアウシュヴィッツに送られた過去があります。カトリック教徒である彼女は、戦後解放され、教会で自殺を図ったとも語ります。
ネイサンはユダヤ人でナチの犯罪を深く憎んでいました。ネイサンとソフィーは不安定でスティンゴも二人の争いにしばしば巻き込まれていきます。
ある日、スティンゴはポーランド時代ソフィーの父がナチ信奉者だったという事実を聞きます。ソフィーを問いつめると、父とその教え子でソフィーの夫でもあった二人が反ユダヤ主義者でナチの協力者だった。しかし、ナチは父と夫を拉致し、彼女自身も息子ヤン、幼い娘エヴァと一緒にアウシュヴィッツに送られたのだと告白しました。
またある日、ネイサンとケンカしたソフィーを庇い、スティンゴは彼女と二人きりでワシントンに逃げだします。その晩スティンゴはソフィーに求婚しますが、そこでソフィーは決して求婚には応えられない衝撃的な過去の隠された秘密を語り始めるのでした...
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『ソフィーの選択』のスタッフとキャストについて
アラン・J・パクラ監督:ポーランド系ユダヤ人の両親の元に生まれる。1975年の『大統領の陰謀』でアカデミー監督賞にノミネートされ、1982年の本作『ソフィーの選択』でアカデミー脚色賞にノミネートされた。サスペンス映画を得意とした。
メリル・ストリープ(美しいポーランド女性ソフィー):撮影当時33歳という若さ。最近活躍している映画の大物女優としての片鱗はこの映画撮影当時から感じられるもの、まだうら若い瑞々しさが残る演技に圧倒されます。映画の題名通り、映画のラストでソフィーが何を選択したのか、観客は目の当たりにする事ができますが、余りに悲しい場面に愕然とさせられるものがあります。アウシュビッツ収容施設内でのソフィーはメリル本人とは思えない程やせ衰えて容姿で、痛々しい印象を受けます。
1977年、ジェーン・フォンダ主演の「ジュリア」で映画デビューし、翌78年の「ディア・ハンター」でアカデミー助演女優賞に初ノミネート。「クレイマー・クレイマー」(79)で同賞を受賞し、若手演技派女優のトップに躍り出る。83年には「ソフィーの選択」で同主演女優賞も受賞(主演女優賞は初)し、乗りに乗っていた時期の作品でした。
ケビン・クライン (恋人ネイサン):82年のスクリーンデビュー作本作品「ソフィーの選択」ではゴールデングローブ賞の新人俳優賞にノミネート。「再会のとき」(83)に続き「シルバラード」(85)でローレンス・カスダン監督とコレボレートしたほか、「遠い夜明け」(87)などを経て、「ワンダとダイヤと優しい奴ら」(88)でアカデミー助演男優賞を受賞した。
まるで二重人格者の様に変わる精神障害者である衝撃的な事実を兄の口から明かされます。ソフィーをそれを知りつつ彼に添い遂げようとします。
ピーター・マクニコル(作家志望のスティンゴ):いくつかの映画作品に出演してコミカルな演技をみせているでそうですが、出世作である本作『ソフィーの選択』ではシリアスな演技をみせています。
南部出身でニューヨークに出てきた小説家志望の青年役、マンハッタンでは家賃が高い為、ブルックリンに部屋を借り生活を始めるが、その屋敷で後列な個性を放つソフィーらと運命的な出会いをする。
『ソフィーの選択』のネタバレ感想
戦闘場面こそ出てきませんが、第二次世界大戦における戦争犠牲者の断片を垣間見る悲壮な映画だと思います。決して消し去る事の出来ない事実(ソフィーの選択)ですが、ソフィーはこれが理由で、自殺を図ったり、生き残った自分だけが幸福になる道を敢えて選ばなかったのではないかと思われます。戦争犠牲者である一人の女性の生き様が真摯に描かれています。
映画の前半は恋人同士の仲睦まじい風景に、ひとりの青年も加わり三角関係となり、怪しい事件にでも発展するのかと思いきや、ストーリーは戦争時代のアウシェビッツにまで遡り、雰囲気は俄然重苦しく変化していきます。メリルの容貌もまるで別人の様に短い髪、こけた頬など痛々しそうでした。収容施設内では2人の子供達には過酷な運命と、ソフィーにとっても言いようの無い仕打ちが待っていました。生き永らえた事は喜ぶべきことながら、彼女を襲った「不幸」な現実はどんなことがあろうと消し去る事が出来ないものでした。
事前に内容を良く調べず、メリル・ストリーブの代表作なので見てみようと思い今回DVDを借りました。重い内容に正直びっくり仰天させられました。戦争映画は未だに製作させ続けています。また、傑作も多いので大変記憶に残ります。しかしながら、本編の映画の様なストーリーを生む悲惨な戦争だけは2度と起こしたくないものです。
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